一限目の演習の時間、生徒さんが問題を解いている間、ふと昨日観た1シーンが浮かんでくる。
菜穂子(夏帆)が吉野家でひとり牛丼を食べる場面だ。今年観たすべての作品のなかで、最も心打たれる場面で、授業中なのにこみあげてきてしまったのであわてて感情をおさえざるをえなかった。
これから牛丼食べるたびに泣いてしまったらどうしよう。
~ 市役所に勤める天雫健太郎(星野源)は、彼女いない歴=年齢の独身男。内気で愛想がなく、自宅と職場をただ行き来する日々を送っている。
唯一の友達はペットのカエルだけ。
見かねた健太郎の父・寿男(平泉成)と母・フミ(森山良子)は、親同士が婚活する“代理見合い”に参加。
そこで知り合った裕福そうな今井晃(大杉漣)とその妻・玲子(黒木瞳)のひとり娘、菜穂子(夏帆)と正式にお見合いするチャンスを掴んでくる。実は菜穂子は、8歳のとき視力が落ちていく病気にかかり、いまではまったく目が見えていなかった。
そんなことは知らずに一人息子の初めてのお見合いに舞い上がる天雫家と、健太郎を全く気に入っていない今井家の波乱含みのお見合いは幕をあけるが … 。
はじめて恋に落ちた健太郎は、「好き」という感情を一気に爆発させていく。
真剣だからこそぶざまで、滑稽だからこそ心に刺さる“35歳の童貞男”が突っ走る、たった一度の恋の行方は果たして 。 (映画「箱入り息子の恋」公式サイトより) ~
星野源とつきあうことを禁ずる今井晃、つまり夏帆ちゃんのお父さんのことを、なんてひどい親だと感じる人はいるだろう。
娘の意志を考えなくていいのか、自分の価値観だけを他人をおしつけていいのか、と憤る人はいるだろう。
しかし、目の見えない娘の人生を考えたなら、とにかく経済的に余裕があり、しっかりした男性と結婚させたいと願うのは、父親として当然だ。
もちろんその思いが、正しい形になっているとは言いがたいが、「おまえは、障害をもつ人間と接したことがあるのか、ボランティアでもやったことはあるのか、市役所に十何年も勤めて一回も昇進しないやつなんかと付き合わせられるか!」という言葉は、中身としては、そう間違っているとは思えないのだ。
それに大杉漣さんが上手すぎるから。
人権教育映画レベルの役者さんが同じことを言うと、話が出来すぎて見えてしまう。父親をそこまで典型的な分からず屋にしなくていいだろという目線で観てしまうものだ。
そうならずにぎりぎり典型に陥らず、しかもリアルな世間の親の感情を描いていて秀逸だった。
ただ、自分は「いい映画だった … 」て泣いてればいいけど、ほんとうに障害をもつ方の親御さんが観たらどうだろう。
映画を最後まで観て、こんなにうまくいくかな、って思わないだろうか。
現実問題として、うちの娘は夏帆ちゃんほどかわいくないしとか思わないだろうか。
あえて書きにくいことを書いてるつもりだが、本気で考えるなら避けて通れないと思う。
あ、お迎えの時間になってしまった。