「彼」の術後、三週間が経過した。
退院した当日はどことなくよそよそしく、表情に生気すら感じなかったが、日に日に元気になり、ただただ生命力に感心してしまう。
退院後、初めて吠えた時、初めて小走りした時、初めて尻尾をブンブン振った時、初めてベランダで大好きな日向ぼっこをした時・・・術前当たり前だったことが、ひとつひとつ嬉しく感じる。
そして気が付けばいつものような生活に戻りつつある。
次第にその当たり前の感動も薄れて行くのだろう。
でもそれでいいんだと思う。
だから今年も「そろそろストーブの前から離れなさい」と言える当たり前の春が何とも嬉しい。