尾根を登りつつ、油断なく周囲を見渡す。
薄暗い秋の雨空に浮かび出たのは山芋の「むかご」のようですよ。
「むかご」のなっている蔓を視線で追うと、やはり太い山芋の蔓。
こんな遅い季節になっても、初雪が降らない限りはスベルべは山芋を探し出してしまいます。
山芋の蔓には「節(ふし)」と呼ぶ関節があります。(山芋の蔓に似たトコロに節は無い)
その節の一節。土から出た最初の蔓はこのように残り、これを探し出すのが名人かな(笑)。
なおも、尾根を登り続けると「根曲竹」の群落にぶつかります。
山の畑からは離れた、こんな場所に忙しい春の畑の仕付け時期には来れないけれど、もったいないなー。
我が家の山の畑と、我が家の間は狭い区域ながら本当に宝の山ですね。
竹藪をかき分けて、上へ上へと登り続けます。
オットー、今度は「ゼンマイ」の枯れた群落です。
昔は、ベテランの女性たちが競って採ったゼンマイも今は採る人も少なくなり、こんな秋を迎えます。
「ゼンマイ」の落ち葉なんて珍しいでしょう。
なお、手前の大きな枝と葉の枯れたものは「山独活」のものですよ。
尾根の途中から、廃道に近い状態になった旧道にたどり着き下り始めます。
昔、昔のまた昔。こんな風景を見ながら収穫した重い大根を背負って下ったものですよ。
廃道は語る事なし。
ただ、冷たい晩秋の雨に濡れるのみ。古い追憶、感慨に浸りながら下るスベルべでした。
(終わり)