「BOOK of the Year上半期」と書かれた「ダヴィンチ」7月号の表紙を見て、今年ももう半分が過ぎようとしていることに気付いた。はや!。
全然そんな気がしないけど、もうコンクールまで二ヶ月をきっているのだ。
3年生たちが仮引退するまで、あと二ヶ月。これからがきっと一番大変だろうが、のりきってほしい。
その大変さが「正しい」大変さになるように、いろいろとだんどりするのが自分の仕事なのだろう。
上半期に観たお芝居ベスト3は、ハイバイ「て」、キャラメルボックス「ナミヤ雑貨店の奇蹟」、城山羊の会「効率の優先」。
「城山羊の会」は、劇団員システムではなく、公演ごとにオーディションで選ばれた役者さんで、山内ケンジさんの脚本・演出で芝居を行う … という案内を芸劇のメルマガで知り、なんとなく嗅覚がはたらいて初体験してみた。
キャラメルボックスさんのようなごりごりのエンタメでもなく、ハイバイさんのような静か系でもない。
演劇的発声を役者さんがほとんどせず、ある会社のオフィスのセットがあり、そこに役者さんたちが入ってきて、会話がはじまると、リアルな会社の会話ってこんなんだろうなと思えてくる。
そこで徐々に明らかになっていく人間関係のありようも、たぶんリアルなんだろうなと思い、そこで仮にこんなふうにいざこざがあって、たまたま人が亡くなったりしたら、きっとこんな感じなんだろな、と。
気がつくと、リアルを越えてる内容に入ってるような気がするのだが、ふつうに起こりうるし、こういう時に自分が居合わせたなら同じ対処をするのではないか、オフィスに横たわる死体を前にして、すぐに救急車か警察をよぶべきだと思いながら、今連絡したら後の業務に支障がでるよねと会話してしまうのではないかと思ってしまう。
実際、学校という場であってさえ、生徒の死という事実よりも自分達の保身や組織の論理を優先しようとした事例を知っているから、それを見せつけられてようで、なおぞっとしたのかもしれない。
とにかく一見静か系のように見えて、人間のどす黒さを露骨に描く度合いは、そうとう強い。
それにしても、上手な役者さんたちばかりで驚いた。派手ではなく、ドラマチックでもないが、居合いの達人が集まったかのような空気だった。