間もなくやってくる11月3日文化の日。
今年は5人の文化勲章受賞者と、15人の文化功労者が新聞発表された。
浅学菲才な小生など、文化勲章受章者も文化功労者も、あまり馴染みのない方が多い。
そんな中にあって、『映画は国境を超えて、“生きる悲しみ”を希望や勇気に替える力を秘めている』という、受賞の喜びを語った高倉健さん。理屈抜きで大きな拍手を贈りたい。
文化勲章は、「科学技術や芸術などの文化の発展や向上にめざましい功績のある者に授与される日本の勲章。」
と定義されている。
さしづめ、健さんの受賞は「芸術などの文化発展や向上に目覚ましい功績があった」ということなのだろう。
若い血をたぎらせ、握りしめたコブシに汗をかきながら必死に見つめた銀幕には、健さんの日本侠客伝シリーズ「網走番外地」が映し出されていた。
最近では、あの任侠シリーズなどとは全く無縁の「あなたへ」など、“ 愛 ”をテーマにした日本を代表する作品に登場することが多くなっている。
その俳優生活も決して順風満帆とは言えなかったような。生活のために役者を志したというエピソードは、大方の人の知るところである。
多くを語らず、眼で物を言う渋い役柄は、いつしか高倉健そのもののイメージになっていったのだろう。
現在82歳という。あのかっこよさには遠く及ばないが、せめて、老いを迎え撃つ気持ちのありようくらいは、ちょっとだけでも真似をしてみたい。
もう10年生きたとき、やはり健さんには遠く及ばない、自分は自分でしかないのかもしれないが・・・。