路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【天鐘】:「一、大地震の後には津浪(つなみ)が来る」。

2019-03-11 06:02:20 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【天鐘】:「一、大地震の後には津浪(つなみ)が来る」。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天鐘】:「一、大地震の後には津浪(つなみ)が来る」。

 岩手県宮古市田老地区 の田老第一小学校裏にある碑に刻まれた警句の一文だ。建立は昭和8年の三陸大津波が町を襲った翌年である▼70年後、旧田老町は「津波防災の町宣言」を出す。そこにもある。「多くの教訓を常に心に持ち続け、近代的な設備におごることなく~」。二度と悲しい思いをしたくない。度重なる津波被害に遭ってきた町が「万里の長城」と呼ばれる防潮堤を整備し、避難訓練を重ねたのはそのため▼にもかかわらず8年前、津波は防潮堤を越え、多くの命を奪った。あの日を思い出すのは辛く、引きずっていては前へ進めないが、人々は一層「防災教育」に力を入れるようになる▼悔やんでも悔やみ切れないからだ。逃げる時間があったのに、直前まで逃げない人がいた。防潮堤に守られているという過信だった。東日本大震災後、体験談を伝え現地案内するガイド活動「学ぶ防災」が始まった▼ガイドの佐々木純子さんは顧みる。「どんなにハードを整備しても自分たちが行動しないと助からない」。先人からあれほど教訓が残されていたのに…▼歴史は繰り返すが、平穏な日に慣れると人は慢心する。佐々木さんは記憶し、記録を残していくのが生き残った者の役割だと言う。語り継がなければ風化し、後世に命を守る術を伝えられない。今日で震災から8年。教訓を深く刻む日である。

 元稿:デーリー東北新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天鐘】  2019年03月11日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説】:「東日本大震災8年」 息長く支援続けるために

2019-03-11 05:05:55 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説】:「東日本大震災8年」 息長く支援続けるために

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:「東日本大震災8年」 息長く支援続けるために 

 2011年の東日本大震災からきょうで8年になった。

 1万5897人が死亡し、今なお2533人が行方不明のままだ。約5万2千人が各地で避難生活を余儀なくされている。

 巨大な地震と津波に、東京電力福島第1原発の過酷事故が重なり、8年を過ぎても地域の再生は容易ではない。

 被災者の生活再建は道半ばだ。福島第1原発は、廃炉のめどさえ全く立たない。

 もともと過疎に悩んでいた被災地は、震災により人口減少と高齢化が加速した。こうした課題を踏まえ、これまでの復興政策を検証する必要がある。

 国が被災地を重点支援する「復興・創生期間」は21年3月で終わり、復興庁は廃止される。

 政府は、復興庁の後継組織を設ける方針だ。被災地の声を十分にくみ取り、息の長い支援を行うための組織としなければならない。

 日本は近年、地震や豪雨、火山噴火などの災害に繰り返し見舞われている。大震災を教訓にした、防災から復興までを担う「司令塔」の創設も検討課題だろう。

 ■孤立化防止欠かせぬ

 岩手、宮城、福島の被災3県ではこれまでに、ストレスによる体調悪化や自殺などの震災関連死が3600人を超える。

 震災でコミュニティーを失い、不便な仮設住宅で失意のうちに孤独死する人は少なくない。

 新たな生活拠点である約3万戸の災害公営住宅が3県に完成し、約2万7千人が入居した。

 ただ、災害公営住宅は65歳以上の高齢者が4割を超え、地域の平均を上回る。独り暮らしも目立つ。15年に14人だったここでの孤独死は、17年には53人に増えた。

 近所づきあいも希薄となり、プライバシーが守られる一方で隣人の異変に気づきにくくなる。

 孤立化の防止、見守り態勢の充実、コミュニティー形成の支援など、福祉とも連携したきめ細かなサポートが欠かせない。

 津波被害を受けた漁港の再建、水産加工業の人手不足対策といった産業再生の後押しも急がれる。

 福島県では、除染で出た土の袋約1千万個分が10万カ所以上の仮置き場などに置かれたままだ。

 帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除されたが、帰還率が1割に満たず、存続さえ危ぶまれる自治体もある。

 子どもの教育や、放射性物質に対する危惧など、故郷に戻らぬ理由はさまざまある。個々の事情に寄り添った支援が不可欠だ。

 帰還を押しつけるようなことはあってはならない。

 気がかりなのは、道内を含む自主避難者への家賃補助などが、今月末で打ち切られることだ。

 ぎりぎりの生活を強いられる人も多く、柔軟な対応を求めたい。

 ■防災体制の再構築を

 政府は、福島第1原発事故への対応は今後も中長期的に責任を持ち、津波の被災地では心のケアなどを一定期間続けるという。

 復興庁の後継組織がその中心的役割を果たすことになるだろう。

 問題は、現在の復興庁が省庁横断といいながら、各省庁の出向者で構成される寄り合い世帯の感が否めず、仕事も自治体などの調整にとどまりがちだったことだ。

 リーダーシップを発揮したとは言い難く、経験の蓄積という点でも疑問が残る。

 全国知事会や専門家などは、災害対応を一元的に引き受ける「防災省」の設置を訴えている。

 1995年の阪神大震災以来、こうした組織の必要性が繰り返し指摘されてきたが、政府は消極姿勢を崩さない。

 昨年だけでも大阪北部地震、西日本豪雨、胆振東部地震など災害が多発している。

 最悪で死者32万人以上が想定される南海トラフや、首都直下、道東沖の巨大地震はいつ発生してもおかしくない。

 財政的な裏付けを確保する観点からも、防災省構想も含め、体制の再構築を検討するべきだ。

 ■経験の伝承が大切だ

 災害に関する各種業務が多くの省庁にまたがる現状は複雑で、機敏な対応も制約されよう。

 59年の伊勢湾台風を受け制定された災害対策基本法や、阪神大震災をきっかけにできた被災者生活再建支援法など、大災害のたびに、対策が追加されてきた。

 災害法制を見直し、国と自治体の役割分担や責任の明確化といった課題を洗い出す必要もある。

 自治体側も、防災ハザードマップの更新に加え、被災時の避難経路や災害弱者の支援方法の確認に努め、住民に広く周知しなければならない。

 住民と協力して防災力を高めるとともに、東日本大震災の記憶を風化させず、経験を伝承していくことが大切だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年03月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【卓上四季】:想像ラジオ

2019-03-11 05:05:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【卓上四季】:想像ラジオ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:想像ラジオ

 「今まで聴いてくれてどうもありがとう。本当にさようなら、みんな」。DJアークは最後を大音量の「想ー像ーラジオー」で締めくくり、リスナーに別れを告げている。でも、ときどき思う。番組は今も続いているのではないかと▼いとうせいこうさんの野間文芸新人賞受賞作「想像ラジオ」は、東日本大震災後の2013年に刊行された。津波に流され高い杉の木に引っかかり、あおむけのままのDJアークは、想像力によるラジオ放送を始める。開始は深夜の「二時四十六分」▼聴けるのは基本的に「この世を去った」人々だ。そうしたリスナーから寄せられるメールや電話、DJアークが語る自らの生い立ちや家族の話は、地震と津波に襲われるまで、それぞれに普通の暮らしがあったことを物語る▼大震災が起きてからきょうで8年になる。1万5千人以上もの命が失われ、まだ行方が分からない人の数も2500人を超す。東北の3県など被害の大きかった地域では、日常を取り戻そうと懸命の努力が続く▼半面、「頑張ろう」の呼びかけが今もつらく響く被災者も少なくなかろう。「復興」を理念に掲げた2020東京五輪・パラリンピックから、つち音にまぎれて、「復興」の文字が薄れつつあるように感じるのも気がかりだ▼時には耳を澄ませよう。そうすればDJアークの「想ー像ーラジオー」の声が聞こえてくるかもしれない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年03月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:米朝協議 再開への真摯な努力を

2019-03-11 05:05:45 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁・朝鮮総連・朝鮮学校】

【社説①】:米朝協議 再開への真摯な努力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:米朝協議 再開への真摯な努力を 

 米国と北朝鮮の間で、非核化に向けた協議再開の見通しが立っていない。

 物別れに終わったトランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談に関しても、双方の受け止めに食い違いが残っている。

 米国は最大の米韓合同軍事演習を終了させ、北朝鮮への配慮を見せた。一方で、北朝鮮はミサイル関連施設の復旧を進めているとの情報がある。ぎくしゃくした印象が否めない。

 不信の芽を摘むためにも、米朝の実務者間で意思の疎通を図る必要がある。

 ベトナムでの首脳会談が不調に終わった後、トランプ氏は北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の核施設廃棄の見返りに、全面的な制裁解除を求めてきたと説明した。

 これに対して北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相は「求めたのは全面的な制裁解除ではなく、一部解除だった」と反論した。

 北朝鮮が解除を要求したのは11ある経済制裁のうち五つだった。北朝鮮はこれを国民生活に関わる「一部」と主張するが、米側からみればいずれも主要な制裁で「ほぼ全て」となる。

 双方の認識を一致させないことには議論はかみあわない。

 そもそも北朝鮮は制裁解除に見合う非核化措置を提案したと言えるだろうか。廃棄の意向を表明済みの寧辺の核施設だけではとても十分ではない。

 それどころか、首脳会談後も不穏な動きが伝わってくる。

 北朝鮮が解体に着手していた東倉里(トンチャンリ)のミサイル関連施設で復旧作業をしているとの報告がある。ここでは米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)のエンジン開発を行ってきた。

 国際原子力機関(IAEA)は、寧辺でも核関連活動が継続していると分析している。

 北朝鮮が米国との協議を有利に進めるために、神経戦を仕掛けているとの見方がある。疑惑を招く行為は即刻やめるべきだ。

 トランプ氏はミサイル施設復旧について「もし事実なら、金委員長に非常に失望する」と語った。ボルトン大統領補佐官は非核化が進まない場合には経済制裁の強化もありうると指摘している。

 こうした状況が長引けば、互いに不信感を募らせ、再び緊張が高まっても不思議はない。

 米朝首脳会談の失敗は、実務者間で十分な調整ができていなかったことにある。協議再開へ真摯(しんし)な努力を求めたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年03月10日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

 

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【社説②】:コンビニ営業 「一律24時間」限界では

2019-03-11 05:05:40 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

【社説②】:コンビニ営業 「一律24時間」限界では

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コンビニ営業 「一律24時間」限界では 

 コンビニエンスストアの一律24時間営業にほころびが出ている。

 最大手セブン―イレブン・ジャパンの大阪府にある加盟店が、人手不足で店員を確保できずに営業時間を短縮し、本部からフランチャイズ(FC)契約の解除と違約金の支払いを求められた。

 店主はこの8カ月間で3日しか休みを取れておらず、「事情に応じて営業時間を選択できるようにしてほしい」と主張している。

 全国で人手不足が慢性化しており、ぎりぎりで営業しているのはこの店だけではないはずだ。

 年中無休で終日営業するコンビニは私たちの生活を便利にした。だが加盟店に過重労働などの負担を強いて成り立っているのでは限界だろう。事業モデルそのものを見直す必要があるのではないか。

 コンビニ各社は、社会の変化や現場の事情に目を向け、利便性を損ねずに無理なく営業を続けられる仕組みを検討すべきだ。

 コンビニはいつでも買い物できる上、公共料金の支払いや宅配便の受け取りができ、深夜の防犯や災害時の支援拠点の役割も担う。全国5万6千店に増え、今やなくてはならない社会インフラだ。

 セブン側はこうした点を24時間営業が必要な理由に挙げる。

 朝のピーク時に販売する弁当を深夜に納品するなど、製造から配送、店舗清掃まで24時間営業を前提としている事情もあろう。

 とはいえ、道内大手のセコマは多くの店舗が24時間営業をしていないが、それに合わせた事業モデルを構築している。

 大手コンビニのFC契約では、加盟店の売上高から商品原価を除いた粗利の一定割合が本部に入る。深夜営業で人件費が増えても本部の収益は減らず、商品が一つでも売れればもうかる仕組みだ。

 だが、社会インフラと言うなら、それを支える負担が加盟店に偏りすぎているのは問題だ。利益とコストを分け合い、共に成長できるモデルを築くべきである。

 セブン側は加盟店の訴えなどを受け、営業時間の見直しに向けた実験を一部店舗で始めるという。

 客層や地域によっては時短営業でいい店もあるはずだ。

 実験では売り上げや物流面だけでなく、店員の勤務シフトや求人への効果も把握する必要がある。

 同じく人手不足に悩む外食産業では深夜営業見直しの動きが広がり、宅配業界も値上げや配達時間短縮で荷物の削減や人材確保につなげている。便利さ追求だけでいいのか、社会全体が考える時だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年03月10日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

 

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【卓上四季】:補佐官の器量

2019-03-11 05:05:35 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【卓上四季】:補佐官の器量

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:補佐官の器量

 ニクソン元米大統領が回顧録に記している。「珍しい組み合わせだった。雑貨屋の息子とヒトラー・ドイツからの難民の子。その違いがあって私たちの協力関係はうまくいった」。腹心のキッシンジャー大統領補佐官との関係のことである▼極秘訪中の末、歴史的な米中和解を実現させたキッシンジャー氏。信頼関係に基づく外交を重視し、交渉相手の周恩来元首相を「これほど人の心をつかんで離さない人物に会ったことがない」と評した▼米中和解が旧ソ連との緊張緩和や長引くベトナム戦争、日米の安全保障体制にどう影響するか、幅広く分析していた。大きな外交の舞台では補佐役の器量が問われる▼いま同じポストにいるのはボルトン氏。眼鏡に白い口ひげのベテラン外交官だ。対北朝鮮では超強硬派である。十数年前の国連大使時代、安全保障理事会で北朝鮮制裁決議を採択して、当時の金正日(ジョンイル)総書記に向けて「ちょっとしたダイエットになる」と嘲笑した。北朝鮮からは「人間のくず」と呼ばれた▼最近は影響力を強めている。物別れに終わった米朝首脳会談を「成功だった」と評価した。無理してまで関係を改善しなくてもいいというニュアンスを感じる▼米国外交が強硬路線に進むと存在感を発揮する異色の人物だ。実業家出身で、自国第一主義を掲げるこれまた異色のトランプ大統領とのコンビがどう機能するか、目が離せない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年03月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:法制局長官答弁 「番人」の名に値しない

2019-03-11 05:05:30 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・主任の大臣・事務次官・官房・審議官・国...

【社説①】:法制局長官答弁 「番人」の名に値しない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:法制局長官答弁 「番人」の名に値しない 

 「憲法の番人」の変質と、1強政権の下にある官僚のおごりを象徴する発言にほかならない。

 内閣法制局の横畠裕介長官が参院予算委員会で、憲法上の内閣に対する国会の監視機能を説明する中で「このような場(委員会)で声を荒らげて発言することまで含むとは考えていない」と述べた。

 憲法問題などで安倍晋三首相を追及していた立憲民主党会派の議員の質問を批判した発言だった。国民を代表する議員の質問を官僚が批判するなど、国会に対する冒涜(ぼうとく)と言っても過言ではない。

 横畠氏はその場で撤回、謝罪した。きのうの参院予算委でも委員長から厳重注意を受け、改めて謝罪したが、野党は辞任を求めている。当然の対応だろう。

 内閣法制局は、内閣が提出する法案などが憲法や他の法律に反していないかどうかを審査する。法の支配に基づく行政を貫く上で欠かせない機能を担う。「番人」と呼ばれてきたゆえんである。

 その役割をねじ曲げたのが、安倍政権の下での憲法9条解釈変更と安全保障法制の制定だった。

 首相は、集団的自衛権の行使は違憲とする見解を変えるために、慣例に反する人事で行使容認派の外務官僚を長官に送り込んだ。

 その後任として、解釈変更の閣議決定や安保法の国会答弁を担ったのが横畠氏だ。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は今回の発言について「法の番人が安倍政権の門番に成り下がった」と批判した。

 だが歴代内閣が堅持してきた憲法解釈を時の首相の意に沿い覆した時点で、既に成り下がっていたとみて差し支えあるまい。だからこそ、行政官の本分を履き違えた発言が口に出たのだろう。

 人事権などの権力を専断的に振るう首相の下で官僚の追従(ついしょう)や忖度(そんたく)が生まれ、行政をゆがめていく。内閣法制局の対応は、森友・加計(かけ)問題に通ずる「政と官」のいびつな関係の第一歩だった。

 横畠氏の下で法制局は、解釈変更に際し内部検討の経緯を記した議事録などを公文書として残していなかった。後世に正確な記録を伝える公文書管理法の精神を軽んじた政権の体質そのものだ。

 横畠氏の発言には与党内からも問題視する声が出ている。

 ただ、肝心の安倍首相から任命者としての反省や謝罪の言葉が聞かれないのはどうしたことか。

 議会制民主主義の在り方に関わる問題だ。与野党を問わず首相の認識を厳しくただすべきである。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年03月09日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。  

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【卓上四季】:医師の働き方

2019-03-11 05:05:20 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【卓上四季】:医師の働き方

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:医師の働き方

 夕方5時半。前日朝から連続35時間勤務。1時間半は仮眠したが、そのほかはフル活動。病棟勤務はまだ終わっていない―。夏川草介さんの小説「神様のカルテ」の主人公、栗原一止(いちと)内科医はぼやく▼最新作では大学病院に移ったが、それまでの職場は「24時間、365日対応」を掲げる信州の民間病院。救急患者が次々と運び込まれるが、医師は全然足りない▼夏川さんは現役の医師だけに、こうした描写も全くのフィクションではあるまい。実際に厚労省の調査では、過労死ライン(月平均80時間)の2倍に当たる年1920時間以上の残業をする医師は、全体の1割に上る▼ところが厚労省は、勤務医の残業時間の上限を年間1860時間以内とする案を有識者検討会に示した。「地域医療のためやむを得ない場合」などの条件つきだが、事実上、過労死ラインのほぼ2倍にお墨付きを与えることになる。今月末までにまとめる方針だという▼地域医療の維持は重要な課題だが、長時間勤務に苦しむ医師をこれで守れるのか。医師の残業時間が増えるに従い、医療ミスが増えるという話も本紙で紹介されていた。医師の長時間労働の解消は、患者の問題でもあるのだ▼過酷な医療現場を、一止はこう例える。「高速バスの運転手が睡眠不足だったとして、だれがそんなバスに乗りたがるだろうか」。厚労省の方々だって、乗りたくはないだろう。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年03月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【論説】:心の復興 「共にある古里」次代に

2019-03-11 02:19:55 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【論説】:心の復興 「共にある古里」次代に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【論説】:心の復興 「共にある古里」次代に 

 「おくりものはナンニモナイ」(パトリック・マクドネル作、谷川俊太郎訳)。山田町の佐藤祐加子さんの仮設住宅を訪れた際、居間の壁に目を奪われた。なぜ、この絵本を飾っているのか。

 「なんにもなくなっちゃった」。佐藤さんは看護師で、読み聞かせボランティアとしても長らく活動。だが、自宅も蔵書も津波に流された。

 お気に入りだったこの絵本は知人が贈ってくれた。壁には、かわいいクマの切り絵や人形も。「贈ってくれた人たちと、これからも一緒に歩みたい」との思いを込めて。

 被災地は災害公営住宅などの整備が最終盤。ハードからソフトへ、「物」から「心」へ、大きな転換期にある。

 街の復興と心の復興は、必ずしも一致しない。全てを流された喪失感は深く、あまりに長い仮設生活が心身の疲弊を増す。ついのすみかに身を落ち着け、ようやく悲しみに向き合い始めた遺族もいる。

 喪失感を抱えながら、懸命に生きる住民たち。再起を後押しするため、支援を切らしてはならない。一人一人の心の復興を長期的に支える取り組みに一層力を入れたい。

 佐藤さんは町の臨時看護師として被災者らの語りに耳を傾ける傍ら、小学校などで読み聞かせも続けてきた。7年7カ月の仮設生活を経て昨年末、高台に自宅を再建。57歳で新たな一歩を踏み出した。

 「私自身、なかなか心の傷が癒えない。でも、気づいたんです。傷が治らなくても、それを抱えたまま人は立ち直り、希望を取り戻して生活できるということを」

 立ち直る基盤が、人とのつながりだ。身近に気持ちを分かち合える人、健康や生活面の悩みを安心して相談できる専門職がいればこそ、希望を取り戻すことができる。

 国の支援が先細る中、現状は厳しい。厚生労働省の「医師偏在指標」によると、本県の充足度は全国最下位で、特に沿岸部は深刻。看護、介護などの専門職も足りない。

 そんな中、沿岸各地の官民は見守りやサロン活動など、コミュニティーの再構築に試行錯誤を続ける。今後も住民主体の地域づくりを地道に進め、孤立を防ぎたい。

 仮設の壁に飾っていた絵本は今、新居の本棚に大切にしまってある。絵本の中に、これからのヒントがある。

 主人公は、友達を喜ばせようと悩み、最高の贈り物を考えつく。友達が大きな箱を空けると、中は空っぽだった。

 「そのとおり! ナンニモナイ…きみとぼくのほかにはね」。2人は肩寄せ合い、ただ、じっとして「ナンニモナイ」を楽しんだ…。

 住民が支え合い「共にある古里」をつくりたい。次代への最高の贈り物として。

 元稿:岩手日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【論説】  2019年03月11日  02:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【風土記】:満開のハマギク、高台に立つ新しい住宅、秋…

2019-03-11 02:19:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【風土記】:満開のハマギク、高台に立つ新しい住宅、秋…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風土記】:満開のハマギク、高台に立つ新しい住宅、秋… 

 満開のハマギク、高台に立つ新しい住宅、秋田県からのボランティア-。大槌町の「赤浜地区の復興を考える会」の会員制交流サイト(SNS)は、震災からの再生に歩む地域の今を紹介している

 ▼担当するのは、地元で水産加工業を営む小豆嶋(しょうずしま)映子さん。住民の約1割が犠牲となった地域で「赤浜の事を気に掛けている人たちに状況を知らせたい」と、不定期でSNSの更新を続けている

 ▼今日、震災から8年を迎えた。沿岸などの被災地は大切な人々の魂を弔い、平穏な日常への祈りに包まれる。マスコミによる、年に1度の「節目(記念日)報道」もピークとなる

 ▼社会に衝撃を与えた事件や事故、災害などの発生日に合わせた報道は、出来事の風化を防ぐ意味がある。犠牲になった人の無念を忘れず、問題を検証し、教訓をつなぐ。月日を経て、初めて明らかになる事実も多い

 ▼他方、節目報道は受け取る側に限らず、伝える方も慣れと隣り合わせ。時は重なるが、万が一にもルーティンワークにしてはならない。遺族らの悲しみを刺激することへの想像も忘れてはならない

 ▼考える会のSNSは、今も時に100件を超える「いいね!」がつく。節目の日に、改めて被災地にある報道機関の役割を思う。同時に、悲劇を忘れさせない一番の力が、住民自らの息の長い発信にあると確信する。

 元稿:岩手日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【風土記】  2019年03月11日  02:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【論説】:ポスト復興庁 専門性を高めてほしい

2019-03-11 02:19:45 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【論説】:ポスト復興庁 専門性を高めてほしい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【論説】:ポスト復興庁 専門性を高めてほしい 

 復興・創生期間の終了と同時に、2020年度末で廃止される復興庁の後継組織を巡る議論が本格化している。

 被災地からは、かねて省庁横断的な企画調整機能の存続を求める声が上がっていた。それ自体、復興庁への一定の評価ではあるだろう。その上で、後継組織に望んでおきたいことがある。人と地域の復興を強力に後押しする「存在感のある組織」(達増知事)とすることだ。

 防潮堤や土地造成、交通基盤などハード面は目鼻が付く一方で、地域の活力を呼び覚ますソフト面の取り組みとのギャップが顕在化している。本来的な「復興」は、むしろこれからが正念場だ。

 人口減少局面で起きた東日本大震災は、被災地の大半を占める小規模自治体の過疎化や少子高齢化を加速させた。地方の課題を先取りする形となった被災地の現状と打開への取り組みは、全国で共有するべき性質のものだ。

 阪神大震災がそうであったように、その16年後に起きた東日本大震災はさらなる大災害の前触れとしての意味を秘める。南海トラフ巨大地震、首都直下地震をはじめ異常気象災害、火山噴火など、あらゆる事態が想定される災害列島にあって、防災・減災と早期の復旧・復興に向けた備えは喫緊の課題だ。

 全国知事会が、予防対策から復旧・復興までを一元的に担う「防災省」創設を提言しているのは、そうした危機感の表れに違いない。

 復興庁は内閣直轄組織で、長は首相。さらに専任相を置く制度設計は類例がないという。政治主導への決意の表れだろうが、一時は失言などで辞任する復興相も相次いだ。他省庁への勧告権限も付与される復興相ポストの重さが、重さとして機能し切れていない印象は否めない。

 震災後に制定された大規模災害復興法は、復興を主眼とした初の恒久法。復興プロセスを整備した点で意義は大きいが、ハード事業に主眼が置かれており、被災者の生活再建や人口減少対策といったソフト面との兼ね合いは引き続き課題として残る。

 市街地整備が進む一方で、「人の復興」は格差が広がる傾向が指摘されている。ハード、ソフト両面で復興の全体を見渡し、的確な制度運用で被災地と被災者を支える施策を進める機関の重要性は、今後ますます高まるだろう。

 復興庁は、併任人事で人材を動員し、各府省との連携で「司令塔」としての役割を担保した。ポスト復興庁は、規模に増して中身が肝心。高い確率で新たな大災害も想定される中では、これまでの災害経験を系統立てて蓄積し、今後に生かす専門性が組織にも人にも求められる。

 元稿:岩手日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【論説】  2019年03月10日  02:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【風土記】:禁煙・嫌煙が世の流れとはいえ、「ここまで…

2019-03-11 02:19:40 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【風土記】:禁煙・嫌煙が世の流れとはいえ、「ここまで…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風土記】:禁煙・嫌煙が世の流れとはいえ、「ここまで… 

 禁煙・嫌煙が世の流れとはいえ、「ここまでやるか」と驚き首をかしげてしまった。公益社団法人「受動喫煙撲滅機構」がNHK大河ドラマ「いだてん」で受動喫煙シーンがみられるとして申し入れ書を送った

 ▼車の中でスパスパといった場面があり、「そうしたシーンがなくても、時代を表すことはできる」として、今後受動喫煙の場面は絶対に出さないこと、放送されたことについて番組テロップなどでの謝罪-を求めた

 ▼案の定、「当時の喫煙は普通の風景」「過剰反応」といった批判の声が上がった。NHKは「(主人公の)キャラクターを表現する上で欠かせない」「演出上必要な範囲」とし、機構側も納得したようだ

 ▼数年前にも同じようなことがあった。大ヒットしたアニメ映画の中で主人公が肺結核の妻の前でたばこを吸うシーンがあり、禁煙推進団体が批判。物議を醸した。昔は病院にも堂々と灰皿が置いてあった

 ▼現在の価値観で歴史の事実を糾弾したところで意味はあるまい。昔は「そんな時代だった」と受け入れるしかない。自身の正当性を主張すればするほど、反発を買うこともあるのだ

 ▼誰でもネットで情報発信できる時代。過度なクレームが多発すると、制作側が萎縮して無難な番組ばかりになってしまうのではと懸念する。もう少し、おおらかでいられないものか。

 元稿:岩手日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【風土記】  2019年03月10日  02:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【論説】:内陸避難者の支援 寄り添う気持ち息長く

2019-03-11 02:19:35 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【論説】:内陸避難者の支援 寄り添う気持ち息長く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【論説】:内陸避難者の支援 寄り添う気持ち息長く 

 復興に向けて景色を塗り替える古里と、そこに今いない自分。黒々とした津波がまちをのみ込んだあの日から、8年がたつ。家族や知人を頼って内陸部に避難し、生活を一から築き上げる人たち。戻りたい、戻れない。語れない、語りたい。たどってきた道のりもまた一様ではない。

 盛岡市の復興支援団体SAVE IWATEは、東日本大震災被災者による手記集を初めて作成した。被災者の言葉を通して教訓を受け継ごうと企画、16人が体験談を寄せた。

 定住した70代の女性もその一人。海沿いの自宅、夫…、津波で多くのものを失った。震災後しばらくは勤め先がある沿岸と、身を寄せた盛岡を往復する日々。「ごせーやくな(腹を立てるな)」となだめてくれた夫を思い、峠道を何度越えただろう。

 盛岡のまちを歩けば、声を掛け合う知人も増えた。一方、記憶の風化が進む内陸と、自分も「逃げた」という思い。表立って語ることをためらってきたが、気持ちを奮い立たせてペンを執った。

 沿岸各地から盛岡市内への避難は最大時、800世帯を超えたとみられる。8日現在は587世帯、1152人。市が昨秋実施したアンケート調査では、定住希望が8割を超えた。

 命からがら逃げ、衣食住の心配が先に立った震災直後。生活の再建とともに悩みも変容している。健康や生活費、仕事、子育て・教育など。自宅を建てても負債を抱え、困窮するケースもある。

 調査では、近所付き合いがほとんどない世帯も半数近くあり、特に高齢の単身・夫婦世帯への見守り活動は欠かせない。「生活はだいぶ落ち着いたが、先行きが不安」「まだ寄り添ってほしい」。自立に向けた助走期間やニーズは個々に違い、息の長いサポートが重要になっている。

 地域や職場、学校で、環境の変化になじむのはたやすいことではない。しかし震災体験が防災に生かせるように、被災者自身の多様な経験がコミュニティーで必要とされてもいる。支援も一方的な関係性ではなく、「お互いさま」と感じられる交流があれば気持ちも和らぐかもしれない。

 「故郷を捨てたと言う人もいるだろう。でも、忘れたわけではない」

 「ついのすみかと決めたここで復興を願い生きていく」

 手記集には、揺れ動く心情とともに、感謝の言葉がつづられている。11日に盛岡市で開かれる追悼行事「祈りの灯火(ともしび)」では6人が語り部となり、体験を話す。

 あの日、手から離れてしまった大切なもの。古里を思い、今を生きる場所でつなぎ直そうとしている。

 元稿:岩手日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【論説】  2019年03月09日  02:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【風土記】:学生寮は特別な空間だ。多感な時期に、志を…

2019-03-11 02:19:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【風土記】:学生寮は特別な空間だ。多感な時期に、志を…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風土記】:学生寮は特別な空間だ。多感な時期に、志を… 

 学生寮は特別な空間だ。多感な時期に、志を抱いて集った仲間と共に暮らす。何かあればいつでも部屋に集まり、胸襟を開いて語り合うことができる。希望や不安を打ち明け、喜びや悲しみを共にし、励まし、互いに成長していく

 ▼同級生のみならず先輩や後輩とも深い付き合いができることは、寮ならではの効用の一つだろう。卒業後も絆は強い。同じ釜の飯を食った間柄。かっこいい姿も、情けない姿も、良き思い出として共有していく

 ▼盛岡一高の男子寮「自彊(じきょう)寮」も素晴らしい数々の出会いを演出したことだろう。120年を超す伝統を持ち、これまで入寮した生徒は千人超。しかし、新年度から募集を停止し、来年春に閉寮の見通しだという

 ▼近年は入寮生が減り、建物も老朽化しているというから、やむを得まい。入寮減の背景には新幹線利用など環境の変化もあるようだ。時代の流れ。OBから惜しむ声が聞かれるが、刻まれた思い出は永遠に残る

 ▼寮ではなくても、身近に暮らした仲間は格別の存在だ。下宿やアパートなど、同じ屋根の下で顔を合わせた友との日々を懐かしむ人は多いのでは。現代はシェアハウスが新たなスタイルとして人気を呼んでいる

 ▼旅立ちの春。学校へ、職場へ、胸を膨らませて向かう新天地。暮らしの場を含め、たくさんのすてきな出会いが待っている。

 元稿:岩手日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【風土記】  2019年03月09日  02:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:ポスト復興庁 防災も担う組織が必要

2019-03-11 02:17:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説】:ポスト復興庁 防災も担う組織が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ポスト復興庁 防災も担う組織が必要 

 東日本大震災からの復興を国が重点支援する「復興・創生期間」は2020年度で終了し、その時点で復興庁は廃止される。期間内に計32兆円を投じ防潮堤や高速道などのインフラを整備、住宅の再建もほぼ終わり、水産加工場などの生産設備もおおむね復旧する予定だ。

 21年4月以降は、観光の振興、農林水産業の再生、企業立地に加え、被災者の心のケア、コミュニティーの再生といったソフト面の対応が中心となる。持続的な地域社会を目指す「新しい東北」の具体化も待たれる。

 東京電力福島第1原発事故によって4万人以上が避難する福島県沿岸部などの復興はこれからだ。帰還促進や生活の再建、新しい産業の集積などを図らなければならない。

 政府は8日、東日本大震災からの復興に関する基本方針を見直し、復興庁の後継組織設置を明記した。だが、21年度以降の国の予算や組織の枠組みは決まっていない。中長期的な対応が不可欠な原発事故からの復興を考えれば、福島を中心とした復興・再生の工程表、復興庁の後継組織の在り方について検討し、早急に青写真を地元自治体や住民らに示すよう政府に求めたい。新しい組織については、岩手、宮城、福島3県の被災した市町村長を対象にした共同通信のアンケートでも9割が設置を要望している。

 安倍晋三首相は、復興の司令塔を置き縦割り行政を排すること、政治の責任とリーダーシップで復興を成し遂げることを表明し、見直した基本方針でも言明している。原発事故に対する国の責任の重大さ、対策の困難さを考えれば、担当大臣を置くのは当然と言えるだろう。

 新組織の選択肢としては▽現在と同じ単独の省庁とする▽沖縄振興局のように内閣府の一つの局とする▽消費者庁のように内閣府の外局とする―が挙げられよう。原発事故からの復興が始まったばかりであることや、事故対策の重要性を踏まえれば、単独か外局にすべきだ。

 創設の際には、内閣府の防災部門との統合を提案したい。全国知事会は昨年、内閣府が持つ防災機能を生かした「防災省」の創設を提唱したほか、自民党総裁選でも石破茂元幹事長が「防災省」の創設を主張している。

 これに対し、首相は反対の立場で、危機管理組織の在り方を検討していた政府の関係副大臣会合も、統一的な危機管理組織の創設には踏み込んでいない。

 防災省の設置は、国土交通省など関係府省との調整にも時間がかかる大幅な組織再編だ。大地震などが起きていない平時の仕事をどうするのかという課題もある。それに比べて、内閣府の防災担当と復興庁を合わせて一つの庁にすることは、あまり手間がかからない。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生が懸念され、毎年のように大地震や大雨、台風の被害が起きている現状を考慮すれば、防災、災害が起きたときの対応に加えて、復興、産業再生までを切れ目なく担う役所の設置は意義がある。

 国土強靱(きょうじん)化を掲げる安倍政権の方向性とも合致するはずだ。政治的なしがらみを排し、今後の防災や復興のために何が重要かをゼロベースで検討すべきだ。

 元稿:山形新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年03月11日  02:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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