野生化したイチゴが毎日のように赤くなっていく。といっても、とても市販のイチゴのようにはいかない。「わけあり」形状が少なくない。それでも、つまみ食いには絶好のおやつとなる。そんなとき、当局はイモムシをイチゴ食害容疑で現場逮捕した。
犯人は名前を最後まで言わなかったが、「キバラモクメキリガ」(ヤガ科)であることを当局はつきとめた。かじっていた証拠のイチゴも押収した。顔面の後ろにベレー帽のような黒い紋があること、体の脇に白いラインがあるなどが特徴で同定した。犯人はかたくなに頭部を内側にまく防御態勢を最後まで崩さなかった。幼虫の初期は若草色の緑、後期は画像のように褐色に変化する。それにより、当局はいつもこれで犯人特定に翻弄されてきた。
「キバラモクメキリガ」は、漢字で書くと「黄腹木目切蛾」となり、成虫の翅が木目模様のような樹皮状の斑紋がある。「キリガ」は本来「冬夜蛾」と書く。秋から春にのみ出現するヤガ科の蛾をいう。「キバラモクメキリガ」は広葉樹の葉をはじめなんでも食べるくらいの多食性・広食性の食欲旺盛な蛾だ。イチゴの周りには敵が多い。(成虫画像はweb「昆虫エクスプローラ」から)