「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「刈り取りの秋」

2011年09月27日 | 晴耕雨読

      
      黄金色を強調する如く、脇役に徹する真っ赤な彼岸花

 
   コンバインの作業がしやすいように、田んぼの四隅は人の手で刈り取る

抜けるような秋の空、絶好の稲刈り日和。
60歳の定年を迎えてから、否応なしに本格的な農作業を任され、悪戦苦闘する同級生の「稲刈りを手伝おう」ということに相成った。

まさに60の手習い。義父母が健在な間は、どちらかと言えばお手伝い的存在だった彼。
2人が倒れられた今まさしく孤軍奮闘、何もかも1人でがんばっている。
4反も5反もある田んぼの稲刈りを、1人でやるのは大変だろうとの熱い思い遣りで、タケノコ掘りをさせてもらう竹藪の持ち主と2人で手伝いに馳せ参じた次第。

何をどうするか、現場に着いてから彼の指示を仰ぐ。自慢じゃないが吾輩などは、稲刈りと言えば小学6年生の時以来。彼らの足手まといにならなければいいが・・・と身が細る。いやいや枯れ木も山のにぎわいというではないか。それらしい仕事があるだろうと思い直した。

田んぼの持ち主と竹藪の持ち主は、阿吽の呼吸で話が合う。
吾輩は・・・ヨシッ、得意のインタビュアーになろう。変わり身は早い。あれこれ米作りから稲刈りのノウハウ、そして何より苦労話を引き出して聞き役に徹する。

それこそ山ほどある苦労話。農機具に1千万円を超える投資をしても、一旦やり始めた農業は愛おしい、農地を荒らすのは忍びない・・・という本音が見え隠れ。
冷やかし半分では聞けなくなった。今日の稲刈りも、夜露の渇き具合によって開始時間は微妙に異なる。刈り取ったモミの水分管理は極めて重要などなど。

インタビューも一段落していざ本番となったとたん「コンバインが回転しやすいように田んぼの四隅は手で刈り取るのがアンタの仕事だ」という。
そうなると、今更「素人じゃけー」と逃げられもせず、刈った刈った。
鎌の使い方を2・3株教えられて後は「あそことこことあそこ・・・」。稲のイガイガが首や手に容赦なくまとわりつく。それに慣れる頃には鎌を持つ手の握力が落ちる。

立ったりしゃがんだり悪戦苦闘。16か所もの角っこを助っ人2人の手で刈り終えた。
「昔はこれを全部手で刈って、ハゼに干しよったんよ・・・」などと言われると、なるほど昔の人は強かった。八十八の手間をかけてやっと採れるお米。粗末になど出来ようか。

黄金色に輝く稲穂の脇役として、燃えるような彼岸花が色を添えていた。

コメント (7)
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