映画「鬼龍院花子の生涯(1982年公開)」を観た。
【解説】宮尾登美子の同名小説を五社英雄が映画化。夏目雅子のセリフ「なめたらいかんぜよ」は流行語となった。土佐の侠客である鬼龍院政五郎は、大正10年に松恵という養女を取った。松恵は政五郎の身の回りの世話をしながら成長する。政五郎は末長という男と対立していたが、末長の妻が経営する料亭からさらった娘つるを妾にした。つるは翌年、政五郎の娘を出産。娘は花子と名付けられた。花子が女学生になったころ、政五郎は高校教師の田辺と知り合い意気投合、十六歳になった花子の婿にしようとする。しかし田辺は松恵と愛し合うようになっていた。
2008年、2017年とすでに2回も本ブログに登場しているにも関わらずBSで放映されると知り予約して溜っている録画リストそっちのけで休日に観た。上映から40年近い時を経ても男気ぷんぷんの仲代達矢の鬼政、咥えタバコのクールな岩下志麻の姉御姿にしびれ、土佐弁の心地よさと共に室田日出男がとても良い。腸チフスで妻を病院へ隔離させない鬼政の荒々しくも大きな愛を始め、たくさんの愛情と人情が散りばめられている作品である。
ただ今回台詞が無音になっているシーンが2箇所あった。無音の長さと会話のやり取りから同じ単語のようだ。映画の冒頭には「作品のオリジナリティーを尊重しそのまま放送する」旨の表記があったにも関わらずである。さらに乳房露出にもぼかしが入っていた。乳房の配慮はすでに10年前に放映された映画「トータル・リコール」や本ブログでもあり、様々なエロスが遠ざけられているが、音声は初めて知った(気づいた)。
配慮、配慮だらけの時代には五社映画のテレビ放映は難しいのだろうが、だからこそこのような痛快な任侠映画がやたら観たくなるのかも知れない。