ウリパパの日記

自由気ままに・・・

新国立劇場「影のない女」初日

2010-05-21 00:49:25 | オペラ
 昨日、半年振りに音楽会へ行ってきました。新国立劇場で公演の始まったリヒャルト・シュトラウス「影のない女」の初日です。あまり演奏されない馴染みの無いオペラですが、私は18年ほど前にサヴァリッシュの指揮、市川猿之介が演出して話題になったバイエルン国立劇場の来日公演を見に行ったことがあります。その時は歌舞伎様式の豪華絢爛な演出のみが強く印象に残っているのですが、今日出だしのカイコバートのモチーフを聞いてすぐに音楽の記憶がよみがえりました。このオペラはワ―グナーを意識したのかライトモチーフが多用され、3時間を越える長いオペラですが音楽的には飽きることなく聞けます。皇帝とバラクが住む人間界とカイコバートの霊界が舞台となっていて、モーツァルトの魔笛とも比較されるみたいですが、私にはワ―グナーの呪縛から逃れることができなかったシュトラウスを象徴する作品のように思えます。鷹が出てきて皇帝と語る場面などは、まるでジークフリートのよう。乳母はオルトルート、皇帝の妻はエルザか。バラクの妻は嫉妬深い生々しい人間なのでこのタイプはいないかな?ブリュンヒルデに似ているかも等々考えながら見るのも楽しいですね。
 音楽的には結構充実してアッという間の4時間でしたが、終った後の満足感は3年前の薔薇の騎士には遥かに及ばないかな?このオペラの限界なのかもしれません。
 演出はブーイングも出ていましたがシンプルで奇をてらったものでなく、劇場の奥行きをうまく活用してました。7つの石垣と3つのシンプルな家の組み合わせと照明と影を駆使して場面を作りあげていますが、場面転換は全て黒衣装の人手によるものです。転換の多い2幕などは大変そうでしたが。時々上から降りてくる桃の形をした鏡?(途中で破かれる)や根っこが見えている木など何かを象徴していたようですが、難しいことを考えるのは止めておきました。

 海外から招聘したソリストも粒そろいです。一番印象に残ったのは乳母のジェーン・ヘンシェル。かなりのご年配のようですが演技力や表現力が抜群。表現が相応しくありませんが、千と千尋の神隠しに出てくる湯婆婆みたい・・・ 皇帝を演じたミヒャエル・バーバはまだ若そうで、丁寧に歌っていました。美声ですね。皇帝は各幕一回ずつしか出番が無いのですが、高音を聞かせてました。でも3幕はいま一つだったかな。皇后を歌ったエミリー・マギーは透明な声でうっとりさせてくれます。3幕の「私は飲まない」という言葉によって勝利するところは見事な演技でした。バラクのラルフ・ルーカスとバラクの妻ステファニー・フリーデも熱演。ルーカスさんはドイツ人らしく、しっかりとした歌唱。フリーデさんは尻上がりに調子を上げ、皆さんを圧倒してましたね。ヴェリズモオペラみたいにも聞こえ、ちょっと違うかな?と思ったときもありましたが、バラクの妻は嫉妬深い人間なので正しい解釈なのでしょう。

 エーリッヒ・ヴェヒター指揮の東京交響楽団は、、、うーん。いま一つ。ざっと数えたところ100名近い大編成で、狭いオーケストラピット内に詰め込まれていましたが、何だか音楽も窮屈そう。オペラなので大音響は求めませんが、何か物足りなかったな。チェロのソロは良かった。でも管楽器が・・・

 

正面玄関の生け花です。

久しぶりの音楽会でした。給料カットも4月から無くなったため、自分へのご褒美として行ってきたのです。座席は2階Rサイドの前のほう(B席)。17時開演ということもあり空席がかなり目立った公演初日でしたが、リヒャルト・シュトラウスの世界を堪能できましたよ。


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コメント (2)
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