畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載17『桑の実』

2015-05-09 04:47:10 | 山菜


  桑の実(桑イチゴ)

 貧しい時代ではあったが、子供も大人も生き生きと、輝きながら暮らしていた。
そんな記憶は単なるノスタルジアなのだろうか。

 皆が貧しかったから、特別貧しさを恥ずかしいなどとも思わなかった。
虚栄心や、見栄を競い合う事もなかった。テレビどころではなく、ラジオさえまともに無かった時代に、
子供の時代を生きる事が出来た事は、負け惜しみでは無く幸せだったと思う。

 子供達は天気さえ良ければ表で遊ぶ。晴れた日に家に閉じこもっているのはかなりの変わり者だ。
そして、子供たちだけで遊んだ。
 夏になると、桑畑に潜り込む。桑の甘い実を食べるのだ。お菓子を買うなんて、贅沢は考えられなかった。
畑で運良く甘い桑の実に出会えたら最高の幸せだ。口の周りを桑の実の色で紫色に染め、むさぼり食べた。

 蕗の葉を採り、桑の実を包んで絞り、茎を伝い落ちる汁を飲む。
後はアルミの弁当箱に入れて持ち帰っておやつとしていた。

 しかし、時代が変わって養蚕よりも手っ取り早いお金稼ぎの手段が次々と生まれて、
養蚕は終り、桑畑は姿を消してしまった。
 山の畑に行く途中に、桑畑の名残か、大きな桑の木が何本か有った。
懐かしくて、背を伸ばして採り、間に会わなくなると、軽トラの荷台に乗ってその味を懐かしんだ。
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貧しいながらも美味しい我が家

2015-05-09 04:03:22 | 食べ物

 さて、皆さんご存知でしょうか。分かったらかなりの魚沼通ですね。
こちらでは「木の芽」と呼ぶ、「三つ葉アケビ」の新芽です。

 これは本当に幽玄と言う言葉がぴったりの味だと思います。
僅かな苦みと、新鮮な植物の命の味です。



 これはもう、時期が遅くなってしまったけれども「コゴミ」です。
川端の「コゴミ」は伸びきってしまい、これは山裾の雪の消え際のもの。



 我が家の畑で採れた「トウ菜」の胡麻和え。
これも本当に春、一瞬の畑の味わいです。



 本当に今年の春は流れが速い。
あっという間に独活の季節になり、香り高い酢味噌和えになって食卓へ。



 でも、いくら貧しいとは言え、「草食系」では有りませんから動物性蛋白も。
とは言っても冷蔵庫の冷凍室で眠っていた、残り物の「塩鮭の切り身」です。

 味噌味でチャンチャン焼き風の味かな。
山菜は、全て近くで採れます。

 山の畑仕事の帰りに採って帰ったり、僅かな時間を作って山裾へ走ったり・・・。
これで、すぐに食卓へ並べることが出来るのですから、本当に幸せ。

 貧しいながらも豊かな食卓。
うーん、今夜も発泡酒が美味しくて、その後の焼酎が又美味しい。乾杯!
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