路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説①》:元農相の現金授受疑惑 倫理観の欠如が甚だしい

2020-12-09 02:03:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

《社説①》:元農相の現金授受疑惑 倫理観の欠如が甚だしい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:元農相の現金授受疑惑 倫理観の欠如が甚だしい 

 またも「政治とカネ」を巡る問題が発覚した。

 自民党の吉川貴盛元農相が大臣在任中に、広島県の鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの元代表から、現金500万円を受け取っていた疑惑が明るみに出た。

 元代表は業界団体のリーダー格で、政府や国会議員に陳情を重ねていた。吉川氏への現金提供を認めているという。

 農相は畜産業の政策決定に幅広い権限を持ち、贈収賄事件となる可能性がある。東京地検特捜部には徹底した捜査が求められる。

 当時は、家畜をストレスのない状態で飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の国際的な基準づくりが進んでいた。

 基準案はケージ飼育が主流の日本の養鶏に見直しを迫るもので、業界団体が反発していた。政府は反対意見を出し、修正された。

 鶏卵の取引価格が下落した際、国が補塡(ほてん)する事業についても、業界は拡充を要望していた。

 現金の授受が政府の施策に影響を及ぼした疑いもある。きのう、衆参両院の農林水産委員会で野党が追及したが、政府側は捜査に関わるとして答弁を拒んだ。

 吉川氏は疑惑報道を受け、不整脈で入院したことを理由に、自民党の役職を辞任した。

 ただ、疑惑については、発表したコメントに「当局から説明を求められれば、誠実に対応する」と記しただけだった。

 現金の一部は、大臣室で受け取った疑いが出ている。事実関係をきちんと説明する必要がある。

 安倍晋三前政権下では、秋元司元副国土交通相が収賄罪などで、河井克行元法相が公職選挙法違反でそれぞれ起訴された。

 前首相自身、後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の捜査が続いている。甘利明元経済再生担当相は、大臣室で建設会社側から現金を受け取っていた。

 倫理観の著しい欠如の表れだ。長期政権のおごりと緩みが生み出したものではないか。検察が近年、政界捜査に慎重だったことも影響しているだろう。

 吉川氏は自民党総裁選で菅義偉首相の選対事務局長を務め、二階俊博幹事長の派閥の事務総長でもあった。疑惑解明に向け、菅、二階両氏の責任は重い。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月09日  02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:コロナと追加経済対策 規模で不安は解消されぬ

2020-12-09 02:03:40 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

《社説②》:コロナと追加経済対策 規模で不安は解消されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:コロナと追加経済対策 規模で不安は解消されぬ 

 新型コロナウイルス禍で悪化した景気の回復を目指して、政府は追加の経済対策を決めた。第3次補正予算案などの財政支出が40兆円、民間の投資も含めた全体では70兆円超の大型対策である。

 旅行を支援するGoToトラベルを来年6月末まで長期間延長するなど、菅義偉首相肝いりの景気対策を前面に押し出した。政府は「来年度にはコロナ前の経済水準に回復させる」と強調している。

 だがエコノミストの間では、3~4年かかるとの見方が多い。景気回復を急ぎすぎると、感染対策がおろそかになりかねない。

 感染拡大が深刻化する中、最優先すべきは、逼迫(ひっぱく)する医療体制の拡充を急ぐことだ。にもかかわらず、医療機関への支援など感染対策に充てるのは財政支出のわずか2割にも満たない。

 いくら対策全体の規模を大きくしても、感染が広がってしまえば国民の不安は高まる。消費が冷え込んで景気はさらに悪くなる。

 巨額の国土強靱(きょうじん)化費用も盛り込まれた。防災対策の公共事業に今後5年で計15兆円をつぎ込む。今年度までの事業費を上回る。

 だが、積算の根拠は示していない。衆院選をにらんだ与党の歳出拡大要求に応じたものだろう。規模を膨らませる材料に使ったとみられても仕方がない。

 地球温暖化対策を支援する基金の創設に2兆円、官民のデジタル化推進にも1兆円を投じる。重要な政策だが、事業の精査はこれからだ。規模ありきでは、関係の薄い事業が紛れ込む恐れがある。

 一方、生活支援は不十分だ。

 感染拡大による消費停滞で飲食店などの失業が増える心配がある。だが、雇用を維持する企業への助成金上乗せは来年3月以降、縮小する方針だ。GoToトラベル事業の優遇とは対照的だ。

 中小企業への支援も事業転換が条件となる。飲食店がオンライン注文を受け宅配を行うことなどが想定されているが、転換は簡単ではない。人材やノウハウの乏しい中小が取り残される懸念がある。

 3次補正の財源は国債に頼ることになる。過去2回の補正で計60兆円近く発行しており、借金漬けはさらに深刻になる。いたずらに規模を押し上げると、将来へのつけ回しが増えるばかりだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月09日  02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:紀州・広村を襲った津波で…

2020-12-09 02:03:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【余禄】:紀州・広村を襲った津波で…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:紀州・広村を襲った津波で…

 紀州・広村を襲った津波で村民の避難を誘導した「稲むらの火」の物語のモデル、浜口梧陵(はまぐち・ごりょう)はその後私財を投じて広村堤防を築いた。ラフカディオ・ハーンは「生き神」という一文でその事績を顕彰している▲梧陵は医療への支援でも大きな役割を果たす。名高いのは江戸の西洋種痘所が焼失した際に、何百両も寄付して再建させたことだ。種痘所を作った幕府内の開明派が大老・井伊直弼(いい・なおすけ)により左遷され、再建が絶望視されていた時だった▲この種痘所は後に東大医学部となる。人々の健康を願う高い志にも支えられてきた人類の感染症との闘いである。種痘に始まるワクチンはその闘いの決め手だが、いよいよスピード開発された新型コロナのワクチンの接種が始まった▲Vデー。ワクチンと勝利の頭文字を冠し、英保健相はきのうのワクチン接種開始日をそう呼んだ。認可を受けたワクチンとしては世界初、英国内の指定病院で始まった医療・介護従事者、80歳以上の高齢者らを対象とする接種である▲米国でも近く接種が始まるが、これら感染状況の厳しい国の局面転換への期待を集める新ワクチンだ。日本での接種開始の時期はもちろん気になるが、感染症への対処は人類的な課題でもある。途上国にも適正に配分せねばならない▲途上国むけワクチンの国際共同調達をはかるCOVAX(コバックス)などの取り組みはしっかり支えたい。梧陵は津波防災で世界的に有名だが、その種痘普及への志も受け継がねばならぬ今日の日本人だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2020年12月09日  02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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