GITANESはただのタバコです(になります)。
それとは無関係に・・・。
「~になる」「~になります」という言い方に
多くの人が違和感も感じながら、もう普通の表現として
扱われているように思う。例えばこんな感じである。
●昔々ある店で同伴者(平たく言えば前妻だ)がグラスワインを
注文したのだが、どう見てもワインの中に異物がいくつか漂っている。
通りかかったスタッフさんに
「これって、何でしょうか?」と尋ねたら
「少々お待ちください」とグラスを持って一旦奥に引っ込んだ。
しばらくして戻ってきた彼女が言った。
「こちらコルク、となっております(キッパリ)。」
つまり、『お前が異物だと思った物体の正体がわかった。これは
コルクだ。』という意味。栓の一部がこぼれたのだろう。
いや、そうなんだけど
『コルクとなっております』という答えでは、例えば
『この年の●●ワインなんだからコルクが混入しているのは
当たり前でしょ?あら、さてはそんなことも知らないの?』風に
聞こえる。または『見りゃわかるでしょ。コルクだよ』という
意味だったのか。
とにかく取り換えもなくゴメンでもなかったのだから
「ほら、これがデフォルトだ。飲め。」と言われたに等しい。
その後それを同伴者(平たいく言えば前妻)が飲んだのか、
飲んだとしたら口に入ったコルクをどうしたのか、もうまったく
記憶にない。
●何度か前の国政選挙。
投票所から出ると一人の女性が近づいてきた。
すぐに「出口調査だな」と分かった。
彼女に声をかけられた。
「朝日新聞になるんですけどぉ。」
一瞬何を言っているのかわからなかったので「はい?」と
訊き直した。
「あの、朝日新聞になるんですけどぉー」
そうか、『朝日新聞の者ですが、』と言いたいのだなとわかったが
どうにも「ですけどぉ」という語尾が気持ち悪かった。
『朝日新聞の者ですが出口調査にご協力ください』との声掛け
なら協力する可能性は限りなく高かった。
それなのに「朝日新聞になるんですけどぉ」なのだ。
いやしくも言葉を生業にしている組織なのに、こうも言葉に
雑なのか。アルバイトさんだろうけども。
だからつい、
「なったらええやんか。」と答えてしまった。
「はい?」
「『朝日新聞になる』んやろ?なったらええやんか。頑張ったら
ええやんか。」
彼女が絶句したのもほんの一瞬で、すぐにほかの人に声を
かけに行っていた。
その数年後の国政選挙時にも出口調査の人がいて、
「おはようございます。読売新聞ですが出口調査させてください」
と声をかけられた。朝日新聞になるんですけどぉ と比べると
はるかに普通で十分丁寧だった。だから真剣に答えた。
「内緒。」