今を盛りに咲くキンモクセイ。その芳醇な香りは、更けゆく秋を愛おしんでいるような。
6月だったか7月に入ってからか、庭に生い茂るキンモクセイにはさみを入れた。
身長約3m。直径が2mを超えるほどに大きく膨らんでいて、風通しも悪く、樹の内部までの日当たりもよくなかった。
思い切って刈り込んだらスッキリはしたものの、なかなか花芽が付かなくて、今年は花も香りもダメなのかな~と半ば諦めていた。
ここにきて、そんな心配をよそに、刈り込んだ枝を黄色く染めるようにいっぱいの花を付け、芳醇な香りを放っている。
こちらは雨乞いをしたくなるほどの雨不足が続いていたのに、キンモクセイが花開いた頃になって雨模様が続く予報が出ている。
今になって、せっかく咲いた花を無理矢理散らすような雨が降らなくてもいいのに、と思うがどうにもならない。
それよりも、あれほどの大水害に弱り切っている被災地に、追い打ちをかけるような雨は許せない。それならいっそこちらに大雨を持ってくればいいのに。
これも無い物ねだりでなんとも致し方がない。
キンモクセイの旬は9月とされている。この花が匂い始めると、あのうだるような暑さから解放される安堵感に浸らせてもらってきた。
それが今年は、あの灼け付く暑さの連続で少し開花時期が遅れたのかな。いずれにしてもこの花の季節は空も高く、空気も美味しい。
自然に身体が動くような躍動感で、何かの行事に参加してみたくなる絶好の季節でもある。
そんなキンモクセイの花言葉は「謙虚」であり「気高い人」だそうな。
あの甘~い独特の香りは芳醇と言う言葉に置き換えられる。それほどに素敵な香りに反して、控えめな小さい花をつけることが「謙虚」と言われる所以である。
また、雨が降るとその芳香を惜しむことなく、潔く花を散らせることに「気高い人」の花言葉が贈られたようである。
小生如き凡人にとっては、「謙虚」も「気高い人」も永遠の夢であり、理想で有り、生きるテーマでもある。
" 散り敷きてそぼろの如し金木犀 "