山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

世界史を大きく動かした植物

2022-10-07 22:39:31 | 読書

 前々から注目していた植物学者の稲垣栄洋さん。雑草にいつも愛情を注いで雑草学を確立させた。彼の『世界史を大きく動かした植物』(PHPエディターズグループ、2018.7)を読んだ。

  14種類の野菜や花木が紹介されていた。サクラは、世界史との関係は薄く付け足しのように思えたが、小麦・稲・トマト・トウモロコシ・ジャガイモ・コショウ・茶・綿・サトウキビなど、掲載された多くはなるほど世界への影響力があった。

          

 著者は、「人類の歴史の影には、常に植物の存在があった」という。「人類の歴史は、植物の歴史でもある」と断言。本書は「人類と植物が紡いだ壮大なドラマ」を具体的にぐいぐい読者を惹きつけていく。

         

 そのすべてを紹介したいくらいだが、とても紙数が足りない。しかしそれを分析する著者の基本的な観点が重要に思う。その植物の存在が文明を形成し、戦争を勃発させる契機となり、富を肥大化させ、人間の喜怒哀楽のドラマを産みだしたという著者の視点が目からウロコだった。

 木と草のどちらが進化形かと著者は問う。古代の燦然たる地球は「木」が光合成を獲得するためどんどん大きくなっていった。草食性の恐竜はそれを食べるため長い首が発達した。しかし、次々気候変動・地殻変動が起こりそれに対応していったのが、「草」だった。恐竜も下草を食べる体形に変化していく。

          

 その草の中で、成長のスピードを重視し、動物に食べられることを防御した「単子葉植物」が発達していった。その代表格がイネ科植物であり、葉の栄養分をなくしていく生存戦略をとる。同時に、草食動物もそれに対応して消化・反芻するため内臓を変えていく。その動物にイネ科植物を食べさせることで畜産という戦略を大陸の人間は産み出した。

         

 種の落ちない性質の「ヒトツブコムギ」を発見した人類は、それを改良しながら農業という食糧確保の生き残り戦略を獲得する。「コムギ」の誕生だ。しかし、その保存も効く栄養源は財産として蓄積され、富が形成される。こうして、文明が生まれ、人間の格差が発生し、ときに力による戦乱が生まれていく。

         

 こうして、食料をめぐる獲得競争が世界的規模で起きていく。そこに、人間の醜さと喜びが共存している。それが世界史となっていく。それぞれの野菜についてはいずれわがブログにちらほら反映されることになるだろう。

 なお、著者は「私たちは、植物の手のひらのうえで踊らされているのかもしれない」と述懐する。植物や野菜について、多くの専門家や図鑑の解説は学術的で単子眼になっていてオイラには不満だらけだった。その意味で、著者の展開する植物論は広く、本質的で、人間の在り方をえぐる鋭さがある。同時に、植物や人間に対する著者のまなざしの優しさに心が洗われる。

   

 

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天然マイタケ到着!!

2022-10-05 21:44:02 | 食彩・山菜・きのこ

 きのこの師匠から天然マイタケが届いた。武田信玄がかかわったという山奥周辺で見つけ出した貴重なキノコだ。オイラも十数年前に参加していた場所だった。所によっては急峻な崖を登ったり降りたり命がけの修行だった。以前は大きな怪我もあったようで、また迷子になってしまう危険性も毎回覚悟しなければならない。巨木のミズナラの根元周辺がポイントだ。 (画像は今週2日にゲットしたマイタケ、師匠撮影)

               
 
  師匠から送られた宅急便の段ボールを開くと、玉手箱のようにプーンとマイタケの匂いが部屋中に舞うのだった。白マイタケも同梱してあった。70歳前後の舞い上がった「青年たち」の心意気が伝わってくる。一時的に迷子になった「青年」が巨大なマイタケを発見したが、籠に入らなくて苦労したのでみんなとの合流に遅れたのだという。
      
  さっそく、和宮様は到着間もないマイタケの料理に突入。まずは、ベーコンとの炒め物だ。それをガーリックバターを塗ったトーストに乗せて齧りつく。ベーコンやバタートーストとの相性が良い。当然、ペロリとなった。
       
 そして、夕飯にはマイタケご飯となる。天然マイタケの食感をゆるりと愉しむ。ついでに、昼間に移動スーパーが来ていたので、久しぶりのサンマを食らう。友人からいただいた大分の久住高原の「カボス」を添える。
  
 翌日は本命の天ぷらマイタケとなる。やっぱり、本命だけあってこれが最高の味。畑で採れたカボチャ・オクラも天ぷらに参入する。マイタケご飯のおこげがまたいいね。まさか、甲州の天然マイタケを目の前でいただけるなんて、後期高齢者のオイラにとって生きていて良かったじゃぁありませんか、という心境だ。
 汗まみれ・泥まみれの「青年諸君」に合掌。体調がいまいちでありながら、秋の味覚を鋭意実現していただいた和宮様にも感謝。ごちそうさまでした。
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トンボの逆立ち

2022-10-03 22:50:02 | 生き物

 酷暑のとある日、「天」をながめているうち、いつもは野鳥がくつろいでいるはずの電線に2頭のトンボがいた。2頭とも逆立ちしているではないか。逆立ちはときたま見かけることはあったが、複数で見たのは初めてだった。この形は「オベリスク姿勢」というらしい。神殿前の石尖塔の姿に似ているというわけだ。この姿勢は、トンボの熱中症対策で太陽に当たる部分を少なくしているというが、日陰に移動した方が涼しいと思うが、どうだろうトンボ君。余計なお世話だと返信してきたようだがね。

  

 「天・地・人」ではないが、今度は視点を下の「地」に移したら、足元に小さなアリが集会を開いていた。いつも作業をするコンクリートの場所だが、こんなにアリが集まるとはこれも初めて。その種類も見かけない。獲物があったかどうか、女王ありはいたかと探してみたが動きが激しくて見つからない。女王様の就任パーティーなのか、国葬儀式なのか!??

  

   忙しく動いているので、カメラのピントも合わない。頭部は四角っぽく触覚がU字型のようだ。お尻の腹部には白い毛が生えている。このコンクリートの下に営巣しているかもしれない。

      

 ネットで確認したら、どうやら「トビイロシワアリ」のようだ。webの「気ままに自然観察」のブログにわかりやすい画像を発見した。アリの種類は同じように見えてしまうから同定が難しい。女王が複数同居しているらしいので、数万匹の大集落を形成しているかもしれない。

  

 こんどは「人」の目線で畑の周りを見たら、「アサマイチモンジ」(タテハチョウ科)が止まっていた。だいぶ翅が切れているのでオイラと同じ後期高齢者を迎えているのに違いない。都内では絶滅種、神奈川・千葉では絶滅危惧種2類となっており、里山の貴重な昆虫ということになる。

    

 浅間山付近で最初に発見されたので名前に「アサマ」がつく。「イチモンジチョウ」にそっくりなのでいつも迷う。一文字の白班が共通しているが、微妙に違う。飛んでいるときはわからないので、いつも画像から同定する。

 急に寒くなってきた。蚊が最後のえさを狙ってやってくる。だからか、食われるといつもよりとびきり痒い。なので、虫さされのかゆみ止め薬と蚊取り線香はまだまだ手放せない。        

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