【主張】:原油高対策 価格介入はもはや限界だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:原油高対策 価格介入はもはや限界だ
政府・与党がエネルギーなど物価高騰への緊急対策をまとめ、ガソリン価格を抑制するための補助金の増額や生活困窮者向けの支援などを盛り込んだ。今国会で補正予算を編成して実施する。
対策の柱は原油高への対応だ。石油元売り会社への補助金について、これまでの1リットルあたり最大25円から35円に増やし、期限も9月末まで大幅に延長する。
ただ、制度の性質は大きく変わった。従来はガソリン価格の一時的な急騰を抑制する狙いだったが、今回は価格目標を引き下げて一部値下げを促す内容に変質した。夏の参院選を控え、少しでもガソリン価格を安くしたいとの思惑が強く働いた。
しかし、世界的にエネルギー価格が高騰する中で、それを補助金で抑え込むのはもはや限界だ。長期間続ければ国民負担も大きい。政府・与党は原油高に適応できる経済への転換を急ぐべきだ。
政府はガソリン価格の急激な値上がりを背景に補助金制度を創設し、今年1月から石油元売りに1リットルあたり最大5円の支給を始めた。卸売価格を下げて店頭価格への波及を目指し、店頭価格の上昇に伴って補助金も増額した。重油や軽油なども対象にしている。
これまではレギュラーガソリン1リットルあたり172円(全国平均)を価格目標としてきたが、今回の対策ではこれを168円程度と4円の値下げを目指す。価格高騰が中小・零細企業の経営に打撃を与えているためというが、行楽客の自家用車使用なども一律で補助対象となるなど問題がある。
国民負担も大きい。すでに4月末までで約4400億円の補助金支給が見込まれ、5月から9月までの費用として1・5兆円を計上する。
これらはガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を上回る規模だ。価格の抑制効果の検証が欠かせない。
世界的なエネルギー価格の高騰に伴い、電気・ガス料金なども大きく値上がりしており、家計や産業を強く圧迫している。その中で多額の予算を投じてガソリン関係だけを補助する政策の整合性も問われよう。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2022年04月27日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。