「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「秋の風」

2017年09月20日 | 季節の移ろい・出来事

                    

     " 浜風に 一喜一憂  若き日々 ”     江夏 豊

今日の新聞で見つけたこの句は、往年のプロ野球ファンなら間違いなく記憶に残している、日本を代表する左腕投手「江夏豊」氏の作品である。エッ!あの江夏投手が俳句を愉しんでいたの?と耳を疑いたくなる話ではあるが、事実である。
俳人、坪内稔典さんが気ままに「季語刻々今昔」という俳句コラムに、自身のお気に入りや話題を呼んだ句を取り上げる、一種お気に入りのコーナーでもある。

木割大遊さんの句集「俺」によると、大阪のラジオ番組に出演した江夏氏が、放送中に作ったものだという。
木割さんが「季語がないよ」と指摘したら、「甲子園の浜風は秋よ!」と江夏氏は応じたという。
素朴な句だが、甲子園のマウンドで浜風を気にしている江夏氏の姿が目に浮かぶ」とは、坪内稔典評である。

あのコワモテの、人を食ったような傲慢にも見えた江夏投手でさえ、勝負のマウンドに上がると、上空を流れるその時の風、刻々と動く勝敗を分ける試合の流れという風に、細心の気配りをしながらボールを握っていたのであろう。
そんな奥行きの深さを感じながら眺めるプロ野球の面白さは、やはり勝った負けただけではない、味わいがある。

さて我が身の周りにちょっと目を向けてみても、色んな風が吹いている。
特に、長く付き合ってきた友の生き方にも間違いなく、その時その時の風が吹いているのに気づかされる。
羽振りが良くて大言壮語の割には渋ちんだった男が、ついに倒産。見る影もなくなっていたり、つつましくも一生懸命、自らの運命と闘って人生を謳歌して、静かに一足先に旅立つ者もいる。

さて我が身の風向きや如何に。所詮能天気に生まれ、能天気に生きて来たこの身には、風向きも風の強さもはっきりと意識しないまま、言うなれば「明日は明日の風が吹くさ……」てな調子で生きて来たのかな。
そしてこれからも大きく変わることもなく、大小色んな風を感じながら生きて行くのだろう。

コメント
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