【追悼】:政治評論家・森田実さんが最後まで貫いた「平和主義」、嘆き続けた「政治の劣化」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【追悼】:政治評論家・森田実さんが最後まで貫いた「平和主義」、嘆き続けた「政治の劣化」
「戦後政治の生き証人」と称された政治評論家の森田実さんが7日午後、悪性リンパ腫のため都内の病院で死去した。90歳だった。1932年、静岡県伊東市生まれ。東大在学中は全学連幹部として「砂川闘争」や「安保闘争」に加わった。出版社勤務を経て1973年に政治評論家として独立。半世紀にわたり辛口で鳴らし、死の直前まで日本政治に苦言を呈し続けた。
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日刊ゲンダイのコメンテーターを長年務め、「平和主義」の立場を徹底し、今年の「新春特別号」で専守防衛を捨て去った岸田政権を批判。「今の日本は先の大戦前夜と酷似した危ういムードに包まれています」と憂えたのが、最後のコメントとなった。
意見を聞くたび、いつも快く応じる。偉ぶることは一切ない人だった。古今東西の政治・思想史を知り尽くし、披露する格言や逸話の数々には常に感服させられた。
近年は「政治の劣化」と「政府の米国追従」を嘆き、この20年で小泉、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田、再び安倍、菅、岸田と政権が代わるごとに「史上最低」を更新。その20年は「メディアの劣化」も重なった。批判精神を失ったテレビで「ご意見番」として活躍する機会も減り、「私の意見を求めてくれるのはあなた方だけ」と自嘲気味に語ることもあった。
最晩年のライフワークは「震災復興」。3.11の翌年から福島県いわき市の「東日本国際大学」の客員教授となり、被災地に足しげく通った。2022年には同大名誉学長に就任。記者がいわき市出身と知ると「僕も愛着がある地。うれしいねえ」と本当に喜んでいた。いい思い出だ。
最後のコメントの際は「良い日本にするため、共に頑張りましょう」と元気そうだったのに、別れの言葉になってしまった。ご冥福を心からお祈りします。 (今泉恵孝/日刊ゲンダイ)
元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・訃報】 2023年02月09日 10:50:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。