路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【ここがおかしい 小林節が斬る!】:「熟議の府」である参院議席の輪番制は、想定外だが実績次第だろう

2023-02-17 06:30:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【ここがおかしい 小林節が斬る!】:「熟議の府」である参院議席の輪番制は、想定外だが実績次第だろう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ここがおかしい 小林節が斬る!】:「熟議の府」である参院議席の輪番制は、想定外だが実績次第だろう

 憲法上、衆院議員は、任期4年でいつでも解散で短縮される可能性があり(45条)、「常在戦場」と言われるようにいわば「走りながら」政治を担っている。

 それに対して、参院議員は、任期6年が保障されていて(46条)、各議員が「腰を据えて」政治を担う「熟議の府」であることが期待されている。

 もちろん、衆院選や知事選に立候補するために本人の意思で参院議員を辞職する自由はあり、それは参政権の正当な行使である。

 しかし、今回のれいわの「6年の任期を6人で輪番(ローテーション)にする」という提案は、参院制度にこめられた前述の本来の期待に反する奇想天外な提案であるために、驚きをもって迎えられた。

<picture>小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ</picture>

  小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ

 もともと、議員の地位は「属人的」なもので、だから、比例選で当選した者が離党しても簡単にその地位を奪えないようになっている(55条)。

 しかし、憲法上、選挙制度は国会自身が決める専権事項(47条)で、その結果、「政党名投票による比例選挙」が採用された時から、その議席だけは「属党的」なものに変質したために、今回のような党の決定による輪番制の可能性が生まれてしまった。

 この輪番制の長所と短所についてはさまざまに指摘されているが、いずれも決定的なものではない。例えば、「議席を素人の練習に使うな」と言われても、「議会とは、本来、民衆の縮図であるべきで、だから、始めは皆、素人でいいし、また、今回のれいわの6人には経験者も2人いるし、しかも、その他もただの素人ではない」。

 とはいえ、今回のれいわの輪番制は選挙後半年も経ってから思いついたもので、有権者に事前告知がなく、失礼ではある。

 従って、重要な点は、今回の輪番制の「実験」によって、れいわが主権者国民の目に見える形で良い実績を残すことである。それができなければ、れいわは単に「変な人々」として主権者国民から飽きられてしまうであろう。しかし、小政党の1議席の6年任期を6人で分担して何ができるのか? が私には何も思いつかない。そこが問題である。



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『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

小林節
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 ■小林節 慶応大名誉教授

 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2023年01月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ここがおかしい 小林節が斬る!】:立憲民主の候補者が自民に鞍替えした勘違い 利権政治に参加したいだけではないか

2023-02-17 06:30:00 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【ここがおかしい 小林節が斬る!】:立憲民主の候補者が自民に鞍替えした勘違い 利権政治に参加したいだけではないか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ここがおかしい 小林節が斬る!】:立憲民主の候補者が自民に鞍替えした勘違い 利権政治に参加したいだけではないか

 立憲民主党の候補者として、一昨年10月の総選挙で惜敗して、次の衆院選の準備をしていたはずの若者が、突然、今年4月の県議選に同じ選挙区内で自民党系無所属として立候補すると表明した。

 ご本人いわく、「自民系の議員として地域密着で活動することで、いち早く子育て支援や地域活性化に関する予算・政策を実現させたいと思うようになった」。

 これを聞いて、違和感を禁じ得ない。

 国政における今の立憲民主党の役割は、まず、長年日本を統治してきた自民党政治の限界を突破して政策を転換するために、政権交代を実現することである。その上で、今の権力の私物化と利権構造を否定して、真の規制改革で経済を活性化して、地方再生と多様な生き方が保障される社会を実現することにあるはずである。

<picture>小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ</picture>

  小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ

 その立憲民主党の最年少候補、しかも女性として、「多様性が保障された社会」の実現を目指していたはずの若者が、「自民党の方が早く子育て支援や地域活性化に関する予算・政策を実現」できると考えたそうである。しかし、それは単なる学力と倫理性の不足としか評しようがない。

 「子育て支援」と言うが、これまで長年にわたり掛け声だけで一向に成果を出せず、ついに、「子育て支援のための増税」と言い出した自民党に今さら何が期待できるのか? 「地域活性化」と言うが、全国の駅前シャッター街をつくってしまったのは自民党の失政の結果ではないか。この地方再生についても長年、掛け声だけは聞こえていた。

 つまり、既存の利権構造を墨守して、自民党が自分と仲間だけを栄えさせて、国家と民衆を貧困に陥れたことはもはや明白である。

 この国家と国民を悲惨な現状から救済するために、自公政権に対する対案を磨きながら、今は野党だから結果的に予算には介入できないが、それに耐えて世論を良導する戦いが今の立憲民主党の本務である。

 それを理解していたはずの候補者が、構造的な欠陥のある自民党の政策と予算に関与したいとは、呆れた話である。ただの利権政治に参加したいという政治屋候補ではないか。



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 ■小林節 慶応大名誉教授

 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2023年01月17日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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