★唐突に記者団の前に現れて桜を見る会についての釈明をした首相・安倍晋三。これで説明責任を果たしたなどとは誰も思わない。国会や記者会見から逃げ切れれば何とかなると思ったのは7年間成功体験からだろうが、国民与党内からも権力やり放題限界ではないかとの声が聞こえる。真っ先にかばった自民党幹事長・二階俊博や公明党代表・山口那津男ももうだんまりだ。

 ★焦点は桜を見る会の私的運用と前夜祭の会場となったホテルニューオータニでの金銭の扱いに移ってきた。8日、参議院予算委員会で共産党・田村智子がこの問題の質問に立ち、11日夜には首相は首相補佐官兼秘書官・今井尚哉の叔父で元経団連会長、現在ホテルニューオータニの取締役・今井敬と会食しているなど、口裏合わせともとられかねない行動も明らかになっている。

 ★この動きに年明け冒頭解散を警戒する向きもあるが、自民党内も現実的には総辞職頭の片隅あるのではないか。「ポスト安倍」ともいわれる2人の自民党幹部は発言を強める。16日、党政調会長・岸田文雄は「国民が疑念を持つならば説明責任を果たしていくことは大事だ」と踏み込んだものの、国会での説明には「国会対策委員会をはじめ現場での判断になる」と一気にトーンダウン。性格が出た感じだが元幹事長・石破茂は同日「政府は公平かどうかを問われている。総理の説明に納得いかないという人もおられるとすれば、きちっと説明していただかないと」とし、翌日には「国会で説明できないのなら、いろいろな場がある。質問する側も準備して臨み、首相がきちんと答える場だ」と連日攻勢を強めながらも助け舟も出している。いずれにせよ、隠蔽(いんぺい)で押し切ろうとする首相に対して、今は自民党が問われていることを銘じるべきだ。(K)※敬称略