路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説①》:75歳以上の医療費 「選挙にらみ」が目に余る

2020-12-10 02:01:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

《社説①》:75歳以上の医療費 「選挙にらみ」が目に余る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:75歳以上の医療費 「選挙にらみ」が目に余る 

 75歳以上の医療費の窓口負担引き上げについて、対象者を単身世帯で年収200万円以上とすることで自民、公明両党首が合意した。対象者は約370万人になる。

 現在は原則1割負担になっている。政府は昨年末、一定以上の年収がある人は負担を2割に上げることを決めていたが、年収基準の決定が残されていた。

 ここに至るまで、自民、公明両党の調整は難航した。菅義偉首相が議長を務める政府の検討会議が、2度にわたり延期されるという異例の迷走ぶりだ。

 厚生労働省は11月、単身世帯で年収が「240万円以上」から「155万円以上」までの5案を示していた。

 公明党は最も影響が少ない240万円以上を主張してきた。首相は170万円以上にしたい考えだったという。それぞれ約200万人と約520万人が該当する。

 公明党は当初、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に年内の基準決定を先送りすることさえ求めていた。

 議論に影響を及ぼしてきたのは、来年実施される衆院選と東京都議選だ。選挙戦を考え、負担増はなるべく抑えたいという思惑が働いたのだろう。

 2022年4月と目されていた引き上げ時期も、夏の参院選を考慮して同年10月以降に先延ばしするとみられている。

 だが、少子高齢化が進む中で、医療保険財政をどう持続させるかは避けて通れない課題だ。

 75歳以上の医療給付費のうち9割は、現役世代や国などの支出で賄われている。22年には団塊の世代(1947~49年生まれ)が75歳以上になり始め、医療費がさらに増えると見込まれる。高齢者も応分の負担をせざるを得ない。

 そもそも、引き上げ自体は1年前に決まっていた。議論が難航したのは、真摯(しんし)にこの課題に向き合ってこなかったからではないか。

 確かに高齢者は主な収入が年金で、負担増の影響に配慮する必要はある。資産の状況や家族からの支援によっても状況は違うだろう。ただ、自公の協議からは踏み込んだ具体論が聞かれなかった。

 負担増と正面から向き合い、国民に理解を求めることこそ政治に課せられた責任である。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月10日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:免田栄さん死去 冤罪生む土壌変わったか

2020-12-10 02:01:40 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

《社説②》:免田栄さん死去 冤罪生む土壌変わったか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:免田栄さん死去 冤罪生む土壌変わったか 

 死刑囚として初めて再審で無罪となった免田栄さんが死去した。95歳だった。司法も誤ることを身をもって示し、釈放後は冤罪(えんざい)の防止と死刑廃止を訴え続けた。

 1948年に熊本県で起きた強盗殺人事件で、23歳の時に逮捕された。取り調べでは、板張りの床に正座させられ、肩を踏みつけられて、自白を迫られたという。

 耐えきれず虚偽の「自白」をしたことが決め手になり、死刑が確定した。最高裁まで争ったが、無実の訴えは聞き入れられなかった。

 6回目の再審請求が認められ、83年に無罪が確定した。アリバイがあったと認定され、強引でずさんな捜査が明らかになった。

 免田さんは34年半にわたって身柄を拘束され、刑執行の恐怖におびえる日々を送った。社会に出た後も中傷は続いた。そのむごさを忘れてはならない。

 再審請求の記録や獄中でやり取りした手紙などを、免田さんは熊本大に寄贈している。冤罪を戒める資料として活用してほしい。

 免田さんのほか、80年代には財田川事件、松山事件、島田事件と死刑囚の再審無罪が相次いだ。

 しかし、その後も冤罪は無くならない。昨年は熊本県で男性が刺殺された松橋(まつばせ)事件、今年も滋賀県の病院で入院患者が死亡した事件で、再審無罪判決が出た。

 いずれも「自白」が重要な証拠とされて有罪となっていた。自白偏重の捜査の弊害が、またも浮き彫りになっている。

 重大事件では昨年から、取り調べの録音・録画が義務化された。ただ、自白しないと身柄拘束が続く「人質司法」への批判は根強い。録音・録画の拡大や弁護人の立ち会いを議論する必要がある。

 冤罪を生んだ原因の検証も不十分だ。警察や検察が問題点を調べて公表したのは、足利事件など一部にとどまる。裁判所は誤判の究明に否定的だ。海外のように検証機関の創設を検討すべきだろう。

 再審制度の改善も欠かせない。検察側は証拠の開示に消極的で、裁判官の判断次第になっている。開示を促す制度が必要だ。

 無実の人を罰すれば、真犯人を取り逃がし、事件の真相解明を妨げることにもなる。冤罪を生まない仕組みを絶えず考えていかなければならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月10日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:古代ギリシャのスパルタでは…

2020-12-10 02:01:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【余禄】:古代ギリシャのスパルタでは…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:古代ギリシャのスパルタでは…

 古代ギリシャのスパルタでは兵士の戦闘訓練にダンスを用いた。哲学者のソクラテスには「最強の戦士は最良の踊り手」という言葉がある。だが古代のオリンピックでダンスの技が競われたことはなかった▲2024年のパリ五輪の実施競技にブレークダンスが初めて採用された。頭を地に着けて回るヘッドスピン、背中などで回るウインドミルなどパワームーブと呼ばれる曲芸のような技で、誰もが一度見たら忘れないあのダンスである▲生まれたのは1970年代、ニューヨークはブルックリンの若者のストリートダンスだった。当時はストリートギャングの抗争の暴力によらぬ調停にダンスのバトルが行われたとか。「最良の踊り手は最強の戦士」というわけである▲この半世紀でヒップホップ文化を代表するダンスとなり、近年はネットを介した交流や競技もさかんなブレークダンスである。若者にアピールする都市型スポーツとして、五輪イメージ刷新の期待を担ってのパリでの新競技となる▲野球や空手が競技から外れるパリ五輪だけに、気になるのは日本勢の実力だ。聞けば2年前のユース五輪では女子選手が金、男子が銅に輝いたほか、最近の国際大会でも好成績を収めている。世界的強豪国はフランスや韓国という▲国際大会でリスペクトし合う選手同士が技を教え合ったりする場面も多い競技である。ダンスと五輪がすんなり結びつかぬ世代にも、勝利至上主義に毒されたスポーツをさわやかに変える文化の新風は歓迎だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2020年12月10日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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