放送が始まって早くも13週を迎えるNHK朝ドラ「おちょやん」。おもしろい。NHK大阪の制作だけあって、関西弁が耳に心地いい。中でも、主人公の「ちよ」が、わめいたり、泣いたり笑ったり、ときに聞き取りにくいほどの早口でまくし立てたりする。そんな後で「おおきに」と言いつつニコッと笑ったり首をすくめたりする。そんな仕草と重なって「おおきに」にまで愛着を覚えるのだろうか。
室町時代以降に使われ始めた「非常に」とか「大いに」の言葉に代わる表現、という解説もある。また「おおきにありがとう」の略でもあると言われる。
好きな言葉がいくつかある関西弁の中で、この「おおきに」は、何故か別格の味わいを感じさせるお気に入りである。特に、弱い立場の「ちよ」が言うから、耳に馴染むのかもしれない。
単に有り難うという感謝の言葉の奥に、なにかもっと深い人間くささが潜んでいるような気がするのである。なんで?と聞かれたら答えようがないのだが、「おおきに」と言われたとたんに、自分がとってもいいことをしたような喜びを感じさせる、もっと燃えたくなる。そんな不思議な魅力を持っている。
世の中にもっともっといっぱい溢れさせたい「おおきに」である。
何でもかんでも当たり前のことになってしまって、「有り難い」「お陰さんで」「感謝」といった感情が希薄になっている。そのつながりで、汗をかいたり、必死になったり、歯を食いしばるなどの「努力」という言葉が消え入りそうに感じる。それは、昭和10年代生れのひがみなのかねー。
ま、ときには報われない努力もやってみるといい。頭をひねった分、手をカサカサに荒れさせた分、何かの余韻が頭の片隅に残るものもある。
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