新年になって3日目、隣の神社の初詣客はかなり少なくなった。
4日前の大みそかは、ゆったりとした気分で炬燵に入り、数年ぶりにNHKの紅白歌合戦を見ながら過ごした。
ここ数年、視聴率的には低迷が続いているこの恒例番組だが、どうも最近はNHKのPR臭が強く、年1回の番組にしては少々重厚さに欠けていたのだが、視聴率的には40%を超え、42.5%(ビデオリサーチ調べ)で年間最高視聴率を記録したという。一方、地上波民放の番組は“打倒NHK”を掲げているにしては物足りないような気がした。こんなに長い時間、テレビを見ることは滅多になかっただけに、続く、ゆく年くる年、さだまさしの生放送がほっとするものだった。
視聴率至上主義を追及するここ数年のテレビメディアの自覚のなさにはやや辟易しているが、われわれ年代の人間がテレビ離れをしていると聞くにつけ、このメディアがどんどん衰退していくのではないだろうかと危惧する時がある。
ただ、報道機関としてのテレビの成長には目を見張るものがあり、特に災害時や選挙の際の姿勢(編成)には期待している。なんといっても新聞にはない、速報性、わかり易い表現と構成、ドキュメンタリー番組には大いに拍手を送りたい。
ジャンル別にいうと、報道、教養、娯楽などに大別されるが、視聴率を稼ぐのは娯楽で、ここ数年のお笑いタレント大量養成でお笑い番組が氾濫し、ゴールデンと言われる19時から22時までの時間は、お笑い出身のタレントが出演、視聴率稼ぎに寄与している。
あまりにも幼稚な表現やオーバーパフォーマンスだけが目立つ低俗な番組だから、若者には受けても、我々の年代からは評価が低いはず。そして、この傾向がNHKにも増してきていてテレビ離れに拍車をかけている。
視聴率を取ることも大切だが、10年ほど前から関係者の間で課題になっている『視聴質』についても今年あたりから真剣に検討していただかないと、自滅してしまうだろう。その昔、大宅壮一氏が言ったようにテレビは1億総白痴化に拍車をかける。
多チャンネル時代が到来したが、期待したいリーディングメディアは、やはり地上波なのだ。