意を決して腹を据えて掘り始めた砂礫の河原。「砂金掘りなら好いのになあ!」なんて鼻歌など出て来ない孤爺の腕・肩・腰・膝には酷い作業になる。スコップを握る左手は支点の役割が強いので負担は感じないけれど痛い右腕は操作する側になるので掘り上げる時点は特に痛みが増してくる。とは言え掘り続けなければ終わりは見えず掘り続ければ痛みでダウンする可能性もあるのだ。他力本願では解決しないのはフイールドを整備し始めた頃から骨身に滲みている事であるものの「天は自ら助くる者を助く」とおもえど「天は二物を与えず」もまた道理であって強靭な肉体と意志は高年齢低年金の孤爺には夢物語なのであった。
で、ボチボチ作業と相成っているけれどそこは災の河原の砂礫掘り、遅々として進まず先も見えてこない。この日、現場に到着すれば前日に掘り取ったすり鉢状の窪みは平らかになっている。つまりはまたスタート地点から開始するのである。とは言え予想の範囲内で、この日は流路を掘削部から離してから掘り下げを開始した。
流路からの流入水が無いので掘り下げは順調だけれど地下水位に達すれば水底を掘る事になるのは変わり無いもののすり鉢状の壁の崩れは少なくなるから掘り下げの結果は出やすくなった。ある程度まで掘り下げて更にスコップの剣先の肩まで刺し込んでも構築物には当たらなかった。勿論、掘り下げた付近にある可能性など不明な作業なので仕方がない。飛び出ている垂木周りをすり鉢状に掘り下げてはみたものの結果は出ず、垂木の先端部にも到達していないからまだ掘らねばならないのは明白だった。
結果の見えない災の河原の砂礫掘り、同じことに嫌気も出て山側をトレンチすれば取水堰端に当たり易いかと掘り下げてみたものの現状は手掛かりはなかった。元より堆積層の厚さだけでなく河原も広がってしまった結果は位置を推定するに根拠など無いに等しい。朝食を食べたかどうかも心もとないカンピューターでは手間暇投じる事だけが道を開く・・・。崩れても崩れてもお憑きの様に孤爺はゆがめてゆがめつ砂礫の穴の中・・・てなもんや三度笠。