臥龍の梅 (岩国、吉香公園内「洞泉寺」境内)
あれから3年の歳月。東日本を襲った大地震・大津波による未曾有の大災害。
直接的な被災者や、縁者などを合わせ考えると、はてさていったい被災者の数はどこまで広がるのだろう。
そんな膨大な不幸に見舞われたあの日、あの時。2011年3月11日14時46分。
100人寄れば100通りの異なる悲しみがある。
1000人寄れば1000種類の、それぞれに異なる傷の深さと癒されぬ痛みを抱えた3年間。
復興を待ち、期待を寄せることで、折れそうになる気持ちを精一杯支えてこられたことと思う。
それらしいこともできないこの身ではあるが、深い悲しみに寄り添い、束の間でも心落ち着ける言葉の一つもかけたいと思う気持ちは持っている。
そういった応援や、少しでも支えとなりたいと願う人々は、今や日本列島のみにとどまらず、世界の国々から手を、声を差し伸べようとする動きは、大きなうねりとなっているとさえ感じられる。
このような動きは、大震災という不幸な出来事の中ではあるが、一つの幸せを感じる側面ではある。
我が住む町の由緒ある古刹に「臥竜の梅」と呼ばれる、樹齢300年以上の白梅の古木がある。
幹は折れ曲がり、垂れた枝は地に新たな根を張る勢いを見せ、まるで竜が臥したが如き姿形からこのように呼ばれている。
こんな老木が、今年も見事な花を咲かせていた。
ことのほか厳しかったこの冬の風雪に耐え、寒さにも負けず、見事な梅の花を楽しませてくれた。
ふと思う。手垢のついたことわざではあるが「風雪に耐えねば咲かぬ梅の花」。
言語に表しがたい苦難に立ち向かわれている方々に、私ごときが何おか言わんや、という気持ちもあるが、こんな古木でさえ、じっと耐えて花の咲く時期を待っている。
東日本大震災復興支援ソングとして歌われる「花は咲く」と一脈通じるものがある気がしている。