先日新聞やニュースで取り上げられた「違法な鍵交換・違約金」で入居者が不動産業者に対して訴訟を起こした。
新聞によると・・・
敷金・礼金や仲介手数料ゼロをうたい文句に部屋を貸す不動産会社(本社・東京都新宿区)の物件に入居する男性らが家賃を滞納した際に鍵を無断で換えられ入室できなくなり、違約金も支払わされたとして、近く同社に賠償を求める訴訟を起こすと発表。この業者は都内を中心に物件を展開し、初期費用が安いため、若者や外国人などに人気だ。現在4人が提訴の準備をしている。
弁護団によると、同社の契約は、「一時使用契約」で、家賃が遅れた場合には一方的に解約するという内容。滞納した場合は、無断で部屋に入り、鍵を換え、承諾なしに荷物も処分できるとしている。 「実態は賃貸契約で、借り主は借地借家法によって強く保護される。一時使用とするのは脱法行為。家賃を滞納したからといって法的手続きを取らずに強制退去させるのは違法だ」と弁護団は批判する。
同社物件の入居者(20)は、これまでに家賃を3回滞納し、鍵を換えられ、違約金と施設再利用料計6万5千円を支払った。「1日滞納しただけで、部屋の鍵を交換されてしまい入室出来なくなった。こんなことはおかしい」と訴える。その後は違約金ではなく「生存確認出張料」の名目で1万500円を請求しているという。
以前からこの話は色々と聞いていた。衣食住の基本となる「住」の仕事に携わる身としては、不動産業者・入居者の立場も言い分もとてもよく分かる。そうだろうな~とも思う部分が双方にたくさんある。各方面の識者からは「ハウジングプア(住まいの貧困)を生み出す政府の無策を嘆く声」や「それを承知で借りている入居者の自己責任」等、喧喧諤諤色々な意見が出ている。
そもそも賃貸物件に入居する際にはまとまった金額や(基本的に)連帯保証人が必要になる。審査も年々厳しくなり、なかなか簡単に引越は出来ないのが実情である。そこでこの業者は安価で入れる物件を提供し、入居者は安く簡単に引越が出来る事が出来た訳だが、今回のケースで問題なのは最低限の約束である賃料を期日までに支払わなかった事と、明らかに借地借家法に違反している支払遅延で即日鍵交換や明渡しをしてしまった事である。どのような契約内容にしたとしてもそれはまかり通らないであろう。
ちなみに賃貸借契約書の冒頭にはこんな記述がある。
・・・(貸主借主は)感謝と相互信頼のもとに下記の通り賃貸借契約を締結する
有限会社やな瀬不動産