姫ちゃんと合計3回見ました。
3回とも泣くなんて予想外の出来事でした。
初演の月組のこと
「1789」ってタイトルを見た時、「またフランス革命ものなの?」って思ったのは覚えています。
でも、実際に見てみたら貴族側からではなく庶民のロナン目線から見たフランス革命の話で楽曲のよさに感動しました。
トップとトップ娘役がほとんど絡まないなんてとは思ったけど、愛希れいかの王妃様は最初から最後まで上品で美しく、誇りに満ちた大人の女性。
ロナンは無茶苦茶で滑舌が悪いけど頑張ってた。
早乙女わかばのオランプが可愛らしくていじらしくて、龍真咲とのコンビが非常に似合ってました。
美弥るりかのアルトア伯爵は本当に妖艶で存在感がありました。
全体的にはロナンとアントワネット中心でその代わり革命家達が脇に回っていましたよね。
再演もありだなとその時思いました。
やるなら星組がぴったりなんだけど・・・これって結構歌唱力がいるし。なんて頭の中で色々想像していたから。
また、この作品でフェルゼンに恋した私。
今見ても暁千星のフェルゼンは「マダムのつばめ」にピッタリで、アントワネット様のお蔭で随分出番が多かったんだなという事がわかります。
時を経て、本当に星組で再演する事になりびっくりしたのと同時に、暁千星にとっては二度目の「1789」なんだなと感慨深くて。
小池先生は「時勢に合わせた作品」を目指すと記者会見で話していたので、恐らく東宝版に近い形になるのかなと思ったら、実際にそうでした。
小池先生によると、この作品は非常に「客観的」だと言います。
庶民が貴族を客観的に見る。一方貴族も庶民を客観的に見る。
そうする事によってフランス革命のあの有名なバスティーユの場面の描写が冷静かつ客観的に見る事が出来る・・・という事ですね。
実際、私は回を重ねるに連れて、どうしても今の日本の政治を考える事が多くなり、「暴力は怖いしダメ。けれど何も抗議しない国民ってどうなの?」とか「左翼というのは理想ばかり先走って、現実を考えない。青春を駆け抜けているカミーユ達がのちのち辿る運命を考えると、やっぱり左翼が政権を取ったらダメなんだ」とか、もう本当に政治について考えました。
今の日本は急速に左傾化しています。
その事に気づかない国民のなんと多い事か。
沖縄など知事自らが中国の「自治区」にしようと準備をしています。
マイナンバーカード、増税、LGBT全ての政策が極端な「自由・平等・博愛」に侵されてかえって独裁的になっている事を国民は知るべきです。
確かに「人権宣言」では出版の自由などが保障されていても、それはあくまで「他人を害さない限り」であって、当時のアントワネットへの誹謗中傷も含め、現代日本の、俳優を業界から追放したり、皇族を貶めたりする程のペンの力というのは本来の民主主義とは違うと言う事です。
また左翼が好きな「人民」という言葉も、フランスだから通じるのであって、これを日本に当てはめるのは間違いだと私は思っています。
月組とも東宝版とも別物だった1789
出だしは紗幕の奥に一遍の絵のように立つ農民たち。そこにペイロール達がやって来て、マズリエ達の逮捕、土地没収を行います。
ロナンの父が死に、ロナンは妹を置いてパリに出ます。
今回はロナンとオランプが主役ですからきっちりと恋愛が描かれ、アントワネットとフェルゼンの恋はちょっと横に追いやられました。
月組でもロナンを惑わすペイロールの言葉「プチブルジョアに操られている」という言葉が初演当時よりより観客の心にひっかかり、真実はどこにあるのかと考えさせられます。
ただ、オランプの立ち位置ですが、彼女は庶民ではなくとりあえず貴族の娘ですよね。そうは言っても「身分違い」っていう程でもないし、ロナンとの別れも月組版では「身分の違いではなく思いの違い」とオランプは言ってます。
星組版では「身分違い」じゃあ「許されぬ愛」まで行ってしまうのですが、私的にはロナンとオランプの恋って「神様に裁かれる」程のものか?と思ってしまって。
追加された楽曲「革命の兄弟」によりロナンとカミーユ、ロベスピエール、ダントンの繋がりがより強くなり、信頼度も熱くなるのでより喧嘩のシーンが引き立ちました。
初演カミーユの「武器をとれ」が今回は優しい曲に代わっていて、暁千星の声量と発声に合わせた感じになってます。包み込むように庶民を躍動させていく様がわかりました。
「愛し合う自由」によって、ロナンの「人はそもそも自由な存在。誰が誰を愛しても構わない」というメッセージがより強くなるので、最後の人権宣言が生きます。
結果的に、フランス革命青春群像劇になっていて、星組の結束力により、さらに観客は涙するわけですね。
衣装について
月組版はタイシルクかなんかを使って軽い感じでした。
でも、今回はカミーユの衣装が一番重くてがっちりしています。
全体的に横縞。2幕目のロナンの衣装は「伊勢丹ジャケット」とかネットで言われていたけど、実際に目にするとそうでもないです。
アントワネットのカジノの衣装は、色が濃くて薔薇の花が溶け込んでいるかのようでいいなと思います。
オランプの衣装は色味もデザインも好きです。
姫が、ロベスピエールの二幕目の衣装を「ウルトラマンみたい」というので笑ってしまいました。
まさか、フィナーレにドピンクを持ってくるとは思わなかった。
何でピンク?って思う暇もありませんわ。
「ガラスの仮面」の「たけくらべ」のような役作り
知らない人もいると思いますが「ガラスの仮面」は俳優女優を目指す人のバイブルだと思います。
姫川亜弓による原作から飛び出て来たような美登利の造形に対して、北島マヤが演じた美登利は原作とは全く違う元気で威勢のいい美登利でした。
それでいて両者ともに「おきゃん」「リーダーシップを取る娘」として描かれているわけです。役者というのは、例え同じ役を演じる事があっても、そこに自分なりの解釈や違いを見せなければいけないという教えですね。
まさに今回はその通りの役作りをやっていた星組
それぞれのキャラが立つというか、そういう演技もあったのかとこちらが驚く役作りをしていました。
星組版で知った歌詞の中身
月組さんごめんなさい・・・初演の時は、あまりに滑舌が悪くて、みんな何を歌っているのかわからなかったんです。
っていうか、そういうのはどうでもいいのかな?と思って観劇した自分がいます。
しかし、今回はしょっぱなからロナンの「裁判を受ける権利もないのか」と発した時から「ただ一つ残ったのはこの身体と肌一枚」という歌詞がこんなに心にずしっと来るとは思いませんでした。
「パレ・ロワイヤル」の曲も「学問がなくても」でカミーユが本を読む振りしてそれをぱっと捨てるんですんでけど「そっか、学問なくてもいいんだ」と妙に納得したり。
アントワネットとアルトア伯にとっては全ての行いが「賭け」なんだなと思ったり。
場が進むに従って楽曲のよさが胸に迫ります。
特に「誰の為に踊らされているのか」は客席降りがあり、下級生が列の途中で立ち止まっているので興奮マックスになります。
月組版でもここは称賛されていましたが、今回は全員ダンサーですからさらに興奮しますね。
泣きスポット
恐らく・・・マリーアントワンネットが、フェルゼンに別れを告げる辺りから客席は涙の渦になり、しくしくが聞こえます。
「サイラ・モナムール」で、武器をそれぞれ受け取る時には私も耐えきれず泣き始め、
それがラストになって「人権宣言」の時にはもう涙腺崩壊状態になります。
さらに白い衣装でロナンが出て来て最後の歌を歌っている時、よくよく革命家3人を見ると、最初は真面目な顔しているのに歌う時になると肩を組んで満面の笑みになるので、さらにそこで大泣き。
個人的には瀬央ゆりあがものすごいピンクの衣装でせり上がってからもひきずっています。
こんなに泣いたのは「ファントム」と「壬生義士伝」以来かな。
星組のテーマ・・・それは役としての成長
芝居というのは始まりがあり、そこから終わりに従って役の人物がどれくらい成長して行くかが鍵になり、それがないと面白くありません。
そういう意味では、星組は、それぞれの役柄が1幕と2幕では性格や行動が変わっていく、いわゆる「成長」がはっきりと見てとれます。
上級生から下級生までそうですから、芝居にメリハリがついて、ついつい観客も引き込まれていくんですね。
芝居というものの中で「役の成長」は基本中の基本なんですけど、これが中々出来ないんです。
作者もそうだし、役者もそう。
でも最も大事な部分だと私は思います。
出演者について
礼真琴・・・初演のロナンは本当にあまり考えなしに突っはしっていきますが、こちらは思慮深い部分が大きいです。迷いに迷った末に革命家達の情熱に押されて、自分の生き方を決めていく。恋も革命も諦めない強さを感じました。
やっぱり歌唱力があるってこんなに素晴らしいんだなとつくづく感じた次第。
ダンスにしても真ん中で踊ると回りが引き締まるというか、2幕冒頭のダンスの迫力が本当に素晴らしくて。この場面だけにお金を払ってもいいかもと思います、
舞空瞳・・・今までどんなに演じた役より、ぴったり合ってたなと思います。早乙女わかばのオランプは女の子として可愛くけなげで助けて上げたくななるのに対して、舞空オランプはどこまでも猪突猛進タイプで頑固な部分があるなと。けなげさを感じないというのがちょい欠点なのかもしれませんね。
瀬央ゆりあ・・・初演のアルトア伯はまさに「青い血」の持ち主で育ちもよく見た目も妖艶、そしてオランプに気がある感じですが、こちらは「世界は私のもの」という帝王風っていうか、策略家で女でさえも力づくで手に入れたら捨てる。王座への執着がすごかったなと思います。
暁千星・・・初演では誠実で可愛いフェルゼンだったのに、今回はカミーユという、ファンには感慨深くてしょうがない。
凪七瑠海のカミーユは年上っぽくて声が細く、上品な感じでしたがこちらはダントンらと共に青春駆け巡る文筆家という感じ。ダントンとキャラが被らないように、あえて抑えている部分もあります。
「可哀想に同情するよ」などのセリフを屈託なく言えるのはカチャと同じですが、それゆえに2幕での豹変ぶりというか「武器をとれ」に繋がっていく心情がよくわかりました。フィナーレでの回し蹴りも好き。
リュシルとの仲は初々しくて品があります。
極美慎・・・ロベスピエール。リーダーシップを発揮して、扇動するのが上手。ダンスが空手の型になるのが楽しくて見てます。
今回のロベスピエールは険しい顔と怒った顔ばかりで、それゆえにラストの笑顔が光ります。
天華えま・・・ダントン。非常に大人です。カミーユやロベスピエールの保護者的な感じで、喧嘩のシーンではひたすら説得している姿が彼らしい。
またソレーヌとのカップリングが色気ありすぎ。大人のカップルです。
有沙瞳・・・非常に個性的なアントワネットです。
少女の顔と大人の顔を使い分ける。声音を変えるなど七変化を見せてくれます。1幕では恋する乙女を前面に出していたけど2幕になると「母」「妻」が前面に出て、これこそがアントワネット様だなと思います。日本人はエリザベートより愚かだけど成長して行くアントワネットが好きなんじゃないかしら?
有沙瞳の退団公演として集大成を見せて貰った感じです。
小桜ほのか・・・ソレーヌ。初演より断然存在感あり。きちんとロナンの妹だとわかるし、「兄にすてられ」の時のド迫力がすごい。小桜さんって地声もイケルんだなと。この「兄にすてられ」ソレーヌに自分を重ねて泣いているのが我が家の姫で、家を出た兄を今も恋しがってます。
天飛華音・・・フェルゼン。初演の時より出番そのものが減っているし、歌もないし、表現のしようがないと言われたらそれまでなんですけど、もう少しアントワネットへの情熱を見せて欲しかったです。こうしてみると初演のフェルゼンは演技がうまかったんだなと(当時は全然思ってなかった)
ひろ香祐・・・美城れんの国王よりさらにおっとりバカっぽいというか、自分がない人になってます。
だって子供を失った妻に「ネジ巻」をプレゼントしようなんてねえ。処刑道具を自慢に来たり。空気読めないにもほどがあるんじゃないの?って思う。
革命が起こるのもしょうがないかな。
輝月ゆうま・・・ペイロール。星条海斗には遠く及ばない出来でした。なぜか目立たない。もうちょっと怖くないとなあ。
詩ちづる・・・可愛くて必死な女の子って感じです。この学年でヒロインを経験し、エトワールもやって将来見えて来たな。
革命家達のハモリがとても美しくかっこいい。98期はダンサーでハンサムぞろい。稀惺かずとは子犬のようにかわいいし演技力もあり。鳳真斗愛は何をやっても目立って面白い。
綺輝咲玲央のネッケルは光月るうより冷静。やっぱり自分は所詮外国人と思ってるから?
毎回力いっぱいやってるのが客席にも感じられて、いつも得をした気分で家路に着く事が出来ます。
フィナーレのダンス、月組版もほんと、好きだったんだよね。
でも、今回は今回でまあいいっか?
「1789」の記事とても楽しく拝見しました。とんすけくんも楽しかったみたいでよかったです😊
私も今回はムラ遠征をしました。一言で言うなら「思い切って遠征して良かったーー」と思うくらい見応えのある作品でした♪
初演も観ているので、どこ場面がどう変わったのかとか月組生と星組生の役の解釈の違いなど面白かったです。
今回は「革命」が前面にに出て平民たちが皆んな必死に革命に火を燃やしてるのがよくわかりました。恋人たちとのいちゃラブも目が離せなくて、ダントンとカミーユのそれぞれの恋人に対する接し方が良い対比になっていました。私はライビュやDVDでトップコンビどうせ映るからと思いセンターそっちのけで両脇ばかり観ていました😅
昔の名前に戻られたんですね?
私、「やまとは くにの まほろば~~」が好きなので
何となく嬉しいです。
そして ふぶき様 3回もご観劇とは
羨ましくて 地団駄踏みそうです。(^^♪
それ位 観劇できたら歌詞も舞台転換への理解もヒトシオですね。
私は2日の配信が お初です。
貴重なレビューをありがとうございました!!
私は東京公演が貸切公演当たっていて生観劇できることになりました。
細かい解説ありがとう御座いました。とても良く解りました。主演の礼真琴は一人劇団四季ですから、それに組子がひっぱられ自然と歌が上手くなります。8月楽しみです。そんなに期待しては居ませんでしたから。