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この作品は、押しつけがましい迷惑とも言えるお節介や、指導するような助言があまりありません。
恋人と言えど、相手に起こった問題や悩みを全て知っているわけではありません。
知らないこと、言わないでいることが多々あるのは現実では普通の事です。
ドラマでは、詳細な事実や感情まで全て分かり合えて・・・という設定が多いですが、それはある意味理想であり作り物だから。
ソンアが初めて自分第一に考えた今、別れると言う結論しか無かったようです。
ジュニョンは、ただ茫然と受け止めるしかありませんでした。
ジュニョンはユ教授に師事するのを止めました。
一人でチャイコフスキーコンクールはやれるのか?と、ユ教授が聞きました。
「教授の下で10人から7~8点取るよう教わりました。でも、一人から10点取るのが大事な場合もあると教わりませんでした。それを今、後悔しています。」
八方美人的な生き方ではダメな場合があるということですね。それは、ソンアもジョンギョンもヒョノも傷つけないで済む方法を採ろうとするということでしょうか。
ヘナは、イ教授からソンアが楽団に関わるのを辞めたと聞きました。
イ教授に睨まれたら、大学院に入る事も難しくなるのに・・・とソンアに言いました。
辞めないで・・・と。
ヘナ、イ教授によってソンアが傷つけられたことに気づいています。だけど、ソンアが誰よりもバイオリンを好きだということも知っているのです。
ついつい嫉妬から気持ちを逆なでするような言動をしてしまいがちなヘナですが、音楽に関わる者として諦めてほしくないと心から思っているのです。
ソンアは大学院の入試は受けると言いました。不利な事は分かっているけど、自分で決めた事だから、最後までやり遂げたいんだと。
ヒョノはニューヨークに行きました。
ジョンギョンはヒョノの存在が大きかったと、今になって感じているようです。
ヒョノが如何に自分の支えになってくれていたかを知りました。
ナ理事長が、偶然会ったソンアに声をかけました。
ジュニョンの事を話しました。
これまでたくさんの苦しみを抱えて生きてきた子なの・・・と。
だから今幸せになってくれて嬉しいと。
ソンアは、どう答えればよいのか分かりませんでした。流石に別れたとは言えませんでした。
ソンアは、チャチーム長にイ教授の楽団の仕事を辞めたと伝えました。
チャチーム長は、財団の創立15周年記念事業の手伝いを頼みたいと言いました。
ジュニョンとギョンギョン、ヒョノの演奏がダメになったので、ジュニョンのソロ演奏を計画しているんだとか。そのため、ソンアに手伝ってもらいたいと思ったのです。ソンアの誠実で責任感ある性格を気に入ってのことでもあるでしょうが。
ソンア、ジュニョンとの別れを打ち明けるしかありませんでした。
驚いたチャチーム長ですが、理由を問いただすようなことはしませんでした。ジュニョンとソンアのことです。そんな簡単に説明できるような理由じゃないと想像が出来たのでしょうね。悩んで決めたに違いないから。
チャチーム長はジュニョンからソンアとの別れを聞きました。
ジュニョンは最後にソンアに傘を渡したことを話しました。自分が毎日傘を持ち歩くから雨でも心配ないと言ったので、ソンアは傘を持っていなくて、バイオリンを濡らすわけにはいかないと思った・・・と。
幸せじゃないそうです、僕のせいで・・・と。
母が訪ねて来ました。
ジュニョンが心配だったのです。あんなに苦しむ息子を見たことが無かったでしょうから。
散歩に行くと言うジュニョンに、雨が降りそうだから、傘を持って行きなさいと母が言いました。
その途端、ジュニョンは耐えきれなくなってしまいました。
「辛いんだ・・・。」
と、泣き出しました。母は驚いて抱きしめました。
静かに時間が流れました。
ジュニョンもソンアも一人だった以前のような生活に戻ったかのようです。
でも、吹っ切れたわけではありません。忘れようと努力していました。
大学院の実技試験が起こなわれました。
ソンアは新しい伴奏者と共に頑張りました。
イ教授は、腹いせのように低い点数をつけていました。
ミンソンとドンユンは自然に友達関係に戻りつつあります。こちらも、努力中ではありますが。
ソンアと3人でお酒を飲む習慣も戻って来ました。
ソンアは、ドンユンに聞きました。バイオリンを止めて平気だった?と。
ドンユンが反対に聞き返しました。ジュニョンと別れて平気だったか?と。
意外と平気だった・・・とソンア。
ドンユンが言いました。
最初は平気だった、でも使ってた楽器を売ったら辛くなって、数日寝込んだ・・・と。
「辛くて当然だ。15年も打ち込んだバイオリンだったんだから。そんな簡単には切り替えられない。気持ちの整理には時間がかかるし苦しむのは当然だ。」
ソンアは、自分がジュニョンにぶつけた言葉を思い出しました。
ジュニョンだって15年もの間、ルーティンとしてきた「トロイメライ」だったはず。それを弾いたからと言って、責めるのは間違っていたと思ったでしょうね。
手放して見て、失って見て初めて軽い気持ちではなく、本当に好きだったと気付いたソンアでした。
ソンアも、そしてジュニョンも体調を崩しました。数日寝込みました。
体調が回復した時、ソンアは家族に言いました。バイオリンを止めると。
家族は複雑な表情を浮かべて、ソンアの決心を聞きました。
ジュニョンもまた、ピアノも、一切の活動も止めると、パク課長に連絡しました。
焦ったパク課長は、チャチーム長に何とか説得してくれと縋りました。
しかし、チャチーム長はしばらく静観するよう言っただけでした。
で、パク課長は次にジョンギョンに説得を頼みました。
ジョンギョンはジュニョンに会いに行きました。
自分にとってジュニョンは何だったのか、考えてみたと言いました。
「癒しだった。でも、本当はあなたの才能に嫉妬してたの。それをあなたへの愛と錯覚したのかも。」
僕は幸せになりたい・・・とジュニョンは言いました。
「ピアノを弾いても幸せじゃない。だから止めるんだ。」
ジュニョンはもう一つ言いました。
ジョンギョンがヒョノの前で見せる笑顔は特別だったと。自分にはその表情を見せてはくれなかったと。
ジョンギョンは気づいていませんでした。
ジョンギョンもまた、失って見て、離れてみて初めてヒョノへの想いに気づいているのでしょうね。
卒業演奏会の日になりました。
その朝、ナ理事長が突然亡くなりました。
ジュニョンも、そしてアメリカからヒョノも急遽帰国してお葬式に参列しました。
ヒョノは優しくジョンギョンの手を取り、両手で包み込んであげました。
式場から出てきたソンアの前に、ジュニョンが。
見かけて、待っていたのです。
元気でしたか?とソンア。はい・・・とジュニョン。
「今日の卒業演奏会でブラームスを弾きます。」
と、ソンアが言いました。曲を変更していたのです。
そして、バイオリンを止めると言いました。
「考えてみたら、ブラームスも私も、一方的に叶わぬ恋をしてたんです。片思いはもう止めます。でも平気です。こんな終わり方になったけど、その間は幸せだったから。それで充分です。」
帰ろうとしたソンアを、ジュニョンが呼び止めました。
「伴奏をさせてほしい。」
ブラームスなのに?とソンア。
「弾けます。弾きたいんです。」
堂々とソンアは舞台に立ちました。
ジュニョンとのコンビは抜群でした。
ソンアにとって、最後の演奏・・・ですね。ジュニョンにとっては・・・?
手を取り合って観客に挨拶した2人。
ソンアの両親と姉、そしてミンソンは大きな拍手を送りました。
「今日はありがとう。」
と言ったあと、ユ教授が何故ジュニョンの「トロイメライ」を盗用したのか、考えてみた・・・とソンアは続けました。
「他にもたくさんの曲が録音されていたにもかかわらず、「トロイメライ」を選んだのは、教授の心に一番響いた曲だったからじゃないでしょうか?あなたの心のままに弾いたものだから。だから、これからもあなたの心のままにピアノを弾いてほしいです。自由で幸せでいてほしいです。」
「愛してます。」
心のままに言ってるんです・・・とジュニョン。
君を苦しめることになってしまうかもしれないけど、今言わないと、一生後悔しそうだから・・・と。
ジュニョンも、この時初めて自己チューになったのです。
だけど、ソンアは一歩踏み出しませんでした。
ええーっ