水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

6月26日

2013年06月26日 | 学年だよりなど

 学年だより「偏差値29からの」

 『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』の著者、杉本奈津子氏は、静岡県のミッション系の女子校に通っていた。高3になるまで、大学に進むつもりはなく、卒業後は医療関係の仕事に従事したいと漠然と考えていた。しかし、将来は医療関係の仕事に就く、そしてその仕事に関する本を自分で書いてみたいという夢を本気で考え始めたとき、大学という選択肢が見えてくる。
 やはり、大学には行った方が、夢に近づける … 。
 親に相談すると、地元の大学か、地元を離れるなら国立なら学費を出してもいいと言われ、「国立で、薬学系で … 、近場だと東大ぐらいか」とわかった彼女は理科Ⅱ類を目指すことにした。
 とはいえ、著者の通っていた高校から東大に合格するのは、一年おきに一人か二人出る程度。文系でも理系でもなく芸術系コースに属していた彼女には険しい道だった。
 本格的に受験勉強をはじめて、高3の秋に受けた模試で、数学で偏差値29。
 理系ではなかったため、自分で数3や数Cを、生物Ⅱや化学Ⅱをやらないといけない。
 それがどれくらい厳しい事態であるかは、みんななら実感をもって理解できるにちがいない。
 ただでさえ出遅れている自分が結果を出すにはどうしたらいいか。
 そう考えたとき彼女は、「勉強のやり方」を徹底して見直してみようと思い立つ。
 自覚的に勉強法を変えていきながら、量をこなす。すなわち「質×量」の値があがる。
 結果として一浪はしたものの、東大理科Ⅱ類に見事合格することができた。
 いちおう業界の人間なので(私は)、杉本氏が通っていた学校をだいたい類推できるし、だとすると彼女の高校3年次の実力はこれくらいかなという予想はできる。その数字が当たっているとするなら、同じぐらい勉強して東大に入れる可能性のある子は、みなさんの中には山ほどいる。
 具体的な方法自体もいくつか紹介したいが、そのほとんどは実にオーソドックスなものだ。
 彼女のオリジナルというより、誰でもわかっている方法を、彼女にあった形で用い、それを徹底してやり続けたということだろう。杉山氏は言う。


 ~ ひどい成績を取ったときの「悲しい」「くやしい」という感情は「もっと頑張らなくては」という強い原動力にもなります。当時、悪い成績は失敗のように見えたけれど、今改めて見ると、フィードバックにより、よい効果を生み出してくれたわけです。テストで問題がわからなくて間違いばかりだったとしても、「フィードバック」して復習すれば、まだその分だけ多くの知識をつけられる、人よりたくさん伸びしろがあるとも捉えられます。つまり失敗とは、むしろ有り難いものなのです。 … 成績が悪い、問題を解いても間違ってばかり、だから志望校のレベルを下げようと、という考え方は失敗のレベルに自分を合わせてしまう、最も成長しない道でしょう。失敗の中から種を見つけて育てるか、放棄するかは、全て自分次第なのです。(杉山奈津子『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』角川SSC新書) ~


 マイナスからのスタートを自分の糧とみて取り組む姿勢こそが、結果を生み出すのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする