借地人第一号(その1)
今春買い求めた土地に草が生茂ってきた。
その土地は、裁判所の競売が新聞に掲載され、それを見て妻と熟慮の上、
なけなしのお金をたたいて手に入れた全財産とでも言うべき土地でもあった。
回りは水田のため、雑草を繁茂させると、カメムシの巣になると、にらまれる事になる。
(それまでも、資材置き場として使われていて、草に覆われて履いたのだったが)
友達の手助けを得て、日曜の午後草刈作業となった。
草刈初心者の友達には手鎌刈りを頼んだ。
大きな石やらコンクリート片などの草刈機の障害物の周りを、先行して刈ってもらう。
広い土地の奥まった部分に、葦が繁っている部分がある。丈の長い葦は手鎌では苦労するので、
草刈機で私が先行した。
回転する刃先を振り回しながら進む内に、わずかな空間を見つけ、はっとした。
白色の鶏卵大の物が固まりになっている。一目で鳥の巣と分かった。
(続く)