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チェギョンの小刀を自分の胸に当てた中宗。
その切っ先は、中宗の胸を少し切りました。でも、チェギョンは、そこまででした。
旦那さまの命令ですか?・・・とチェギョンは聞きました。敢えて‘旦那さま’と言ったところに、彼女の皮肉が込められていると思います。
中宗は、正直に言いました。
自分の為に動いた誰かがしたことだから、自分の責任だ・・・と。家族を守ると言う約束を守れなかった・・・と。
崩れるように座り込み、中宗は泣きました。チェギョンは、背を向けました。
中宗は、自分に今出来る事を精一杯しようと思いました。
チェギョンの為に両親の霊を祭った部屋を作りました。いつでも両親と話ができるように・・・と。
その心を、チェギョンはちゃんと理解していました。
こうなった理由も推察出来ました。
だから、決心しました。中宗に寄り添って、一緒に歩いて行こうと。チェギョンを中宗から離そうと企む輩がいる事が分かった今、今まで以上に愛し合い、信頼し合って、生きていこうと。それが、二人を中違いさせようと企む者たちへの復讐となる筈だからと。
「強い君主におなりください。そして私たちをお守りください。」
チェギョンの強さが素晴らしいです。
そして、やはり中宗の優柔不断さが気になります。
一見すると、無謀で感情に任せて突き進むように見える中宗ですが、反面、仲間や愛する人たちに厳しく成りきれないところがあります。
シン・スグン夫妻を殺してしまったのも、パク・ウォンジョンの暴走と言えるでしょう。それも、自分の権力を増大させようという目的ですからね。
なのに、罰し切れないのです。
論功行賞をした時、パク・ウォンジョンに大きな功があると言いながら、シン・スグンの件を責め、本来ならば、死にも値する暴挙だと指摘しました。
しかし、一等功臣ということで、公の場で罪を責めることをせず、二人だけの場で事を収めてしまいました。つまり、一等功臣が本来得られる赦免権をここで使ったことにし、今後は一切慈悲は無い・・・としたのです。
ダメだよ~それじゃ、野放しも同然ですよね。
やっぱり
この事で、中宗の自分への怒りがはっきりし、チェギョンと別れる気は全く無いと分かったわけですよ。
だとしたら、パク・ウォンジョンのターゲットはチェギョンになりますわな。
ミョンへを王妃とするためにも、自分の家門を建て直すためにも、チェギョンは消えて貰わなければ都合が悪いのです。
ミョンへは、一件落着したことで、目的を失った感がありました。
ソノの墓に毎日のように赴き、話しかけています。中宗の妃となる思いは、消えたかに見えました。チェギョンへの中宗の想いを嫌と言うほど見聞きしましたからね。諦めたくなるのも当然でしょう。
だけど、パク・ウォンジョンは、ミョンへをも脅しました。
このままチェギョンが王妃となって権力を握ったら、両親を殺した自分たちを生かしておく筈が無い・・・なんてね。
中宗に、何かに付けて、先王と同じ轍を踏むのですかなどと脅す物言いをするのに、自分だって、自分の家門以外の人間の命など、全く大切じゃないんですもんね。中宗以上に燕山君的な考え方ですよ。
中宗もバカじゃありません。
大臣たちがチェギョンを王妃にするのに反対している事を知っています。中には、賛成する者もいますが、反対派の勢いに押されて声を出せない始末です。
だから、自分が王座に就くとすぐに、チェギョンを中宮に冊封したのです。
自らがチェギョンのところに教旨を持ってやって来ました。
チェギョンは、謹んでそれを受け、礼を返しました。
すると、中宗も、チェギョンに対して礼をしたのです。本来王は最上位の者ですので、このような礼を妻に対しても取ることは無いのでしょう。
周囲の内官や女官は驚きました。
「中宮。余の傍にいてくれて本当に心から感謝する。」
中宗は優しく手を取ってチェギョンに言いました。
やっと、チェギョンもほっとしたようです。
だけど、まだ事は収まっていませんでした。
パク・ウォンジョンが罠を仕掛けたのです。
その頃、燕山君は、流刑先に行く途中でした。
心静かに運命を受け入れたように見えました。
ところが、そこで仕えていた内官がわざと激高することを伝えたのです。シン・スグンの死です。そしてチェギョンが廃位されそうだということも。
おまけに、何者かが、襲って来たのです。
勿論、ここで殺すつもりじゃなかったようです。怪我を負わせておいて、わざと逃がしたのです。
罪人が逃亡すると言う事は重い罪となります。
殺す理由ができたというわけですね。
そして、シン・スグンと妻が殺され、チェギョンの身が危ないと知ったら、必ずチェギョンのところに駆け付けると踏んだのです。
タイミング悪かったわぁ・・・。
チェギョンが実家の片付けに行く日だったんですよ。
燕山君は、そこに逃げ込んじゃった。と言うより、シン・スグンを悼んで行ったのでしょう。
チェギョンが行った時、既に燕山君が来ていました。
逃亡したと聞いたチェギョンは、驚きました。
でも、燕山君の気持ちも察したのです。そして、怪我の手当てをし、事情を聞いた時、パク・ウォンジョンが兵を率いて乗り込んで来たのです。
待ち構えていたんですよ、パク・ウォンジョンは。
燕山君も、すぐに罠だと察しましたが、既に遅かった・・・。
燕山君は、チェギョンも一緒に行こうと言いましたが、チェギョンはそれを拒否しました。
チェギョンは罪人を逃がした罪で捕われました。
牢でパク・ウォンジョンと対したチェギョンは、二重にも三重にも張り巡らされた罠にかかってしまったと悟りました。
いくら大声で無実だと叫んでも、パク・ウォンジョンの罠だと叫んでも、誰も信じてはくれないだろうと思いました。
そして、自分がそうすることで、中宗を傷つけ、国を混乱させることも・・・。
中宗は勿論チェギョンの無実を信じていました。
パク・ウォンジョンの企みだということも、薄々気づいていたでしょう。でも、証拠がありません。
パク・ウォンジョンをあの時処罰していたら、こんな事にはならなかったでしょうに・・・。
チェギョンは、自分が罪を全てかぶろうと決心しました。
それは、彼女の死を意味することです。でも、もうそれで良いと思ったのかもしれません。
自分が燕山君を逃がしたと言いました。そして、自分と父にとって主君はただ一人、燕山君だと言ったのです。
中宗の絶望的な表情が辛いわ~っ