路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:第3次補正予算 急を要する支援確実に

2020-12-16 05:05:30 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:第3次補正予算 急を要する支援確実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:第3次補正予算 急を要する支援確実に 

 政府はきのう、本年度第3次補正予算案を閣議決定した。一般会計の追加歳出は約21兆8千億円で、うちコロナ禍を受けた追加経済対策の経費は19兆円余となる。

 来週決める来年度予算案にも10兆円程度の対策費を計上する予定で、政府は1~3月に対応する3次補正と合わせた「15カ月予算」として切れ目ない支援をうたう。

 感染再拡大に歯止めがかからず、医療体制が逼迫(ひっぱく)し、医療従事者の疲弊も限界に近づいている。人手不足に苦悩する保健所も多い。

 日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)では、今後の景気動向に慎重な見方が強いことが浮き彫りになった。資金需要が高まる年度末にかけて倒産や失業の連鎖が起こる懸念も拭えない。

 いま求められるのは、予算を速やかに執行し、支援を必要とする先に滞りなく届けることだ。

 だが臨時国会は与党の延長拒否で閉じられ、予算審議が行われるのは年明けの通常国会になる。支援がまたも後手に回りかねない。政府は状況に応じて予備費の残りを使い、臨機応変に対処すべきだ。

 補正予算案は、医療機関向けの交付金増額など感染拡大防止策に約4兆3千億円を計上した。

 一方、防災・減災のための国土強靱(きょうじん)化や政権肝いりの脱炭素化関連といった、追加経済対策の中でも感染防止や雇用維持とは直接関係のない費用や、防衛費3800億円強も盛り込まれた。

 補正予算は本来、災害復旧など緊急性の高い施策を手当てする。今回は感染対策がそれに当たる。

 コロナ後に向けた成長戦略や災害への備えは重要だが、補正予算に入れるのは筋違いだろう。そこに投じる国費が感染対策を大きく上回るのも疑問を禁じ得ない。

 急を要す施策だけなら予備費で賄える規模であり、補正を編成せずとも迅速に執行できたはずだ。

 15カ月予算の名の下に、査定が甘くなりがちな補正を本予算の一部として使い、歳出を膨らませる―。安倍前政権下で繰り返された補正を抜け穴に使う手法まで、菅義偉首相は踏襲するのか。

 3度の補正編成で本年度の新規国債発行は112兆円超に膨らみ、過去最大を大幅に更新する。コロナ禍で歳出が増えざるを得ないからこそ、政策の中身を吟味し、無駄を排除することが欠かせない。

 これまでのコロナ対策には相次ぐ不正受給や不透明な外部委託が問題視されたり、使い残しが出たりした例もある。政策内容に加え運用面の徹底検証も求められる。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月16日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:座間事件判決 「助けて」が届く社会を

2020-12-16 05:05:20 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説②】:座間事件判決 「助けて」が届く社会を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:座間事件判決 「助けて」が届く社会を 

 神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人を殺害したとして、強盗強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告にきのう、死刑判決が言い渡された。

 猟奇性が衝撃を広げた事件だった。9人の若い命が奪われた被害結果の重大さから求刑通り、極刑が相当と判断された。

 事件を通しては、ツイッターなどインターネットの交流サイト(SNS)に吐露されている多くの若者の悩みに、社会が気づかなかった現実も浮き彫りになった。

 コロナ禍で人の孤立がさらに懸念される今、関係機関は若者のSOSに敏感になり、適切な支援につなげなければならない。

 裁判の最大の争点は、被害者たちが殺害を承諾していたかどうかだった。弁護人は殺害への同意はあるため承諾殺人罪にとどまるとして、死刑の回避を求めていた。

 東京地裁立川支部での判決は、被害者たちがいきなり襲われたことなどから、「いずれも殺害を承諾していなかった」と認定した。

 白石被告は公判で犯行の直接の動機については金銭や乱暴目的だったと淡々と語ったものの、裁判を早く終わらせたいなどと投げやりにみえる言動もみせた。

 犯行に至った心の闇は十分には解明されなかったと言えよう。

 被害者たちは学校生活や人間関係にそれぞれ生きづらさを抱え、ツイッターに「死にたい」などと書き込んでいたという。

 しかし公判での家族の証言からは、将来に夢や希望を持ち、前向きに生きようとしていた9人の姿が浮かび上がった。

 被害者たちは孤独の中、悩みに気づいてほしいと叫んでいたのではないか。「死にたい」は決して同意の言葉ではなかったはずだ。

 事件を受け、深い悩みが垣間見える投稿者には積極的にアプローチする民間団体などの活動も盛んになっている。行政は財政や人材面の支援を惜しむべきではない。

 自殺者が多かった東京都足立区は、住民の自殺の兆候を見つけるスキルを持つ職員の養成に力を入れている。参考にしたい。

 白石被告はSNSの普及で心が弱っている人に接近しやすかったとも語った。自殺に誘うような悪意ある投稿は削除する仕組みができたとはいえ、利用者はこれまで同様十分注意を払う必要がある。

 国や自治体は民間と協力してSNSも活用した相談の充実も図ってほしい。多角的な取り組みを通して、若者が「助けて」と自然体で言える社会を目指したい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:新しい草履

2020-12-16 05:05:10 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【卓上四季】:新しい草履

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:新しい草履

 江戸時代の街道筋、かごかきらに交じり悪さを働く者たちがいた。「雲助」と呼ばれた非正規の人足である。旅人の草履の状態を見て困窮ぶりを探り、法外な値段をふっかけた。「足元を見る」の語源だ▼ひきょうなやからはいつの世もいるものだ。こちらはインターネット上で吐露された弱音につけ込んだ。神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告のことだ▼きのう死刑判決が言い渡された。会員制交流サイト(SNS)で死を望むような投稿をした人たちに対し、悩みに寄り添うふりをして近寄り、金銭や暴行の目的で殺害を繰り返したという。人のSOSを悪用したとすれば外道というほかない▼SNS上には悲鳴のような言葉があふれる。「死にたい」は「生きたい」の裏返し。そんな助けを求める声の足元を見る卑劣漢が後を絶たない。とりわけ立場を利用して子供たちを搾取する醜い大人には、吐き気すら覚える▼東海道筋の三島市に雲助徳利の墓がある。名家の生まれながら人足となった人物で頭役として仲間の悪事を取り締まり、貧しい人のために身銭を切って面倒を見た。死後に作られたお墓は、農民や商人からも慕われた器量を示す▼生きていれば、歩けなくなることもあろう。だれかの草履がすり切れているならば、新しい草履を黙って渡せばいい。2020・12・16

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年12月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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