【談話室】:▼▽男子中学生が先日、問題集らしい本を手に繰り返し声を発しながら歩いていた。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【談話室】:▼▽男子中学生が先日、問題集らしい本を手に繰り返し声を発しながら歩いていた。
おそらく受験生。人目をはばからない必死さがあった。10日は県内公立高の一般入試だった。できるなら全員に桜咲く春が訪れてほしい。
▼▽以前、ある番組で脳科学者の茂木健一郎さんが提唱していた「鶴の恩返し勉強法」を思い出した。短期で忘れてしまう記憶を長期間定着させるため、声に出して読みながら反復し書くことが有効と説いていた。他人に見せたくない姿であることから、その名が付いたらしい。
▼▽記憶といえば8年前、私たちも脳裏に刷り込んだはずだった。東日本大震災の教訓、防災への備えである。食料備蓄や節電、避難経路。震災直後は毎日のように耳にしていた言葉だが、その関心も今や薄れつつある。「足るを知る」心で生活している人はどれほどいようか。
▼▽きょうは、決して忘れてはならない「3・11」。1万8千を超す死者・行方不明者がわれわれに残してくれた教えを改めて思い起こす日である。また訪れるに違いない災害に備え何をすべきか。声に出し体を動かし、忘れぬよう何度でも記憶に刷り込む。そんな日にしたい。
元稿:山形新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【談話室】 2019年03月11日 02:17:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。