路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:大飯原発違法判決 全ての原発審査を見直せ

2020-12-07 06:01:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説】:大飯原発違法判決 全ての原発審査を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:大飯原発違法判決 全ての原発審査を見直せ 

 日本の原子力行政が根底から否定された。関西電力大飯原発(福井県)3、4号機の耐震性を巡る訴訟で、4日の大阪地裁判決は原発設置許可を違法として取り消した。

 判決は原子力規制委員会の判断に対し「地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」と厳しく指摘した。
 規制委の審査が不十分であることが司法によって示されたのだ。大飯だけでなく、再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)など、審査に合格した施設でも規制委の審査が十分だったのか疑問符が付く。
 東京電力福島第1原発の事故からもうすぐ10年になる。原発の安全が保証されたのか疑問に思う国民は多い。国は全ての原発に対する審査を見直し、太陽光や風力などクリーンエネルギーの活用を真剣に検討すべきだ。
 大飯原発訴訟で争点になったのは、関電が算出した耐震設計の目安となる揺れ(基準値振動)の値や、これを基にした規制委の判断が妥当かどうかだった。
 福島第1原発事故を受け、規制委は自らの審査ガイドで「(過去の地震を参考にした)経験式は平均値としての地震規模を算出するもので、平均値から外れた『ばらつき』も考慮する必要がある」と明示している。
 地震が起きた後で「想定外だった」という言い訳を許さない姿勢を示したものだ。
 しかし大飯原発の審査で、関電は経験式に基づく地震規模の値をそのまま使用し、実際の地震規模が平均値より大きくなる可能性を考慮に入れなかった。規制委も上乗せする必要性を検討せず、関電の言い分をそのまま通した。
 東日本大震災を受けた2012年の防災白書は「災害を完璧に予想することはできなくても、災害への対応に想定外はあってはならない。災害対策の検討に当たっては、楽観的な想定ではなく、悲観的な想定を行う必要がある」と教訓を残している。
 今回の判決は国が「世界一厳しい」とした審査基準そのものを否定はしていない。審査手続きの過程で、安全を担保すべき規制委が自ら定めたルールを逸脱したことが批判された。判決が示すように過去の教訓を生かせないようでは国民の信頼が得られるはずもない。
 一方で国と関電の控訴や上級審で覆される可能性があり、判決がすぐ効力を発揮するわけではない。しかし規制委の審査の在り方が否定された以上、国や電力各社は原発再稼働へ慎重になるべきだ。
 温室効果ガスの「2050年ゼロ」を宣言する菅政権は原発の積極的活用を掲げるが、現状で国民の理解は得られまい。再稼働に「お墨付き」を与えてきた規制委の審査が否定された今こそ、政権の総力をもって「脱原発」への道筋を考えるべき時だ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月07日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:どこでもドアと今帰仁

2020-12-07 06:01:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【金口木舌】:どこでもドアと今帰仁

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:どこでもドアと今帰仁 

 時空を超える“トンネル”「ワームホール」の理論を応用しているとみられるドラえもんの「どこでもドア」。LINEリサーチの調査によると、ドラえもんの秘密道具の中の「一番ほしいもの」ランキングで堂々の1位を獲得した

 ▼「どこでもドア」をイメージしたドアが出現している。渡嘉敷島とかしくマリンビレッジに設置されたドアは、地元の人たちが記念撮影するなど人気。今帰仁村運天のウッパマビーチにも「どこでもドア」があり、SNS映えのスポットとなっている
 ▼時空のトンネルを抜けると、世界のどこにでも瞬時に行ける。人類は移動時間を短くすることに挑戦してきた。どこでもドアが人気なのはうなずけるが、今帰仁村運天には別のトンネルがある
 ▼源為朝が「運を天に任せて」たどりついたとの伝説から名付けられた「運天港」。その周辺に1924年、「運天トンネル」が開通した
 ▼「なきじん研究 山原の津(港)と山原船」によると、運天トンネルが完成したのは海上交通から陸上交通の転換期。移動はより便利になった
 ▼時間に追われる日常では抜け穴を探してでも移動時間を短くしたいのが心情だが、たまにはゆっくり散策してみてもいい。為朝が一時暮らしたとされる「ティラガマ」や北山王族らが葬られているとされる「百按司墓」。トンネルの向こうには日常にない異空間が存在する。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年12月07日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:学術会議のあり方論議 すり替えだけ進んでいる

2020-12-07 02:01:50 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

《社説①》:学術会議のあり方論議 すり替えだけ進んでいる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:学術会議のあり方論議 すり替えだけ進んでいる 

 日本学術会議のあり方を議論している自民党のプロジェクトチームが、3年後をめどに政府から独立させるよう求める提言をまとめた。政府内でも、非政府組織への移行が検討されている。

 見直し論議は、菅義偉首相が新会員候補6人を任命しなかったことが表面化した直後に提起された。任命拒否への批判をかわし、組織のあり方の問題にすり替える意図が明白だ。

 学術会議は拒否の理由を明らかにするよう求めている。だが首相は「総合的、俯瞰(ふかん)的観点からの判断」との説明を繰り返すばかりだ。

 プロジェクトチームは、会員がより自由な立場で活動するには、欧米のアカデミーのような非政府組織が望ましいと判断しているという。だが、日本と欧米とでは学術をめぐる歴史が異なる。

 日本は明治維新を機に欧州から近代科学を導入した。国家主導で大学を作り、学問体系を構築した。学術会議もこうした歴史を踏まえ、政府の特別機関として発足した。同時に、政府から独立して活動することが法律に明記された。

 今回の見直しは、このような事情を無視している。形だけをまねて非政府組織にしても、機能するとは限らない。

 政権内には、学術会議が2017年にまとめた軍事研究に関する声明への批判がある。声明は、防衛装備庁が新設した安全保障に関わる研究への助成制度を「政府の介入が著しい」と指摘した。

 これを受け、制度に応募しないとの決定をする大学が相次いだ。政府が、その方針に従わない学術会議に対し、任命権を振りかざして統制を強めようとするなら筋違いだ。

 国際的な信用にもかかわる。学術会議が加盟する国際学術会議の会長は公開書簡で、学問の自由に与える影響を「極めて深刻」と批判した。学術に関わる決定が政治的な統制や圧力の対象になってはいけない、とも指摘している。

 学術会議は新体制が始動したが、人文・社会科学系の第1部は、6人が任命を拒否されたことで約1割が空席のままだ。

 科学技術大国の地位を、政府自ら損ねている。首相にはまず、任命拒否した理由を説明する責任がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月07日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:日本の女性作家躍進 共感広げる格差への視点

2020-12-07 02:01:40 | 【女性が輝く社会と社会参画・選択的夫婦別姓・女性差別・女性を取り巻く諸問題】

《社説②》:日本の女性作家躍進 共感広げる格差への視点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:日本の女性作家躍進 共感広げる格差への視点

 

日本の女性作家への国際的評価が近年高まっている。その潮流を象徴するような出来事だ。

 柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」の英訳版が全米図書賞の翻訳文学部門に選ばれた。米国で最も権威ある文学賞の一つだ。

 柳さんは、東日本大震災直後から震災や原発事故による被災者の声に耳を傾けてきた。今は福島県南相馬市に住む。

 小説は南相馬出身で、やがてホームレスになる男性の不運続きの人生を描く。そこに地方と中央の格差など戦後の経済成長のひずみがあぶり出される。

 同部門では2018年に、原発事故後の状況を受けて多和田葉子さんが書いた「献灯使」が受賞している。小川洋子さんの「密(ひそ)やかな結晶」も昨年の同部門と、今年の英ブッカー国際賞でともに最終候補作に選ばれた。

 村田沙耶香さんの芥川賞受賞作「コンビニ人間」は、英訳版が北米や英国でベストセラーになっている。米タイム誌が選ぶ「2020年最高の小説10冊」には、川上未映子さんの「夏物語」と松田青子さんの「おばちゃんたちのいるところ」の2冊が入った。

 海外の日本文学人気は村上春樹さんが長くけん引してきた。今なぜこれほど、女性作家が国を超えて読者を引きつけているのか。

 社会的少数者が生きづらさを抱える社会で、格差などの不条理を問い直す物語が多くの共感を集めているという。

 柳さんの作品に現れる居場所のない人々は、排斥される難民やコロナ禍で困窮する人々の姿に重なる。多和田さんや小川さんが描く鎖国や監視社会といったディストピア(反理想郷)は今の世界の映し鏡だ。

 いまだ男性優位の社会において、女性作家が新しい視点を与えているということもあろう。

 さらに、翻訳者や出版社の作品に対する思いや熱意が、海外での評価につながっている側面もある。柳さんは訳者と南相馬の沿岸部を歩き、意識を共有したという。

 国際交流基金の翻訳出版助成や文化庁の翻訳者育成などの事業の成果も見逃せない。

 国内では若者らの「読書離れ」が言われるが、日本文学の素晴らしさにぜひ触れてほしい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月07日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚して10年…

2020-12-07 02:01:30 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【余禄】:大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚して10年…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚して10年…

 大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚して10年。地に落ちた検察への信頼を回復するため法相の私的諮問機関が提言をまとめている。<現実の社会に目を向け、その変化を感じ取って未来を志向する能力を培い、より高い倫理と品性を身に付け――>▲目標は達成したのか。提言に関わった法務省の事務方が黒川弘務氏。コロナ禍の緊急事態宣言下で記者と賭けマージャンをして東京高検検事長の職を追われた。コロナに苦しむ「現実の社会」を軽視した行為。「高い倫理と品性」どころではない▲この問題を機に法相が再び法務・検察の課題を議論する有識者会議を設けた。黒川氏をめぐり、取りざたされた政治との関係も重要なテーマだ。政権に近いとされる人物を検事総長にするために政府が定年を延ばそうとした疑いが強い。だが議題にならず、元裁判官の委員が抗議の辞任をした▲有識者の議論が続く中、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭に注目が集まる。安倍氏側が費用を補塡(ほてん)していたことが明らかになり、東京地検特捜部が捜査を進めている▲そもそも政権が黒川氏を検察トップにすえようとしたのは、桜の捜査に手心を加えてもらうのが狙いだったのではないか。そう思う人は少なくない。疑念を持たれること自体、政治の指導者としてゆゆしき状況だ▲一方、検察は組織の名誉回復を目的に捜査してはならない。政治と距離を置き、謙虚に真実を追究する。「倫理と品性」を備える第一歩だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2020年12月07日  02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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