いつごろからか定かではないが、母屋の裏に立てかけてあった垂木にアシナガバチが巣を架けていた。すでに直径10センチほどの大きさになっていた。
兵隊蜂が持ち帰った樹皮の繊維を素材とし、それに唾液のタンパク質などを混入して、女王蜂がせっせせっせと作り上げた彼ら彼女らのお城。
知らなきゃそれまで。その巣はもっと大きくなり、たくさんの蜂の子が育ったに違いない。
しかし、見つけてしまうと放ってはおけない危険物である。腕白兄ちゃんに加えて、2歳半の幼子が走り回る我が家。KYが頭をもたげる。
この場合のKYは「危険予知」である。「空気が読めない」ではない。
巣を強く刺激しなければまず刺してはこない。刺されるのは子供などが巣を刺激して起こるケースと、洗濯物等に紛れ込んでいるアシナガバチに気づかず起こるケースとがある。また、毒はスズメバチに比べれば弱いが、アナフィラキシーショックにより死亡することもあるので、過去に刺されたことがある人は注意が必要。と、ネットにある。
心苦しい、気の毒だと思うが、蜂の巣にいつ刺激を与えて怒らせるか分らない子どもを抱えている以上、危険を排除するのが保護者の務めである。
ゴメンなアシナガバチ。左手で拝みながら右手で強力なスプレーの弁を押す。
夏の終わりから秋にかけて、一度はこの後ろめたさにさいなまれる。
来年こそ、巣を架けさせないように見回ろう。紫外線の強い秋の日差しに吸い込まれるように、ハチのムサシは死んでいった。