ベンツは従来の丸型から、直線型にデザインを変えたらしい。今後は直線デザインで世界をリードするという。試乗したEクラスディーゼルのデザインの良さと言ったらなかった。フロントはおなじみの顔を精悍にしている。特に、横から後ろにかけて、カーブと直線のコンビネーションが実によい。これだけ、唸らせるようなデザインには最近お目にかかっていない。
デザインもさることながら、性能には驚いた。ディーゼルンの印象は無く、恐らくアウトバーンを疾走するのは、ガソリンモデルではなく、ディーゼルモデルだ。強力なトルク(ガソリン車に比べて最大トルクが1.54倍*)が高速での圧倒手的なパワーを発揮し、同じモデルのガソリン車を簡単にパスできる。おそらく、ベンツディーゼルEクラスは、ベンツにとって、市場制覇の戦略車、トップモデルに違いない。だから、ベンツは日本で売れないことに、驚いているのではないか。
*ディーゼル車のトルクが最大55.1kg・mこれに対してガソリン車が35.7kg・mとなっており、しかもディーゼルは1600回転あたりから発生する。例えば、ランクル100の場合は僅かにディーゼルのトルクが強い程度ながら、坂道や高速のトップスピードあたりではガソリン車を上回る加速を見せる。これがベンツのように、トルクが1.54倍にもなってくると、スタート以外の大半の加速でガソリンを上回るようになる。軽い車体ながらこのトルク。ガソリン車から乗り換えると、多分飛んでゆくように感じるだろう。
兎に角、パワフルで、速く、静かで(ブルーテックと称する、新型コモンレール)、安定している。同じベンツで、ほかのモデルを選択する人の気が知れない。
ハンドルのところにある、ワンタッチのミッションは慣れると実に使いやすい。日本車のウインカーの位置にあり最初は間違えるが、コンピューターの判断で、間違いは受け付けない。音や振動は殆ど無くガソリン車と変わらない。強いて言えば、30km/h以下でゆっくり走った時に注意して聞けばそれらしさを感じる程度。同乗した人は黙っていると、ガソリン車と思うだろう。
7速のギアチェンジは全く何のショックもなく、CVTのよう。ちょっと違うなと思ったのは、低速では踏み込んでもギアダウンしないので、急加速は期待できない。しかし、殆どのゾーンでものすごい加速を味わえる。スタート時のハンドルはよく切れるので、慣れる必要あり。困るのはメーターが小さいこと。時計などたくさんレイアウトさせているので、速度計(260km/hぐらいまであり)やタコメーターが小さい。
ハンドルは高級感のある革が装着され、手になじむ。サイドミラー大きくなったとは言うが、慣れたランクルのと比較すると小さいので、見づらい。外車の場合、オートクルージングに速度制限のないのも快適。ただし、高速走行では設定を慎重に。
私の場合は、ランクルのような大型四駆を中心に考えているので、価格も考えると、何としても欲しいモデルではないが、セダンを対象としている人には、これ以上ない車であろう。ディーゼルは遅い、煙が出る、振動と音が有るという概念を捨てたほうが良い。