笑顔の引退会見 去り行くうしろ姿
「森羅万象」。この世に存在するもの全てに始まりがあって終わりがある。
「生」あるところ必ず「老・病・死」がある。それはまさに表裏一体、別個なものとして考えることは出来ないセットみたいなもの。
プロ野球広島カープの新井貴浩選手にもその時が来たのか。今シーズン限りでユニフォームを脱ぐことになった。
広島工業高、駒沢大学という野球名門の道を進んだ割には、当時の注目度は決して高くなかった。カープへの入団も、ドラフト順位6位という決して野球エリートでもなければ、器用さやスマートさも持ち合わせない選手であったように記憶している。
ただ、あの大男が、必死にがむしゃらにコーチの指導を受け、いつも泥だらけ、玉のような汗を流していた印象を思い出す。
カープ入団後、遅咲きの大輪は花を見せ始めた。万年Bクラスのカープを盛り上げる魅力は十分に持っていた。
ただ小生自身の目には、いつまでたっても、どんな活躍をしても「なんかしら頼りないなー」という印象がつきまとった。
それでも彼なりに努力したお陰で最盛期を迎えた。そこで阪神に移籍した。FA権、フリーエージェント制度という、一定の期間一軍選手として活躍したら、他チームへの移籍を自らが選べる権利、を活用して、低迷の続くカープを優勝させないまま阪神に移籍した。
やはりこの程度の選手であったのかとがっかりしたのが、当時の新井選手に対する小生の正直な印象である。
7年間阪神在籍の後再びカープに戻って来た。いわゆる出戻りというマイナスイメージは、多くのカープファンが感じた通りである。
1球目2球目の絶好球を簡単に見逃して、直後のとんでもないボール球に手を出すクセを何度見せつけられたか。
そんなこんな功罪ひっくるめた一プロ野球選手が引退会見をした。晴れやかな笑顔であった。
阪神に移籍したことを過去のこととして、絶対信頼の応援を続けたカープファンに対して、感謝以外の何物でもない素直な言葉と笑顔であった。カープの3連覇に貢献した功績は大きい。一昨年の最高齢MVPという勲章も光る。
だからというわけではないが、最後まで新井選手の心情を貫いた「フルスイング」。そして「誰からも愛されるキャラクター」にはケチをつけるつもりなどない。むしろ、心の底ではいつも、他の打者よりも大きく期待していたのかもしれないと、今にして思う。
笑顔で去り行く背番号25に「ご苦労さん」「よくやったね」。惜別の言葉と拍手を贈りたい。
できるなら、昨日の試合では打つ姿を観たかったものですが・・・
不器用でも、期待薄でも、「諦めず人一倍の努力をすれば報われる」と教えてくれた人だと聞きます。
「努力は実る」「努力は天才に勝る」新井選手に今思う気持ちです。
そして「可愛い後輩と日本一になってうれし涙を流して終わりたい」との言葉どおり是非是非実現させてあげたい、いやいや、実現させてください。
まさしく「努力は実る」を実践した貴重な選手ですね。
新井選手の努力と執念を、堂林選手に受け継がせて欲しいです。
兎に角、三振も多かったですが、あの大きな体のフルスイング。ファンを惹き付けました。
愛されるキャラを持ったカープの星が一つ消えました。次に誰かが出てくることを期待しましょう。