カタハ
秋は山の畑への行き帰りに杉林を覗くのが楽しみだった。
「カタハ」とこの辺りで呼ぶ「スギヒラタケ」が見つかるからだ。
杉の切り株や、雪で折れて、横たわる杉の木に、白く折り重なるような形で出ている。
味噌汁の実が一般的食べ方だが、炒めても美味しいと言う。
ある日、「カタハ」採りを思い付き、廃道に近い状態になった山道を登った。
その道の脇に杉林があるのだ。思ったとおり、人が入った気配は無い。
切り株のみならず、雪折れの太い杉にも白いカタハが出ている。
斜面の下方から採る。ふと何かの気配を感じて上を見た。
すると子兎が目を丸く見開き、私を見つめていた。
見つからないための知恵なのか、恐怖心なのか動かない。
そっと捕まえ、家に連れ帰った。越後野兎は飼っても育たないと聞く。
しばらく子供たちと見た後、一緒に山道に放しに行った。離された子兎はすぐ藪には入らず、
道をゆっくり走り、そして見えなくなった。
さて、そんな、もっとも中毒とは無縁で、安全と言われていた「カタハ」も、
急性脳症との因果関係が取り沙汰され、食べてはならないキノコになってしまった。
「人が採らんくなって馬鹿良いぜ」なんてつわものも居るが、
頭の弱い私は避けた方が良いようだ。
秋は山の畑への行き帰りに杉林を覗くのが楽しみだった。
「カタハ」とこの辺りで呼ぶ「スギヒラタケ」が見つかるからだ。
杉の切り株や、雪で折れて、横たわる杉の木に、白く折り重なるような形で出ている。
味噌汁の実が一般的食べ方だが、炒めても美味しいと言う。
ある日、「カタハ」採りを思い付き、廃道に近い状態になった山道を登った。
その道の脇に杉林があるのだ。思ったとおり、人が入った気配は無い。
切り株のみならず、雪折れの太い杉にも白いカタハが出ている。
斜面の下方から採る。ふと何かの気配を感じて上を見た。
すると子兎が目を丸く見開き、私を見つめていた。
見つからないための知恵なのか、恐怖心なのか動かない。
そっと捕まえ、家に連れ帰った。越後野兎は飼っても育たないと聞く。
しばらく子供たちと見た後、一緒に山道に放しに行った。離された子兎はすぐ藪には入らず、
道をゆっくり走り、そして見えなくなった。
さて、そんな、もっとも中毒とは無縁で、安全と言われていた「カタハ」も、
急性脳症との因果関係が取り沙汰され、食べてはならないキノコになってしまった。
「人が採らんくなって馬鹿良いぜ」なんてつわものも居るが、
頭の弱い私は避けた方が良いようだ。