【点描・永田町】:「統一選」にらむ維新に吹く〝逆風〟
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【点描・永田町】:「統一選」にらむ維新に吹く〝逆風〟
岸田政権発足後の2回の国政選挙で大躍進し、立憲民主党に代わる野党第1党の座をうかがう日本維新の会が、逆風に苦しんでいる。
新体制発足後、各党へあいさつ回りをする日本維新の会の馬場伸幸代表(中央)ら=2022年9月14日、国会内【時事通信社】
参院選後の8月に松井一郎大阪市長の後継代表となった馬場伸幸衆院議員は、「全国政党」への脱皮を目標に党勢拡大を図るため、10月末から「全国キャラバン」を開始した。「大阪の地域政党」という国民的イメージから関西以外では伸び悩みが目立つだけに、馬場氏は全国各地での遊説で党の掲げる「改革姿勢」を軸に、憲法改正や防衛費増強といった保守的な政策を訴えることで支持拡大に腐心している。ただ、ここに来ての相次ぐ所属議員の問題行動や発言が大きな障害となり始めている。
【点描・永田町】前回は⇒首相が政権維持に強気な訳
「松井氏からバトンを渡された。改革しながら、いろいろなことを前に進めていく」。馬場氏は10月30日、全国キャラバンの最初の遊説地として選んだ仙台市内で熱っぽく聴衆に語り掛けた。維新が掲げる「身を切る改革」の必要性を力説する一方、連携を進める立民についても「協調しながら国民のための政策を実現していく」と訴えた。馬場氏は来年4月の統一地方選までに全47都道府県を巡る予定で、「街頭演説は地道だが、維新スピリッツを全国に広げていく確かな手だ」と、代表としての陣頭指揮に徹する構えだ。
維新は昨年10月の衆院選で、公示前勢力(11議席)を大きく上回る41議席を獲得し、第3党に躍進。今年7月の参院選でも比例代表の獲得議席数が8と、立民を上回った。ただ選挙区では東京や神奈川、京都、兵庫などを最重点区に指定して臨んだものの、当選できたのはわずかに3選挙区だけで、関西以外の地方には浸透できていない。
◆「全国政党」目指すも窮地に
そうした中、党内から馬場氏の足を引っ張る政治スキャンダルが続発している。まず元衆院議員の新開裕司氏に成り済まし、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を記したビラを配ったとして、私文書偽造容疑で告発された堀本和歌子福岡市議が10月26日に維新を離党、同28日に議員辞職した。この騒動は何とかローカルな話題にとどまったが、今度は7月の参院選比例代表で当選した歌手で俳優の中条きよし氏が11月15日の参院文教科学委員会で、自らの芸能活動を宣伝したことが大問題となった。
福岡市議会議長に辞職願を提出し、記者会見に臨む堀本和歌子氏=2022年10月28日、福岡市【時事通信社】
中条氏は同委での質問の最後に自身の新曲や年末のディナーショー開催に言及し、「(新曲を)お聞きになりたい方はお買い上げを。(ディナーショーは)今年最後ではなく、芸能界最後」などと得意げに宣伝。インターネット上で「国会の場を宣伝に利用するなんて酷(ひど)すぎる」などと大炎上し、維新幹部も「ど素人の極みだ」と怒り狂う事態となり、慌てた党執行部は翌16日、藤田文武幹事長が口頭で厳重注意し、中条氏も「不適切だった」と謝罪した。

初登院し、記者の質問に答える日本維新の会の中条きよし参院議員(中央)=2022年8月3日、国会前【時事通信社】
中条氏は同党が集票アップを狙った目玉候補として比例代表に擁立し、4位で当選した。ちなみに5位当選は猪瀬直樹元東京都知事だ。この人選に、政界では「知名度は高いが、悪名も高い問題候補」との批判が渦巻いていた。それだけに「国会議員が絶対やってはいけない行為で、議員辞職もの」(自民党幹部)と、擁立を主導した松井、馬場両氏の責任を問う声も多い。
馬場氏は「統一選での600議席獲得に代表の地位を懸ける」と宣言しているが、最新の各種世論調査では維新の支持率下落が際立つだけに、こうした状況が続けば目標達成は不可能で、「馬場氏の代表の地位も風前のともしび」との見方が広がっている。
(2022年12月6日掲載)
元稿:時事通信社 JIJI.com 政治 【政局・連載「点描・永田町」】 2022年12月06日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【選挙】:「自民党がバラバラに…」首長選で相次ぐ分裂 政権が抱く危機感
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【選挙】:「自民党がバラバラに…」首長選で相次ぐ分裂 政権が抱く危機感
各地の首長選挙で自民党が候補者を一本化できない「保守分裂」が相次いでいる。今春の統一地方選では奈良、徳島の両県知事選(4月9日投開票)が保守分裂となる見通し。既に5日投開票の北九州市長選で自民の推薦候補が別の保守系候補に敗れるなど波乱も生じており、「党がバラバラに見える」などと岸田政権への悪影響を懸念する声もある。<button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button>
自民党(毎日新聞)
奈良県知事選は二階俊博元幹事長に近いとされる現職と、県連会長の高市早苗・経済安全保障担当相に近い新人のどちらを支援するかで、県連内が二分。「このままでは維新にトップを奪われかねない」と一本化を求める声が高まっている。
現在、立候補を表明しているのは、5選を目指す現職の荒井正吾氏(78)▽高市氏が総務相時代に大臣秘書官を務めた新人の元総務官僚、平木省(しょう)氏(48)▽維新新人で弁護士の山下真氏(54)――の3人。
県連は1月15日、対応を決めるため会合を開いたが紛糾、最後は県連会長の高市氏に判断を委ねる形となり、平木氏の推薦を党本部に求めることが決まった。一方、荒井氏は独自の人脈を駆使して党本部への根回しを進めている。27日に奈良市で開いた政治資金パーティーには二階氏の秘書の姿があった。党関係者は「二階氏や亀井静香元政調会長ら大物が荒井氏支持で動いているようだ」と話すが、党本部は沈黙を守ったままだ。党幹部は「お互いに分裂も辞さない覚悟なので、どうしようもない。党本部が間に入るのも難しい」とため息をつく。
知事選が県連会長としての「初陣」となる高市氏。事態の収拾に手腕が問われるところだが、焦りも見える。平木氏を従えて臨んだ2月5日の国政報告会では「勝ち抜かないと、奈良県は第二の大阪になってしまう」「平木さんに私たち(国会議員)の運命も懸かっている」と維新を意識した発言を繰り返した。
また、徳島県知事選には、6選を目指す現職の飯泉嘉門氏(62)▽元自民参院議員の三木亨氏(55)▽元自民衆院議員の後藤田正純氏(53)▽2019年知事選で飯泉氏に敗れた元自民県議の岸本泰治氏(65)――が出馬表明し、保守が「4分裂」する混戦となっている。共産も候補擁立の方針だ。県議会の自民会派は飯泉氏の支援を決めたが、県連としての態度は未定。ある自民系首長は「これまでは異なる立場だったからこそうまくすみ分けられていたのに、今回は誰を支援していいかわからない」と困惑する。
このほか、5日投開票の北九州市長選では自民、立憲民主、公明など推薦の与野党「相乗り」候補が別の自民系候補に敗れた。
相次ぐ保守分裂について、党幹部は「党がみんなバラバラになっているように見えてしまう。政権にとってよくない」と嘆いた。【久保聡、植松晃一、李舜】
元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政局・選挙・統一地方選挙】 2023年02月17日 17:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金融】:見えた!「植田日銀」のホンネと覚悟!金融緩和継続を表明しつつも... エコノミストはどう見たか?...「時間かけて引締めに修正」「来年が本格的見直しのヤマ場」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金融】:見えた!「植田日銀」のホンネと覚悟!金融緩和継続を表明しつつも... エコノミストはどう見たか?...「時間かけて引締めに修正」「来年が本格的見直しのヤマ場」
「黒田路線」の継承を前面に出して、サプライズこそなかったが、日本銀行改革への静かな闘志を端々に垣間見せたようだ。
日本銀行の次期総裁候補の植田和男氏(71)が2023年2月24日、国会で所信聴取に臨んだ。戦後初の学者出身の日銀総裁となるだけに、国会答弁が1つの課題との見方があったが、2時間45分の質疑応答の間、鋭い質問にも詰まることなく乗り切った。
とりあえず金融緩和の継続を打ち出したことで、市場も安心し、株価の変動はなかったが、「植田日銀」はこれからの日本経済にどんな影響を与えるのか。エコノミストの分析を読み解くと――。
◆「私の使命は、魔法のような金融政策を行なうことではない」
衆議院公式サイトの「衆議院TVインターネット審議中継」や、報道をまとめると、植田和男氏は国会の恒例になっている、事前に質問内容を答弁者に知らせる「質問通告」を「いらない」と議員側に伝えてきたそうで、6党6人との質疑応答ではほとんど紙を見ないで答えていた。
主な発言のポイントは次のとおりだ。
「日本銀行が現在行っている金融政策は適切である。金融緩和を継続し、企業が賃上げできる環境を整えたい」
「政府・日本銀行が2013年の共同声明の中で掲げている目標の2%の物価を持続的に達成するには、なお時間がかかる。ただし、良い兆候も表れている」
「したがって、共同声明をただちに見直す必要はない。2%の物価を達成し、賃上げにつなげるのが日銀の使命だ」
「消費者物価が4%を超える現在の物価高は、今がピークであり、来年(2024年)以降2%台に落ち着く」
「政府の財政規律を乱しているという批判があるが、日本銀行が現在行っている大量の国債購入は財政ファイナンス(政府の赤字財政を補うために、政府が発行した国債を中央銀行が引き受けること)ではない。最大の目的は、持続的・安定的な物価目標2%を達成することだ」
「大量の国債購入にはマイナスの副作用もあるため、物価目標2%が見えてきた段階で購入をやめる判断をすることになると思う」
「大規模金融緩和の効果・副作用については就任後に検証していくが、具体的な修正内容については、その時点での経済状況に応じて判断していくので、現時点で述べることを控えたい」
そして、最後に自分が任期5年間に何を成し遂げるかと聞かれ、こう答えたのだった。
「私の使命は、魔法のような金融政策を行なうことではない。物価目標2%のミッションを達成し、金融政策の正常化に踏み出すことだ。2%に到達しなければ、副作用を起こさせないよう、早く判断したい。日銀の役割は、国民に無駄な心配を起こさせずに、自分の所得や家計に注力できるよう、インフラを整えることだ」
質問中の議員からは「よくこの難局で引き受けてくれましたね」(公明・岡本三成氏、国民民主・前原誠司氏)といった声も上がっていた。
◆経済学者らしく理論に即して分かりやすく、バランスの取れた内容
こうした日本銀行総裁候補・植田和男氏の発言について、エコノミストはどう見ているのだろうか。
日本経済新聞オンライン版(2月24日付)「植田氏『金融緩和を継続』 日銀総裁候補、衆院で所信」という記事につくの「ひとくち解説コーナー」では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者は、
「まずは金融緩和の継続を表明し、政策の急変への懸念を和らげる。午前のマーケットはそんな植田和男氏の言い回しに安心感を抱いたようです。副作用を認めつつも、経済・物価の現状を踏まえるなら、現状の政策が適切。そう述べたことは、金融政策の継続性を重視したものと言えましょう」
と、市場に配慮した姿勢を指摘。つづけて、
「異次元緩和からの軌道修正にしても、細心の目配りが大切。出口それ自体を課題とするような立論は、金融政策に必要な柔軟性を欠いているように思われます。速水(優)総裁時代にゼロ金利解除に異を唱えた植田氏は、米国のITバブル崩壊などに目配りしていました。今も経済の安定に大切な総合判断のできる経済学者のはずです」
と、学者らしい持ち味を出したことを評価した。
同欄では、日本経済新聞社上級論説委員/編集委員の菅野幹雄記者も、
「総裁候補として初めて国会に臨んだ植田氏の答弁は有力経済学者らしく、理論に即して分かりやすく、バランスの取れた内容でした。黒田(東彦)現総裁の金融政策の継続を明言しつつ、物価2%目標の安定的達成ならば『出口』に向かう姿勢を明示。金融緩和の副作用も率直に認め、歪みが指摘される長短金利操作の柔軟な見直しにも含みを持たせました」
と、学者らしい分かりやすい説明を評価。その一方で、
「とはいえ、現実にその『2%』にいかに持っていくか。実際の政策でサプライズが起きる可能性を否定しなかったように、憶測が渦巻くマーケットといかに率直に、巧みに渡り合うかが問われます。最後に昼食のコンビニ弁当の値上げについて話していました。庶民の目線で物価安定を説く手腕も磨いてほしいです」
と、市場や政界と渡り合う政治力と、庶民感覚に期待した。
◆「アベノミクス」安倍派VS「新しい資本主義」岸田首相の板挟みか
ヤフーニュースコメント欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎氏が、
「今後の金融政策は、景気や金融市場の現状や先行きをにらみつつ進められることになりますが、景気回復の勢いが弱いうえ、海外経済の先行きが不透明であり、賃金上昇率も物価上昇を跳ね返せるほどの強さではないため、政策修正にあたってはタイミング、手段とも慎重に検討されることになりそうです。実際の金融政策の行方は今後の状況次第で大きく変わる可能性がありますが、現時点で確実に指摘できるのは下記の通りの内容です」
として、発言の背景をこう説明した。
「(1)現在の金融緩和策は限界に近付きつつあり、体制を維持していくことは困難である、(2)このため近いうちに修正が必要である、(3)修正するとすれば、方向は緩和ではなく引き締めとなる、(4)ただし、できるだけ金融緩和的な状態を維持するために、そのペースは慎重かつ緩やかに進められていく、(5)したがって、少なくとも企業の設備投資や家計の住宅購入に大きな影響を及ぼすことはない。また、米国の金融政策との関係も無視できません」
内外の経済状況に対する「目配り」が欠かせないと指摘している。
一方、同欄で、法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)が注目したのは、政界との緊張関係だ。
「植田氏の国会の所信聴取において述べたことは重要だ。政治的、そして政策的には、これまでの『アベノミクス』を否定するものではないというところがある。そのうえで、岸田政権が述べている『新しい資本主義』の中心に躍り出てきた『賃上げ』を実現するために、景気対策を行っていくというものと考えられる」
こう指摘したうえで、
「しかし、岸田政権の政策的な方向性とは必ずしも一致しない、ということは注意すべきである。金融緩和を続け、景気対策を日銀が行っている中で、政府が増税を行うことを検討するというのは、政策的にネガティブな効果を生む可能性がある。この人事は、『アベノミクス』を指示する党内最大派閥の安倍派と、岸田政権の方向性が、必ずしも一致していないことを際立たせていく可能性がある」
と、「植田日銀」の今後の危うさを予想した。
◆「安全運転」の中に見えた「黒田日銀」への批判と改革路線
「安全運転」にみえる答弁の中にも、今後の政策修正を強く示唆する内容だったと指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。
木内氏が、リポート「植田新総裁候補の所信聴取:慎重な答弁も現在の政策の問題点を明確に指摘し、政策修正を示唆」(2月24日付)のなかで注目したのは、これまでの日銀の金融政策の効果を明確に否定する発言があったことだ。
「国債買い入れを通じた政策効果については、明確に否定したことだ。国債買い入れを増加させることで金利が低下するのであれば、政策効果を発揮するが、もはや金利低下余地がないことから、国債買い入れを通じた政策効果には期待できないとの趣旨の発言も聞かれた。これは、従来の政策の枠組みを否定するものだ。さらに、過去10年にわたる異例の金融緩和が期待されたほどの効果を発揮しなかった理由については、金利低下余地が限られていたことを上げた。これらの点から、植田氏は、量的な政策の効果に懐疑的である一方、金利を通じた金融政策についても、その効果に懐疑的であることが読み取れる。また、実質賃金の上昇を通じて国民生活を改善させる、あるいは潜在成長率を高める生産性上昇の重要性に言及する一方、それは金融政策では対応できないもの、として、金融政策の限界にも触れたのである」
こうしたことから、木内氏は「植田日銀」の今後の政策修正をこう予想する。ポイントを整理すると、次のようになる。
(1)植田氏は、黒田路線を一気にひっくり返すのではなく、YCC(イールドカーブ・コントロール)、資産買入れ策など個々の政策について、効果と副作用を分析したうえで、副作用の軽減に資するような修正を段階的に講じていく。
(2)その中で、マイナス金利政策、YCCが撤廃されていく。それが、植田氏が語る「金融緩和の継続が適当」の真意であり、ゆっくりと時間をかけて、金融政策は大きく修正されていく。
(3)まずは、YCCの大幅な見直しが考えられる。YCCのもとで大量の国債買入れを余儀なくされている現状をすぐに変える必要があり、4月にもYCCの変動幅の上下1%などへの再拡大、あるいは変動幅の撤廃が予想される。
(4)その後、政府との協議を経て、年内に2%の物価目標を中長期に位置付け直す修正が行われる。これが、本格的な金融緩和の枠組みの見直しに道を開くことになる。
ただし、木内氏はこう結んでいる。
「内外経済の減速、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測などを受けて、本格的な金融緩和の枠組み見直しに着手するまでには時間をかけるのではないか。マイナス金利政策の終了、YCC廃止、オーバーシュート型コミットメント撤廃を踏まえた長期国債の残高削減、ETF(上場投資信託)のオフバランス化などの本格的な政策修正は、2024年半ば以降に、順次着手されていくものと見ておきたい」
(福田和郎)
元稿:J-CAST NEWS 会社ウオッチ 経済 【金融・財政・日銀新総裁・担当:福田和郎】 2023年02月24日 19:50:00 これは参考資料です。
【日銀】:“植田節”具体策の言及避ける 総裁候補「緩和を大筋継続」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日銀】:“植田節”具体策の言及避ける 総裁候補「緩和を大筋継続」
政府が日銀総裁候補として国会に示した元日銀審議委員の植田和男・共立女子大教授は、24日の所信聴取で大規模な金融緩和を大筋では続ける方針を示した。具体策については言及を避け、余計な言質を与えない安全運転に終始。市場はこの「植田節」をひとまず歓迎し、株価は上昇した。だが、金融政策のかじ取りが難しい局面にある中、具体的な手腕が問われるのはこれからだ。
◆「安全運転」市場は好感
「現体制の金融緩和のもとで、基調的なインフレ(物価上昇)率も少し良い動きが出ている。私が総裁になったら、その『芽』を大事に育てることに当面は力を注ぎたい」。植田氏はこう述べ、当面は継続性を重視して政策を運営する姿勢を鮮明にした。
日銀は2013年1月、政府との共同声明で2%の物価安定目標を示した。同年3月に黒田東彦総裁が就任すると、異次元とも称される大規模な金融緩和を開始。株高などの効果をもたらしたと評価される一方、10年にわたって国債を大量に買いあさった結果、足もとでは発行残高の過半を日銀が持つ事態に陥っている。それでも2%目標は未達成のまま。市場では、その限界や「副作用」の広がりが指摘されている。
金融市場はこの日、植田氏が政策を修正して金融政策を正常化させる「出口」に言及するかどうかに注目していた。しかし、植田氏は2%を大きく超える足もとの物価上昇率について「輸入物価上昇によるもので需要の強さによるものではない」「23年度半ばにかけて2%を下回る」などと、現在の日銀の公式見解を踏襲。10年に及んだ緩和についても「デフレではない状況を作り出した」「金融緩和を(マイナス金利政策などの)要素を付け足して継続した判断はやむを得なかった」と理解を示した。
政府内では、日銀との共同声明の見直しを検討する動きがあるが、植田氏はこれを否定。「連携は着実に成果を上げている。直ちに見直す必要があるとは考えていない」と言い切った。黒田氏が行ってきた首相や財務相との会合についても「私もそうした機会をいただき、しっかり意思疎通を図りたい」と述べた。
2人の副総裁候補も政策の継続性を強調した。内田真一・日銀理事は「日銀が直面する課題は、副作用があるから金融緩和を見直すことではなく、いかに工夫を凝らして緩和を継続していけるかだ」と述べ、氷見野良三・前金融庁長官も「緩和の副作用なども注意深く見ていくが、現在の状況からすれば金融緩和により経済を支え続ける必要がある」と述べ、それぞれ金融緩和を継続させる考えを示した。
市場は3人の答弁を好意的に受け止めた。24日の日経平均株価は植田氏の答弁が始まると上げ幅を拡大。前営業日から349円16銭高の2万7453円48銭で取引を終えた。SMBC日興証券の太田千尋・投資情報部長は「『これまでの金融政策は変えないよ』と強調し、『君子ひょう変す』とならなかったことが安心感をもたらした」と指摘。…、残り1853文字(全文3056文字)
※この記事は有料記事です。創刊割「最初の1カ月間は無料」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。
元稿:毎日新聞社 主要ニュース 経済 【金融・財政・国会・政府が提示した次期日銀正副総裁候補3人からの所信聴取と質疑】 2023年02月24日 19:57:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【衆院・議運】:植田氏「金融緩和を継続」 共同声明、見直しを否定―日銀総裁候補が所信
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:」【衆院・議運】:植田氏「金融緩和を継続」 共同声明、見直しを否定―日銀総裁候補が所信
衆院は24日の議院運営委員会で、政府が提示した次期日銀正副総裁候補3人からの所信聴取と質疑を行った。総裁候補となった経済学者の植田和男元日銀審議委員は、現在の日銀の金融政策を「適切だ」とした上で、「金融緩和を継続して、企業が賃上げをできる環境を整える」と表明。2%の物価上昇目標を明記した政府・日銀の共同声明に関しても、「直ちに見直す必要があるとは考えていない」と明言した。
【図解】消費者物価指数と日銀国債保有残高の推移
植田氏は、足元で4%を超える物価上昇率について「輸入物価の上昇によるもので、需要の強さによるものではない」と指摘。賃金上昇を伴う安定的な2%目標の実現には「なお時間を要する」とし、大量の国債購入など現在の大規模金融緩和について「さまざまな副作用が生じているが、2%目標実現に必要かつ適切な手法だ」と評価した。
衆院議院運営委員会で所信を述べる次期日銀総裁候補の植田和男氏=24日午前、国会内
ただ、長期化した金融緩和に関しては「必要に応じて検証を行っていきたい」と言及。その上で「(安定的に)2%を見通せる状況が見込まれれば、金融政策の正常化に踏み出せる」との認識を示した。
衆院議院運営委員会で所信を述べる次期日銀副総裁候補の内田真一氏=24日午後、国会内
副総裁候補の内田真一日銀理事は「金融緩和を継続し、わが国経済を支える必要がある」と強調。大規模緩和からの「出口戦略」を巡り「どのような金融情勢になろうとも、適切に対応できる」と自信を見せた。

衆院議院運営委員会で所信を述べる次期日銀副総裁候補の氷見野良三氏=24日午後、国会内
もう一人の副総裁候補である氷見野良三前金融庁長官も「現在の日銀の政策は適切だ」として、緩和の継続を訴えた。物価目標に関する共同声明については「直ちに変えないといけない印象はない」と述べた。
政府による人事案提示後、3人が正副総裁候補として公の場で発言するのは初めて。
日銀の正副総裁は衆参両院の同意を得た上で内閣が任命する。27、28日に参院の議院運営委員会でも所信聴取を行った後、現在の副総裁の任期が切れる3月19日までに両院の本会議で採決される見通しだ。可決されれば、内田、氷見野両氏は3月20日に、植田氏は4月9日に就任する予定。
元稿:時事通信社 JIJI.com 政治 【政局・国会・衆院は24日の議院運営委員会・政府が提示した次期日銀正副総裁候補3人からの所信聴取と質疑】 2023年02月24日 19:57:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【2023年02月23日 今日は?】:トリノ五輪で女子フィギュアスケート荒川静香が金メダル
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:」【2023年02月23日 今日は?】:トリノ五輪で女子フィギュアスケート荒川静香が金メダル
◆2月23日=今日はどんな日
トリノ五輪で女子フィギュアスケート荒川静香が金メダル(2006)
金メダルを手に笑顔を見せる荒川静香(2006年撮影)
◆出来事
▼ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が歴代法王として初来日。広島で平和アピール(1981)▼素粒子観測装置「カミオカンデ」がニュートリノ検出(1987)
ヨハネ・パウロ2世の平和メッセージ(昭和56年2月)
原爆で破壊された浦上天主堂
合同慰霊祭(昭和20年11月)
献身的に被爆者の救護活動にあたった医師の永井隆
◆誕生日
▼北大路欣也(43年=俳優)▼月亭八方(48年=落語家)▼中島みゆき(52年=シンガー・ソングライター)▼野口五郎(56年=歌手)▼近藤春菜(83年=ハリセンボン)▼亀梨和也(86年=KAT―TUN)▼三倉茉奈・佳奈(86年=女優)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】 2023年02月23日 00:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。