79歳の妻を車いすごと海に突き落として殺害したとして、殺人の罪に問われた82歳の夫に懲役3年の実刑判決を言い渡された。40年間も介護し続けた老々介護の悲しい末路である。
日本人の寿命は年々伸びており、人生100年時代だと言われて久しいが、日常生活に制限が無い健康寿命の平均は75歳前後でそれ以降からの要介護数は増加しており、80歳以上の痴呆症率が約20%である現実。我々世代にとって老後はすぐそこの近い将来だと分かっているのだが、どこか漠然と「まだもうちょっと先」と思いがちだし、さらに「自分の健康具合」だけを考えてしまいがちな気がする。自分は健康でも配偶者や家族が病気や要介護になる可能性も十分にあり、本件のように配偶者が39歳で半身不随になるなんて想定もしなかっただろう。自分が体調を崩して出掛けられないのと、自分は健康だけど介護等で出掛けられないのとは気持ち的にはかなり違うだろう。
そんな話をしても男性の同級生は「まだ先の話」「考えたこともない」「どうでもいいじゃん」との反応が殆どなのに対して、女性の同級生はかなり明確で具体的に尚且つ配偶者に対して辛辣な意見が出る。どこかで男性は介護される側、女性は介護する側の認識があるようで、それぞれ受け止め方がかなり違うところが実に興味深い。
あまりあれこれ考えても仕方ないことではあるが、様々な事態をあれこれ想定すると改めて「動ける時間は少ない」とした上で、まずは積極的に行動すべきだろうとの意見に辿り着く。何の根拠もないのだがとりあえず70歳をひとつの目標して、あと13年しか残されていない時間をどのように有効活用すべきかをよくよく考えて行動して行かねば勿体ないな。