ブライアン・ヘルゲランド 監督
先年 亡くなった俳優ヒース・レジャーの出世作と言っていいでしょう
騎馬での槍の試合に出た主人の騎士が死んでしまい途方に暮れる従者ウィリアム(ヒース・レジャー)と家来達
この時代 従者も騎士や重要な地位にある貴族からの儀式を受ければ騎士になれるのだが
ウィリアムは主人の代わりに身分を偽り 大会に出て 勝ち続けていく
ウィリアムはもとはと言えば屋根職人の子供
父親がある騎士を見込んで頼みとし 預けたのだ
運命は明日は自分で掴めと
波打つ金髪が美しい少年は 泣く暇もなく鍛えられ逞しいがややお調子者の気のいい青年に成長した
一行に将来は著名な作家になる弁の立つチョーサーも加わる(実在の人物です)
ウィリアムの真っすぐな気性は 相手がおしのびの王子であろうと手加減したりへつらうことはない
敵に背を向けること 逃げること
それはしたくない
そんな潔いウィリアムの言動は 王子にも新鮮で強い印象を残す
ウィリアムと同じように勝ち続けるアダマー伯爵(ルーファス・シーウェル)は ウィリアムに脅威を覚え 挑発したり卑劣な罠を仕掛けたりする
その伯爵がウィリアムの愛する貴婦人に結婚を申し込むと言った
こんな男に愛する女性を渡せない
だが生家近くで大会が開催され父の消息を知り 会いに行ったウィリアムは 尾行してきた伯爵に秘密を知られてしまう
盲目となった父の家の雨漏りがひどく修理していた姿を見られてしまったのだ
身分を偽った罪でさらされるウィリアム
しかし民衆が加える危害から仲間達が庇う様子を見ていた王子は
実は遠く王家の血を引く者なのだと解き放ちを命じ 王子自ら ウィリアムに騎士の位を授ける
(いや この王子様が渋いのです いい役です)
戦えるか?と問い案ずる王子に 力強く笑顔で答えるウィリアム
伯爵が細工した武器は弾け折れ ウィリアムに突き刺さる
馬に乗るのもやっとのウィリアムは槍を握ることすら出来ず 伯爵の猛攻にあうが辛くも落馬を免れる
チョーサーの感動的な言葉は観衆をウィリアムの味方につけた
ウィリアムは傷の為 鎧を着ているのも苦しく外し 腕に槍を縛り付け 最後の戦いに臨む
その全てを賭けた 存在のありったけを込めた気迫は 伯爵を一撃で地に這わせた
騎士の物語は 愛する女性とのキスで大団円
何度見ても楽しく面白い映画です
ウィリアムの恋を応援する周囲のどたばた
勝ち続けるウィリアムを中心に盛り上がりまとまっていく仲間達
危機に際してウィリアムが見せる侠気(おとこぎ)
少年が 心から 形からでなし 真の騎士になっていく成長物語であり
父が息子の将来を思う決断も心を打ちます
身分ある令嬢ながら愛する人を思い その優れた人柄は ウィリアムのしがない盲目の父親にも優しく向けられます
脇役一人一人までもが いきいきと描かれているのです
笑えて泣けて ちょっとドキドキして
見終わったあと いつの間にか 笑顔になっている映画です