「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「秋四っつ・・・」

2013年10月11日 | 季節の移ろい・出来事

     
               咲き乱れる芙蓉の向こう、稲の天日干しが秋の日に映える。

夏の盛りから咲き始める息の長い花「芙蓉」。秋半ばの今もきれいな色を見せてくれる。
一本の木に、白やピンク、紅など複数の色の花を咲かせる。一見不思議な花木ではある。

そんな芙蓉の向こうに、刈り取ったばかりの稲の天日干しが見える。
のどかな田舎の秋を絵に描いたような風景が広がっている。
この天日干しは正確には「 稲木(いなぎ)」「稲掛け」「稲架掛け(はさかけ)」「稲架(はさ はざ はぜ)」など呼び方は色々ある。子供の頃には「ハゼかけ」と呼んでいた。

カマを持った手で稲刈りをしたのは昔の話。今ではコンバインと呼ばれる稲刈機で刈取り、束になって機械から放り出される。それを半分に手で分けて広げ、竹の竿に掛天日に頼るのがハゼかけである。
もっと発展したコンバインは、刈ると同時にモミを稲穂から取って貯蔵タンクに入れる。ワラは10cmほどに断裁されて田んぼに撒かれ、肥しにされる仕組みとなっている。これだとワラが残らない。
お正月用のしめ飾りなどの縄用品は全く作れないことになる。

そこで、刈取りはコンバインでも、その後の処理は手を施すことでワラを確保できる、という利点があるのがハゼかけである。もっとも、しめ飾りなどは、もち米のワラしか使わないのだそうな。ワラの長さが違って縄を編みやすい。

また一つ見つけた小さな秋。このように順調な実りを目の当たりにすると、遠い昔が思い出される。

『 小学4年の夏休み、隣のお年寄りに頼まれるまま、田の草取りに初挑戦した。
  回転式爪のついた昔ながらの除草機を押したり引いたりしながら、前に進む。
  頭からは真夏の太陽が降る。足元では、まかれた石灰が水と反応して、素足の
  すねやふくらはぎはやけどするほどに熱い。がまん、がまんの半日。駄賃として10円もらった。
  
  米作りの大変さを身をもって思い知ると同時に、、駄賃のありがたさ、裕福さが身にしみたあの夏。
  以来、黄金色に染まる稲穂の波打つ季節は、また一つ気合を入れ直し、がまんを呼び起こす節目としてきた
  つもりだが・・・ ・・・ 』
                             

                                2013.10.8  毎日新聞「はがき随筆」 掲載

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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ぴよぴよ さん (yattaro-)
2013-10-12 21:14:16
ありがとうございます。
最近では見られなくなった光景ですね。
祖生や玖珂あたりでは、懐かしいハゼ掛けを見せてくれます。
駄賃10円。裕福な夏休みを過ごしたように思い出します。
はるか昔のことですが。
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takeko さん (yattaro-)
2013-10-12 21:06:39
日本の食物を代表するお米。
大昔から伝統的な作業で今日まできたのですから、こういった稲の干し方は残っているんよ。
こうすると、ワラも大切な資源になるしね。
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稲掛け (ピヨピヨ)
2013-10-12 20:35:56
はがき随筆おめでとうござました。

最近では見かけなくなった光景で懐かしさを感じます。
「稲掛け」と言っていました。
木に登っていちじくを食べながらお手伝いをしていた頃を思い出します。
お駄賃、10円?
ここは昔と大きく変わっていますね。

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ハゼかけ (takeko)
2013-10-12 01:34:29
またもや、お目でとうございます、よかった、よかった。もう全く稲は干さないものと思っていたんよ.そーよねーワラでないとできないものがあるもん。勉強させてもらった.ありがとう.
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