見事に実った梅の実
早く行かなければ……と気持ちは焦っていた。
これ以上遅らせると、雨に叩かれて半分以上落ちてしまう。実り具合といい、今が旬の時。気持ちを奮い立たせてやっと今日行ってきた。
毎年この季節の一大イベント「梅もぎ」である。クルマで1時間のカミサンの里にある、わずか3本の古木の梅林。
小生にとっての梅もぎはかなりの覚悟が要る。
芳香を放ち、人が喜び楽しむ花を咲かせる。その花の多くがやがて実を結ぶ木である。虫たちにしてみれば格好の住みかでもあろう。
カタツムリや小ぶりなテントウムシなど言うに及ばず、いろんな種類の虫が静かに息をしている。そんなところへ、人間様という、彼らにとって大敵が無遠慮に
入り込み、住みかを荒らされるだけでなく、食料としている梅の実をごっそりさらっていくのだ。彼らとて抵抗の一つもしたくなるだろう。
そんな虫の中に「茶毒蛾」という開帳2~3㎝の小さな毒蛾がいる。その幼虫は「茶毛虫」といわれ、目に見えにくいが確かに生息している。
小生のように、面の皮も肌の皮も薄い人間が茶毛虫の毛に触れようものなら、先ず明日は皮膚科行きとなるほど強烈な湿疹を発症する。
こちらだって対策を講じる。厚手の冬用ジャンパーの下に、長袖のビニールヤッケを着込み、首にはタオルを巻き込んで……、完全装備。
時期やよし。熟れ心地よし。結構な青梅を収穫してきた。なんでそこまでして梅を欲しがるのか。
格別梅が欲しいわけではない。その昔、山だった荒れ地をなんとか耕作地に替えて、野菜を作り自給自足を目指した義父母の歴史。
以前は栗林もマツタケも採れていた。それらが今は見る影もなく、元の山林に戻り足の踏み込み場もなく荒れている。
道路のそばで、手入れがしやすくて、花を愛でその上確実な収穫もあるこの小さな梅園は、いうなれば唯一残った義父母の形見みたいな思いがある。
そんな郷愁と欲との二人連れ。せめて虫対策を万全に、枝打ち剪定・草刈り・施肥・樹勢の保護に、微力を注いでいるというのがホンネかな。
もぎたての梅の実の放つ甘酸っぱい香りが家中に広がる。これぞ我が家の6月の香りである。
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