水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

6月29日

2013年06月29日 | 学年だよりなど

  学年だより 「棚」から「倉庫」へ

 まあまあ勉強している風なんだけど一向に成績があがらない、という子も、山ほど見てきた。
 全く勉強していないわけではないので、当の本人も「なぜだろう」と悩んでいる場合も多い。
 そういう場合、ほとんどに共通するのは、勉強の仕方が「やりっぱなし」であるということだ。
 教科書や参考書を読む、線をひく、マーカーで色分けする。勉強した気分になる。
 ノートに問題を解く、答え合わせをする。勉強した気分になる。
 実は、この時点では、「勉強」はしていないのだ。
 自分ができなかったことを身につける、知らなかったことを知る、という意味での勉強は。
 「色分け」は「覚えるべき内容」を明らかに、「問題を解く」のは自分の「できない部分」を明らかにする作業だ。
 もちろん、必要かつ大切な作業だが、本当の勉強はここから始まる。
 自分が「覚えるべき内容」を覚え、「できない部分」を出来るようにする過程が勉強だ。
 そしてさらに、それを定着させるための作業がいる。それが復習である。
 教科書の大事なところに線をひいたとき、その視覚情報は脳の海馬という部分に蓄えられる。
 海馬は「棚」のイメージだ。棚におかれた記憶を「短期記憶」という。
 一日そのままにしておくと、脳はその情報を必要ないものとして消去する(そうしていかないと、視覚情報が無限に増え続け棚の広さを簡単に越えてしまう。すごいかわいい子と出会って心奪われても、一日経つとはっきり覚えていないのはそれです)。
 勉強したことは、その日のうちに一度アクセスし直す。
 早い段階で、繰り返しアクセスをし直すと、脳はその情報が大切なものだと判断し始める。
 すると、その情報は大脳新皮質の側頭葉にしまわれ始める。ここは「倉庫」だ。
 人間の脳内にある倉庫は、奥行きは無限に近い。ここにしまわれた記憶を「長期記憶」という。
 この記憶のシステムを利用し、脳に錯覚をおこさせて、単語をいつのまにか「長期記憶」の倉庫にいれようとするのが『ユメタン』のシステムであることは、みんなも知っているはずだ。
 『偏差値29の私の私が東大に合格した超独学勉強法』の作者は、こう言う。


 ~ 私は、当日に復習した後、必ず1日目、2日目、3日目も見直すようにしていました。最初のうちに強い記憶として固めておいた方が、長く覚えていられるし、関連する他の問題も解きやすくなるからです。 ~


 この徹底こそが大切なのだ。だから、いろんな方法を用いて、「早い段階」で「繰り返し」アクセスする作業を自分に課していかねばならない。
 勉強した内容に関する問題を、その日のうちに一題でいいから解いておくのはきわめて有効だ。
 知識が集積してきたら、意図的に応用問題にも取り組むべきだろう。応用問題には、いくつもの基本事項が複層的に内在している。つまりそれを解くことで、様々な基本事項が自然と復習されていることにもなるのだ。

コメント
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