何を乱心してしまったのか、お茶の若葉を眺めていたら「そうだ、紅茶を作ろう!」となってしまった。既に自己コントロールも効かない我が身なのである。会の春のイベントで萌え出たばかりの新芽を使って即席の新茶を昼食時に頂いたのだが素人の即席茶とは言え美味しいのだった。当初から春のイベントでの新茶提供は小生のお遊びだったのだが今回は芳香蒸留水を数種類用意するお遊びで時間が取れず会友に引き継いでもらった。
さて、お手製の紅茶だけれど標準では面白くも無いので、少々ひねってチャレンジしてみる。それは茶葉発酵前に糀を加え揉捻してから発酵させて仕上げる、と言うストーリーだ。どんな製品、お味になるのか皆目見当もつかないけれど、あちこちの放棄樹から200g摘み取れたので試作してみた。
茶葉の量が多ければ半分を植物性乳酸菌を添加醗酵させ比較したかったのだが次の機会になった。
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一心二葉で摘み取った新芽の水分を抜く。約30%程度が目標で生葉200gなので日陰乾燥しながら重量で140g前後にもっていくまで所用1日程度か…。翌日、作業を早めにしまって帰宅。萎凋中の重さは120gで予定より乾燥が進んでいた。さっそく糀をひとつまみ、お愛想程度だが加えて揉捻に入る。
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最初はまな板の上で行ったけれど散乱してしまうので葉を傷つけ易くする意味もあり擂鉢の中で行ったのだが、今度は注意をしていないと指や甲が痛い。揉み続ける事30分、頃合いと見て終了した。麹はすり鉢で微粉末にしたけれど揉捻後は判別できない。
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発酵はヨーグルトメーカーで行った。30℃3時間で設定。湿度を高めるために本体と容器の隙間にお湯を満たして多湿状態を作る。1時間ごとに色合いを観察し混ぜ返したが、色の変化は早くて意外であった。
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発酵停止はオーブンで行う。予熱し120℃10分間にした。仕上げに発酵菌を殺す意味も含め電子レンジ100W5分を照射。乾燥は笊に入れ屋外に出した。夕刻まで風乾させまだ湿り気が残るようなら電子レンジで乾燥だ。
出来上がったばかりの紅茶は熟成させておらず乾燥後に冷蔵庫で熟成させるつもりなのだが、とりあえず1杯を試飲した。色合いも風味も普段使いの紅茶葉と遜色が無いように思えたのだが、肝心の「糀添加」の反映は全く不明で、乳酸菌添加での製茶も同じ結果なのかどうか。
この「糀添加」のはっきりしない結果は多分に「失敗しない選択」をしたことに因るのだろう。糀菌が活発に活動する50℃程度まで発酵温度を上げれば異なった結果が得られたのかもしれないのだが、まあ、小生の小心ぶりが出てしまい結局は傷心で紅茶を啜ると言う羽目になったのである。
とにもかくにも紅茶作りは全くの初めてだったものの、そこそこ飲める品質になったのは爺我自賛に適うだろう。
写真を眺めていて気が付いた「紅茶の表面にいっぱい毛茸(もうじ)が浮いている。出来は最高に良かったのだ!」と更なる燦燦自賛に浸ろうと胸をそっくり返して「?」と気が付きデスプレイを指でなぞってみたら毛茸が一掃されてしまった。あーあ、単なるデスプレイ上のホコリで、我が誇りは指先で消え失せてしまったのだった。お粗末・・・。