早朝にテレビのスイッチを入れると、本田がPKを蹴る場面だった。イタリアのキーパーは前回同様真ん中に蹴るかもしれないと思い、うかつに飛べない(ビデオは繰り返し見たはず)。本田は落ち着いて右端に転がし、ネットを揺らした。予想外の展開になった。
二つ目のゴールはイタリアのゴール近くでもみ合っている中、香川がボールを浮かし、ゴール側に身体を回転させるとボレーシュートで見事に仕留めた。神業!!思わず手を叩いたね。サッカー音痴の私も眠気が吹っ飛んだ。世界8位のイタリアを相手に出来過ぎだった。
圧倒的に優位な状況となった。サポーターでなくても「勝利」の言葉が浮かんだに違いない。気分がふわっと高まり、緊迫感が失われただろう。ここで、少なくとも前半の終了の笛が鳴るまで、引いて守りに徹し、カウンター狙いに切り替えるべきだった。
降って湧いたような?勝利を予感させる状況。油断するなと言っても無理なところ。勢いに乗って攻めにかかる。ブラジルに負けた悔しさ、この試合にかける必死の思いが薄れている。調子の良い時の「イケイケ、どんどん」は日本人の気質。言わばゴムが伸び切った状態。
一方、イタリアはアドレナリンが体中を駆け回り、牙をむき、持てる力と技の全てを投入してくる。常に四方の敵に囲まれていた歴史を持つヨーロッパ勢は、劣勢の戦いを心得ている。この差は明らかだ。喜びは勝った後で味わえ。
第二次世界大戦で真珠湾に勝利したがため、勢いで戦線を拡大しすぎた日本軍は、すべての地域で手薄となった。アメリカの強烈な反撃に、なす術なく、敗走を余儀なくされた。好調の時ほど体勢を立て直さなければならない。守りに重点を置き、戦線を縮小すべきだった。
ゴール前を全員で固め、守りに徹すれば、そう簡単に点は入らない。何よりも重要なことは、気分の立て直しだろう。伸び切ったゴムを一旦戻す。しかい、そのまま、コート全体でプレーを続行したので、広すぎる戦線をカバーできない。全力で向ってくる相手に攻撃のチャンスを与えた。
参考になるのは後半のイタリアチームだ。3-3の同点に追いつかれた時、疲れも有ったのだろうが全員が引いて守りに徹した。解説はイタリアの足が止まったと言っていたが、それだけではない。これで気分も引き締まるだろうし、体力も回復できる。そこで反転のチャンスを掴めた。
もし、日本が徹底した守りで固め、カウンター狙いに切り替えたら、少なくとも2-1、もしくは3-2で勝っていたと思う。ブーイングを受けようが、格好が悪かろうがどうでもよい。勝てる作戦をとるべきだった。落ち着きを取り戻せば、また通常の攻撃モードに切り替える。
ザッケローニは、作戦の一つとして徹底防御とカウンター狙いの作戦を立てておくべきだった。天が与えてくれたチャンスを逃してしまった。反省が無ければ、次の機会も失敗する。