路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【統一地方選挙】:「大阪トリプル選」消える…永藤英機・堺市長が再選出馬へ

2023-02-16 11:54:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【統一地方選挙】:「大阪トリプル選」消える…永藤英機・堺市長が再選出馬へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【統一地方選挙】:「大阪トリプル選」消える…永藤英機・堺市長が再選出馬へ 

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            堺市役所(読売新聞)

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・春の統一地方選挙・4月9日投開票の府知事・大阪市長と堺市長の「トリプル選」】  2023年02月16日  11:54:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:鈴木英敬政務官の支部が国工事受注会社から1000万円寄付受領「確認不足で深く反省」

2023-02-16 10:45:30 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【自民党】:鈴木英敬政務官の支部が国工事受注会社から1000万円寄付受領「確認不足で深く反省」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:鈴木英敬政務官の支部が国工事受注会社から1000万円寄付受領「確認不足で深く反省」

 自民党の鈴木英敬内閣府政務官が代表を務める党三重県第4選挙区支部が、2021年の衆院選期間中、国の公共工事を受注していた地元の13の建設会社から計1060万円の寄付を受けていたことが分かった。

<picture>鈴木英敬内閣府政務官(C)日刊ゲンダイ</picture>

    鈴木英敬内閣府政務官(C)日刊ゲンダイ

 鈴木氏の事務所が15日、一部報道を受けて事実関係を認めた。公職選挙法は国と契約を結ぶ企業などが選挙に関して寄付することを禁じている。

 三重4区支部は15日、「(13社が)公共事業を受注していたことは全く知らなかった。確認不足で深く反省しており、法に触れないものと認識しているが、道義的な観点から全額返金する予定だ」とのコメントを出した。政治資金収支報告書も訂正するという。

 鈴木氏は11年から三重県知事を3期務め、21年衆院選で初当選した。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政治とカネ問題】  2023年02月16日  10:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日本維新の会】:喧伝する「大阪は高等教育無償化」の大嘘! 実態はドケチ、人口減少続く違和感

2023-02-16 06:30:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【日本維新の会】:喧伝する「大阪は高等教育無償化」の大嘘! 実態はドケチ、人口減少続く違和

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本維新の会】:喧伝する「大阪は高等教育無償化」の大嘘! 実態はドケチ、人口減少続く違和

  日本維新の会のウソが止まらない。

 今週始まった衆院予算委員会で維新の会の岩谷良平氏は、教育の無償化について「大阪では不完全ながらも、0歳から大学院まで無償で教育が受けられる道が開かれようとしている。これぐらいやって初めて異次元の少子化対策だ。国でも取り入れて国全体で一緒にやろうという考えはないか」と発言。看板政策「異次元の少子化対策」をめぐり、右往左往している岸田首相を攻め立てた。

<picture>授業料のみ、成績上位2分の1、補助を受けている学生は3割もいない(岸田首相に質問する「日本維新の会」の岩谷良平衆院議員=中央)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 授業料のみ、成績上位2分の1、補助を受けている学生は3割もいない(岸田首相に質問する「日本維新の会」の岩谷良平衆院議員=中央)/(C)日刊ゲンダイ

 もっとヒドイのが藤田文武幹事長。与野党幹部が顔をそろえた先日のNHK「日曜討論」で、「児童手当に限らず給付における所得制限はなくすべきだと一貫して言ってきた。大阪では行財政改革を徹底的にやって高等教育までの無償化が実現しており、全国でやりたい。出生数の減少に歯止めをかけるために大きな手を打つべきだ」と言ってのけた。

 ■だったら何で人口増えへんねん

 維新は何かと「大阪では高等教育まで無償化」と主張し、タダで学校に通えるかのように主張するが、真っ赤なウソだ。

 大阪で無償なのは授業料のみで、入学金などは必要だ。所得制限があるため、授業料が無償なのは府在住の約半数にすぎない。大阪公立大の授業料補助制度も所得制限がある。学生と保護者ともに府内に3年以上住んでいなければならず、成績が上位2分の1以上でないと打ち切り。補助を受けているのは全学生の3割もおらず、授業料全額無償の学生はひと握りだ。

 子育て家庭に優しい行政を展開していれば、府内の住民はグングン増えそうなものだが、実際はこの10年あまり人口は減少傾向。育児支援を充実させたお隣の兵庫県明石市には子育て世帯がどんどん転入し、10年連続人口増となっているのとは対照的だ。

 大阪維新の会のHPではパンチパーマをかけたおばちゃんのイラストに「松井さん、私立高校授業料無償化のおかげで、うちの息子を私立の○○高校に入れることが出来ました。本当にありがとうございます!」と言わせているが「いい加減にせいや!」ちゅう話。

 新型コロナウイルス対策の一環で、大阪市は2020年度から22年度まで小中学校給食費を無償にしたが、23年度以降は未定だ。

 実態はむしろドケチなのだ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政局・日本維新の会】  2023年02月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.08.18】:日本維新の会と反社勢力

2023-02-16 06:30:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER2022.08.18】:日本維新の会と反社勢力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.08.18】:日本維新の会と反社勢力 

 松井一郎代表が辞任を表明した日本維新の会が8月14日に代表選挙を告示し、足立康史国会議員団政調会長、馬場伸幸共同代表、梅村みずほ参議院議員が立候補した。一時、立候補表明した東徹参議院議員と吉田豊史衆議院議員は出馬をとりやめ、3人の争いとなった。懸念されるのは、同党と反社勢力との関係だ。

 ■後継指名は院政への布石?

 だが「後継指名はしない」としていた松井氏が突然、記者会見で「党での功績、裏方の仕事、これまで支える側の仕事をずっとやったのが馬場議員。党をまとめていく力は、十分だ」と実質上の“後継指名”。維新の代表選には、国会議員、地方議員、首長を含む全国600人ほどの「特別党員」30人の推薦が必要だが、大半が馬場氏「推し」に回ったため、足立氏と梅村氏には国会議員の推薦人は付いていない。

 「なんのための代表選なのでしょうか。松井氏は維新の創立者で、そのひと言ですべてが決まるほどの影響力がある。後継指名しないといっていたのにね……。もう馬場氏が圧勝することはわかりきっている。維新らしく、ガチンコでやってほしかった」とある維新の国会議員は愚痴るも、お手上げという表情だ。

 昨年11月にも松井氏は代表辞任の意向を示したが、この時は代表選をしないことを国会議員の投票で決めていた。その際、共同代表に就任した馬場氏と記者会見に臨んだ松井氏が、「おい馬場」「馬場はどう」と親分のように馬場氏を何度も呼び捨てにしたシーンがあった。「馬場氏が代表になっても、しばらくは松井氏の院政が続くのでは」(維新関係者)という声が上がるのは当然だろう。

 ■確認されている反社との関係

 次期代表が確定的な馬場氏。しかし本サイトでも既報(*「旧統一教会とのつながり次々発覚|日本維新の会代表選候補たちの危ない過去 )のとおり、馬場氏は旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)と親密な関係を有する人物だ。堺市の池田かつし市議が馬場氏と旧統一教会の関係をSNSで書いているが、継続的に選挙支援を受けていたのではないかとの疑惑も浮上している。

 馬場氏と、旧統一教会のような「反社会的勢力」との関係はこれだけにとどまらない。馬場氏がまだ自民党で堺市議会議員だった2007年と2008年に、自民党府堺市第12支部に大阪市の「三友セキュリティサービス」という会社から合計で24万円の政治資金を提供されていたことがわかっている。

 三友セキュリティサービスは、代表者が山口組系列の組長が主催したゴルフコンペに参加するなど暴力団を親密な関係にあった警備会社。大阪府警が暴力団等排除措置要綱に基づき大阪府などに通報したことで、入札から排除されていた。馬場氏は、事案が明らかになって24万円を返金したとされる。

 代表制出馬を取り止めた東参院議員も、大阪府議会議員だった2003年と2004年に、大阪府警が暴力団等排除措置要綱に基づき通報した堺市の「阪本工営」という企業から合計24万円の献金を受け、その後返金していた。問題が発覚のきっかけとなったのは、2008年に阪工営の経営者が指定暴力団山口組傘下の組員らと共謀し、堺市の解体業者に下請け参入を強要し逮捕された事件だ。

 「阪本工営が特定の会社を警備に使えなどと強要していたことがわかり調べたところ、同社の暴力団との関係が明らかになった。三友セキュリティサービスをはじめ3社の暴力団との交友がわかり、大阪府などに通報した」(捜査関係者)

 逮捕された阪本工営の経営者は裁判の中で、五代目山口組のナンバー2だった宅見勝若頭(当時)の親族と「親しい関係にある」とまで証言していた。

 旧統一教会だけではなく、指定暴力団とも親密な関係にあったとみられる馬場氏。代表選出馬をとりやめた東氏にも、感心できない「過去」があった。

 日本維新の会を巡っては、遠藤敬国会対策委員長が山口組の直参組長と写真に納まっていたことが、週刊誌報道で発覚。奈良県香芝市では、山口組の元組員を市議会議員候補として公認していた。7月の参議院選挙で維新の全国比例候補となり、当選した歌手の中条きよし氏も、過去の暴力団との関係を報じられている。

 維新は、15人の国会議員が旧統一教会と関係があったことを認めている。その中には当然馬場氏の名前もある。党のトップとなる可能性が濃厚な馬場氏に囁かれる暴力団や旧統一教会との関係――。この党は、代表すらも「粗製乱造」なのかもしれない。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・政局・日本維新の会】  2022年08月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察・ロシア】:「彼(プーチン)を聖人と呼ぶなんてバカ」司祭がみせたロシア正教との距離

2023-02-16 06:25:30 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【考察・ロシア】:「彼(プーチン)を聖人と呼ぶなんてバカ」司祭がみせたロシア正教との距離

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察・ロシア】:「彼(プーチン)を聖人と呼ぶなんてバカ」司祭がみせたロシア正教との距離

 ◆無法な侵略から1年 プーチンを突き動かす異様な死生観(下)

 もはや遠い過去となった2010年1月。ロシアのプーチン大統領と親交のあるロシア正教会のカリーニン司祭にわたしはこう尋ねた。

 「プーチン氏を聖人と崇める雰囲気が、国内に漂ってきています」

 司祭は教会内の静まり返った夜の事務室で、低音を響かせた。

 「バカな話だよ。彼を聖人と呼ぶなんて」

 目を光らせる司祭に、わたしは圧倒された。すると司祭は、プーチン氏と並んで歩く写真を見せてくれた。黒い法衣の胸に金色に輝く十字架を司祭は手のひらで握りしめている。十字架を、プーチン氏の穢れから守っているかのようだ。

<picture>侵攻後も露骨に権威を利用(ロシアのプーチン大統領とロシア正教会のイラリオン府主教=右)/(C)タス=共同</picture>

 侵攻後も露骨に権威を利用(ロシアのプーチン大統領とロシア正教会のイラリオン府主教=右)/(C)タス=共同

 ロシア正教会はキリスト教の分派で、ビザンチン帝国を経由して11世紀ごろにロシアに流入した。ただ両者には、死後の解釈に隔たりがある。カトリックでは死者の霊魂は天国、または地獄に行くことになるが、両者の間に「煉獄」が存在する。生前の罪の「償い」が不十分だった人たちの霊魂が、煉獄の苦しみという「罰」に清められると、天国に迎えられる。

 カトリックと違って煉獄の場が教義に明示されていないのが、ロシア正教会だ。人間は生きている間に悔い改めないかぎり、天国へは行けないと解されているようだ。死後にどんなに贖罪を求めても、地獄から脱して天国に渡る橋はかかっていない。だから、生前に罪にしっかり向き合うことが大切だと考えられている。

 プーチン氏は今年71歳になる。ロシア男性の平均寿命は68歳。だから、いや応なしに「死」の予兆を感じとっており、過去を振り返り、そして現実を見つめると、もはや地獄に行く運命にあると覚悟を決めたのだろうか。

 これまでの多数の蛮行の罪を現世で洗い流すのは無理だと、身近な司祭のだれかがプーチン氏の耳元で囁いたのか、それとも夢のなかで宣告されたのかもしれない。プーチン氏は自分を裏切ったウクライナ人を巻き込んで地獄に突き進んでいるように思える。

 先月末のことだ。ロシアの女性パンクロック集団「プッシー・ライオット」が「プーチンの遺灰」という曲をリリースした。プーチン氏の「悪を許さない。遺灰は暗闇でくすぶり続ける。地獄に落としてやる」と鋭いナイフを振りかざしながら不気味に歌う。

 プーチン氏が恐れる「地獄」という歌詞を連発するが、モスクワに住む友人からこんなヒソヒソ話が届いた。

 「地獄の入り口でプーチン氏と出会った悪魔が、ここにはおまえの居場所はない。出て行けとすごむ」

 罪深き魂は地獄にも迎えられず、どこに行くのだろうか……。 (おわり)

中村逸郎
著者のコラム一覧
 ■中村逸郎 筑波大名誉教授

 ロシア現代政治専攻。学習院大法学部卒、同大大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2023年02月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察・ロシア】:今回の戦争はプーチン大統領の「死」への恐怖が引き起こしたのでは

2023-02-16 06:25:20 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【考察・ロシア】:今回の戦争はプーチン大統領の「死」への恐怖が引き起こしたのでは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察・ロシア】:今回の戦争はプーチン大統領の「死」への恐怖が引き起こしたのでは

 ◆無法な侵略から1年 プーチンを突き動かす異様な死生観(中)

 ロシアのプーチン大統領の正気を失ったかのような発言に、わたしは驚愕した。昨年11月25日、ウクライナへの軍事侵攻で戦死した兵士の母親たち20人ほどとテーブルを囲んで、プーチン氏はこう切り出した。

<picture>一気に老け込んだ(ロシアのプーチン大統領) (C)ロイター/Sputnik</picture>

 一気に老け込んだ(ロシアのプーチン大統領) (C)ロイター/Sputnik

 「人間は、死ぬものなんです。ウオッカの飲み過ぎ、不慮の交通事故など。皆さんの子どもたちの死は、価値のあるものだったのです」

 母親へのなんの慰めにもなっていない、とわたしは思う。参加者といっても、与党の女性議員や支援団体から動員された人たちが占めていた。でも、画面からは重苦しい雰囲気が伝わってくる。

 わたしはこの席で、プーチン氏が「死」という言葉を連発したことに驚いた。硬い表情からも、「死」への不可解なこだわりが感じとれるのだ。政治家は国民の命と財産を守ることが責務なのに、プーチン氏は「人間の死は避けられない」と言明し、「息子たちの戦死をあきらめなさい」と言わんばかり。わたしは率直に言って、今回の戦争はプーチン氏の死への恐怖心が引き起こしたのではないかと疑っている。

 昨年だけでも、プーチン氏の健康状態についてさまざまなニュースが飛び交った。精神不安定説や甲状腺がん説、パーキンソン病の悪化説、そして血液のがん説など……。

 ■高まる苛立ち

 今年1月11日に開催された閣僚会議でのプーチン氏の苛立ちは異常だった。忍び寄る死に怯えているのだろうか。恐怖心のはけ口が、戦地に兵器や物資を供給する責任者マントゥロフ副首相に向けられた。

 「戦地に必要物資が届いていない。おまえはバカだ」

 マントゥロフ氏は「財務省と協議して3カ月以内に実行できるように可能な限り努力します」と返答。するとプーチン氏は「努力なんて不要だ。1カ月以内にやれ。ふざけるな」。プーチン氏の形相は、国営放送で流された。

 ペスコフ大統領報道官のコメントはこうだ。

 「マントゥロフ氏が解任されるというわけではありません。あのような激しいやりとりは、いつものことです」

 なんという「恐ロシア」。 (つづく) 

中村逸郎
著者のコラム一覧
 ■中村逸郎 筑波大名誉教授

 ロシア現代政治専攻。学習院大法学部卒、同大大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。

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【考察・ロシア】:政治利用してきたロシア正教会の「神現祭」に姿見せず2年…今年は動画配信もなし

2023-02-16 06:25:10 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【考察・ロシア】:政治利用してきたロシア正教会の「神現祭」に姿見せず2年…今年は動画配信もなし

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察・ロシア】:政治利用してきたロシア正教会の「神現祭」に姿見せず2年…今年は動画配信もなし

 ◆無法な侵略から1年 プーチンを突き動かす異様な死生観(上)

 「うえーん、うえーん」

 ウクライナの寒空に響き渡る5歳の男の子の泣き声。両親を失い、キーウ市郊外からポーランド国境まで約500キロを1人で歩いている。彼の痛ましい姿を昨年末、CNNがとらえた。

 子どもを不幸のどん底に追いやるロシアのプーチン大統領。ウクライナ東部4州の併合を発表したものの、ウクライナ全土のインフラ設備や病院、学校を標的とする非人道的な攻撃が激しさを増している。プーチン氏の精神状態を不安視する声が、欧米諸国で広まっている。

<picture>マッチョな2018年(ロシア正教の神現祭で沐浴をするプーチン大統領)/(C)タス=共同</picture>

 マッチョな2018年(ロシア正教の神現祭で沐浴をするプーチン大統領)/(C)タス=共同

 その一方でロシア国内では昨年来やたらと富豪やジャーナリストの不審死が相次いでおり、プーチン政権絡みの事件ではないかとみられている。

 プーチン氏といえば、ローマ・カトリックをルーツとするロシア正教会の敬虔な信者として知られている。毎年1月中旬の宗教儀式「神現祭(洗礼祭)」に参加してきた。教会周辺の氷結した池を割って、司祭が十字架を浸して十字を描き、水の成聖を行う。他の信者と同様にプーチン氏も裸になって十字を切りながら、頭から3回冷水に身を沈める。穢れた魂を清めるためらしい。

 ■かつては青パンツで参加

 2021年の神現祭では、プーチン氏が例年の黒色ではなく派手な青色の海水パンツで登場。前年8月にプーチン政権の汚職を告発するナワリヌイ氏が体調不良を訴えて昏睡状態に陥った。青色のパンツに毒物が盛られた疑いが報じられた。

 青パンツで現れたプーチン氏の真意は不明だが、罪に向き合う姿を国民にアピールするためだったのか。心のどこかに少しでも罪悪感を抱いていたとすれば、まだ救いがある。でも、今のプーチン氏は欧米路線に舵を切ったウクライナにやぶれかぶれの復讐をしているとしか思えない。

 ウクライナへの軍事侵攻直前の昨年は神現祭に参加しなかった。今年は、どうだったのか。ペスコフ大統領報道官の発表はこうだ。

 「大統領は、モスクワ郊外で聖水を浴びました。でも、動画を配信することはありません」

 では例年、プーチン氏の映像を配信してきたのはなぜか。思わずツッコミを入れたくなる。ウクライナへの軍事侵攻を欧米諸国から非難されても、皮肉たっぷりに言い返すペスコフ氏。今回は歯切れの悪い、あやふやな説明に終始した。

 ところでペスコフ氏は神現祭に参加したのだろうか。 (つづく)

中村逸郎
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 ■中村逸郎 筑波大名誉教授

 ロシア現代政治専攻。学習院大法学部卒、同大大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2023年02月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【疑惑】:三浦瑠麗氏がタイでの起業家フォーラム出席で飛び火 なぜか批判を受ける経産省との深い仲

2023-02-16 06:23:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【疑惑】:三浦瑠麗氏がタイでの起業家フォーラム出席で飛び火 なぜか批判を受ける経産省との深い仲

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【疑惑】:三浦瑠麗氏がタイでの起業家フォーラム出席で飛び火 なぜか批判を受ける経産省との深い仲

 国際政治学者の三浦瑠麗氏(42)が15日、自身のツイッターを更新。世界中から日本の起業家を集めたフォーラムに出席したことを明かした。

<picture>三浦瑠麗氏(C)共同通信社</picture>

        三浦瑠麗氏(C)共同通信社

「バンコクでWAOJE GLOBAL VENTURE FORUM 2023に登壇し、日本のソフトパワーとこれからの改革についてお話ししました。日本の起業家の方々が多数集まる大変エキサイティングな会でした」

 瑠麗氏はこのツイートとともに、登壇の様子や名刺交換の場面写真を掲載した。

 これにはSNSで《ちょっと発信を休んだ方が……》、《起業家の方々に太陽光発電のプレゼンしましたか?》などとツッコミが入ったが、瑠麗氏といえば夫が代表を務める会社が太陽光発電の投資トラブルで東京地検特捜部の家宅捜索を受けたことから、国民の怒りの矛先は経産省にも向いている。同省が今回のタイでのフォーラムの後援に入っているためだ。

 瑠麗氏は、家宅捜索の件について「夫の会社の経営には一切関与していない」としているが、世間からの批判の声は大きく、情報番組『めざまし8』(フジテレビ系)の出演は見合わせている。

 その瑠麗氏を太陽光発電といった再生可能エネルギー事業を管轄している経産省が後援するイベントに参加させたことに、怒りの声が相次いだのだ。

 《講師の三浦瑠麗氏と本田圭佑氏の略歴と後援の在タイ日本大使館、経済産業省など政府機関が名前を連ねる。業務上横領の疑いで取り調べを受けている六本木の超高級マンションに住む人を海外のイベントに税金で招聘?》

 《三浦瑠麗を予定通りゲストスピーカーとして招いたWAOJEの危機管理能力と常識の無さ。…中略…経済産業省やJETROなどが後援して、梨田大使やタイ国日本人会島田会長まで出席したのはまずいのでは》

 さらに、ネット上では、2017年から20年まで首相補佐官を務めた経産官僚の佐伯耕三氏と瑠麗氏氏のツーショット写真や、瑠麗氏がメンバーに抜擢された20年に菅内閣が新設した「成長戦略会議」で、副議長を経産大臣だった梶山弘志氏が務めていたことなどが掘り起こされている。

 ちなみに梶山氏は20年10月14日付の日本経済新聞で、『太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「他の電源に比べ上位の主力電源にしていく」と表明した』と取り上げられている。過去に瑠麗氏がSNSなどで太陽光発電を猛プッシュする発言をしていたことから、経産省との関係に注目が集まっている。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 芸能 【芸能ニュース・国際政治学者の三浦瑠麗氏(42)・瑠麗氏といえば夫が代表を務める会社が太陽光発電の投資トラブルで東京地検特捜部の家宅捜索を受けた・国民の怒りの矛先は経産省にも向いている。同省が今回のタイでのフォーラムの後援に入っているためだ】  2023年02月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【臨時特別号】:安倍晋三と安倍政権の功罪をまとめた「検証・安倍晋三 安倍政権の8年8カ月」発売中

2023-02-16 00:15:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【臨時特別号】:安倍晋三と安倍政権の功罪をまとめた「検証・安倍晋三 安倍政権の8年8カ月」発売中

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【臨時特別号】:安倍晋三と安倍政権の功罪をまとめた「検証・安倍晋三 安倍政権の8年8カ月」発売中

  日刊ゲンダイは臨時特別号「検証・安倍晋三と安倍政権の8年8カ月」を9月15日(木)に発売しました。

<picture>臨時特別版「検証・安倍晋三と安倍政権の8年8カ月」</picture>

 臨時特別版「検証・安倍晋三と安倍政権の8年8カ月」

 ●巻頭寄稿「安倍時代を総括する」
  ノンフィクション作家・保阪正康、思想家・内田樹、作家・中村文則

 ●政治家インタビュー「安倍氏の素顔、秘話、安倍政治の功罪」
  塩崎恭久・太田昭宏・亀井静香・小沢一郎

 ●全7ページ大型企画「安倍家・岸家 DNA研究」(政治評論家・野上忠興)
 ●安倍氏の節目になった4つの年「1993年、2006年、2012年、2022年」(政治ジャーナリスト・泉宏)
 ●寄稿「安倍三代から読み解く世襲政治家の運命」ジャーナリスト・青木理
 ●特別寄稿「安倍政権下で変節したメディア」時事芸人・プチ鹿島
 ●特別寄稿「SNS抜きで語れないアベ政治」近現代史研究家・辻田真佐憲
 ●「人生を狂わされた人たち」
 ●「統一教会と歩んだ政治家人生」
 ●安倍政権の重要テーマを「日刊ゲンダイはこう伝えた」
 ●森友問題 赤木雅子さん激白

 どのテーマも読みごたえ充分の永久保存版です。

 オールカラー28ページ、1部400円(税込み)。

 駅売店、コンビニエンスストアでお求めください(一部エリアを除く)。

 臨時特別号「検証・安倍晋三と安倍政権の8年8カ月」Amazonでも発売中です。

 ■意見広告企画に協賛いただいた団体一覧

 ▶ 社会民主党全国連合http://www5.sdp.or.jp

 ▶ 戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター(憲法共同センター)http://www.kyodo-center.jp/

 ▶ 自由法曹団http://www.jlaf.jp/

 ■国葬反対の署名はコチラ↓
https://www.change.org/p/安倍元首相の国葬に反対し計画の撤回を求めます?utm_source=share_petition&utm_medium=custom_url&recruited_by_id=5b205bc0-0f24-11ed-ae76-a911a9a33173

 ▶ 愛知県保険医協会https://aichi-hkn.jp

 ▶ ふじさわ・九条の会http://fujisawa9jo.org

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 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース・「検証・安倍晋三 安倍政権の8年8カ月」】  2022年09月15日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【酷評】:安倍晋三は政治家一家に生まれた平凡な人 ■空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれた

2023-02-16 00:15:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【酷評】:安倍晋三は政治家一家に生まれた平凡な人 ■空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【酷評】:安倍晋三は政治家一家に生まれた平凡な人 ■空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれた

 第2次安倍政権の発足後、ある編集者から「安倍晋三の評伝を書かないか」と提案を受けた。だが、私は断った。面白い評伝になるとは到底思えなかったからである。

 今も昔も人物評伝はノンフィクションの華だが、それが成立するには不可欠の条件がある。対象が善人だろうと悪人だろうと、政治家だろうと犯罪者だろうと、その人物が頭抜けた磁力を発し、そうした人格を形作った逸話や物語に彩られていること。それがなければ、いくら取材を尽くしても面白い評伝など書けはしない。そして安倍晋三という人物に、それほど魅力的な逸話や物語があるようには微塵も思えなかった。

 だが、しばらくして別の編集者から少し異なる提案があった。「安倍晋三のような政治家がなぜ生まれたのか、ルーツにまで遡った評伝なら食指が動かないか」と。

<picture>2017年に上梓した「安倍三代」は19年に文庫に.</picture>

 2017年に上梓した「安倍三代」は19年に文庫に.

 なるほど、と思った。いまさら記すまでもなく、晋三の父は安倍晋太郎、母方の祖父は岸信介。父方の祖父・安倍寛もまた戦中に衆院議員を務め、眩いほどきらびやかな政治一家だが、そうした家に生まれていなければ、晋三が政治家になることはなかった。現代日本に蔓延する政治世襲への問題意識も抱いていた私は、それならば取材執筆の価値は十分あると考えて提案を受けた。

 つまり、政治一家としての地平を切り開きながら実像があまり知られていない安倍寛を起点とし、晋太郎、晋三へと連なる安倍家3代の系譜を追えば、現代日本政治を俯瞰しつつ問題点も照射できるのではないか--そう考えて完成させたのが「安倍三代」(朝日文庫)である。

 成果は拙著をお読みいただきたいが、軍部ファッショの嵐が荒れ狂った先の大戦中、軍部の圧力を受けながら翼賛選挙を非推薦で勝ち抜いた寛は、強烈な魅力を発する反骨の政治家だった。息子の晋太郎は所詮2世の“プリンス”ではあったが、山口の寒村で父の支持者に囲まれて育ち、大戦末期には志願した特攻を辛うじて生きのび、存外に魅力的逸話の多い政治家ではあった。

 ◆政治姿勢につながるエピソード、逸話が出てこない

 だが、やはり晋三は違った。東京で生まれ育ち、小学校から大学までを成蹊学園で過ごし、いくら取材しても語るに値する逸話がない。同級生や恩師、あるいは大学卒業後にコネ入社した神戸製鋼所の上司や同僚など、何十人もの関係者に話を聞いたが、のちの政治姿勢につながるエピソードさえ出てこない。

<picture>悲運のプリンス」と呼ばれた晋太郎(C)共同通信社</picture>

<picture>  「</picture>悲運のプリンス」と呼ばれた晋太郎(C)共同通信社

 それどころか、晋三の口から政治的な発言を聞いたことのある者すら皆無--決して大袈裟ではなく、1人たりともいなかった。晋三は大学時代、地方自治を専門とする碩学のゼミに所属したが、当時を知る教員は「彼が卒論で何を書いたかも覚えてないし、ゼミで何かを積極的に発言した記憶もない」と振り返るのだった。

 かといってワルでもなく、成績はごく平凡。あえて等身大に評すれば、名門政治一家に生まれはしたものの、可もなく不可もないボンボンのおぼっちゃま。そんな晋三がなぜゴリゴリの右派に変貌したのか。神戸製鋼所時代の上司は当時の晋三を「要領がよくて、みんなに好かれていましたよ。たとえて言えば、まるで子犬」と評し、のちの政治姿勢についてはこう指摘している。

 「周りに感化されたんでしょう。子犬が狼の子と遊んでいるうち、あんなふうになってしまった。僕はそう思っています」

 おそらくはその通りだったのだろう。戦後日本政治における右派の巨頭・岸の孫として生まれた晋三を、永田町内外の右派勢力はサラブレッドとして育てた。晋三にも、それが時代の潮流だと読む計算程度はあったのか、少なくとも自らを溺愛した祖父・岸への憧憬を抱いていた。そうして空虚な入れ物に、ジャンクな右派思想ばかりが注ぎ込まれた。

 ◆「無知」と「無恥」は安倍政権の顕著な特質

 一方で皮肉をこめて記せば、晋三には政治家としての「強み」があった。まずは強運。戦後生まれ初の宰相となった第1次政権は短期で投げ出したが、民主党政権の瓦解を経て政権に復帰すると、今度は7年8カ月もの「一強」を維持した。第1次政権の蹉跌に学んだところもあったにせよ、しかしそれは真に「一強」だったか。

<picture>貴公子然とした若手時代(C)共同通信社</picture>

     貴公子然とした若手時代(C)共同通信社

 各種世論調査では常にそこそこの内閣支持率を維持し、選挙も連勝したが、支持理由の最多は終始一貫「ほかに適当な人がいない」。政権が高く屹立したのではなく、政権交代の失敗に人々が失望し、しかも野党が四分五裂し、周囲が総陥没した結果としての「一強」。国にとっては不幸だが、政治の貧困ゆえに長期政権を担えたその強運。

 もうひとつ、最大の強みが晋三にはあった。私にそれを教えてくれたのは、晋三の母校・成蹊大の恩師でもある加藤節(成蹊大名誉教授、政治学)。「安倍三代」の取材でインタビューした際、加藤は安倍政権顕著特質を「ふたつのムチ」--すなわち「無知」と「無恥」に集約されると辛辣批判した。

 もちろん加藤は、改憲を訴えるのに憲法学の泰斗だった芦部信喜すら知らないと言い放つかつての教え子を難じる文脈でそう語ったのだが、逆にいえばこれは強烈な「強み」でもあると私は感じた。

 「無知」で「無恥」な人間は、ある意味で最強である。先人が積み重ねてきた知に疎いのに--いや、疎いからこそ、ルール違反の横紙破りも平然としでかし、しかも「無恥」ならば批判や諫言も暖簾に腕押し、糠に釘、批判が刺さらず、何の痛痒も感じない。

 ◆世襲の運命にのみ込まれた最期

 だからこそ、いち内閣の閣議決定で憲法解釈を覆し、そのために内閣法制局長官をすげ替え、日銀総裁やNHK会長にお友達を送り込む掟破りもいとわない。支持者や提灯持ちには利益誘導を繰り返し、その一端が「モリカケ桜」問題として噴出しても嘘、詭弁を連ねて知らぬ顔。「桜」問題だけで118回も国会で嘘を吐き、「森友」では自らの開き直りで公文書が改ざんされ、真摯な公務員の命が絶たれ、多少たりとも廉恥の情があれば耐えられない状況でも平気の平左、「日教組、日教組!」と口をとがらせて野党に野次を飛ばす。

 これも首相が行政府の長であるという知に立脚すれば、国権の最高機関で野次を飛ばすのは禁忌だが、すべては「無知」と「無恥」の成せる術。「安倍三代」には記さなかったが、毎日新聞で晋太郎の番記者だった故・岸井成格が生前教えてくれた逸話も思い出す。晋太郎は晋三を岸井に紹介した際、苦笑しつつこう漏らしたのだという。「こいつはね、出来は悪いが、言い訳をさせたら天才的だ」と。そうやって「無知」と「無恥」、そして「言い訳の天才」という“才”を武器に「憲政史上最長」政権を成し遂げたボンボンが、病でも政治テロでもなく、カルト宗教に人生を破壊された男に手製銃で撃ち抜かれてしまったのは、最後の最後に世襲政治家としての運命にのみ込まれてしまったようにも思える。 

 繰り返しになるが、世襲政治一家に生まれなければ晋三が政治家になることはなく、その空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれることもなかった。だが、いまさら記すまでもなく旧統一教会が日本で勢力を伸ばす端緒を開いたのは祖父の岸。以後3代続いた教団との蜜月が汚れた澱を深く重く沈殿させ、ついにはそれが強烈な遺恨となって3代目の胸を貫いてしまったのである。

 「安倍三代」の系譜を取材した者として唯一心残りなのは、晋三が岸ではなく、寛に共感を寄せていれば、その政治姿勢も随分異なったものになったろうし、このような最期を迎えることはなかったのでは、という点だが、空虚な体にジャンクな右派思想を満たしてしまった3代目にそのようなことを言っても、もはや詮ない。なにより当の3代目がもうこの世にいないのだから。

<picture>青木理氏(C)日刊ゲンダイ</picture>

       青木理氏(C)日刊ゲンダイ

 ▽青木理(あおき・おさむ)

 1966年、長野県生まれ。慶大文学部卒業後、共同通信社入社。社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、2006年からフリー。「日本の公安警察」「日本会議の正体」「情報隠蔽国家」「破壊者たちへ」など著書多数。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・検証・安倍政権の総括】  2022年09月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証】:政治家・安倍晋三の30年とは…「節目になった4つの年」を検証する

2023-02-16 00:15:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【検証】:政治家・安倍晋三の30年とは…「節目になった4つの年」を検証する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証】:政治家・安倍晋三の30年とは…「節目になった4つの年」を検証する

 ◆1993年 スタートは野党議員

 ドン底から這い上がり、絶頂を極めたあと、銃弾に倒れた安倍元首相。30年間の政治家人生は、どのようなものだったのか。節目になった年を中心に政治ジャーナリストの泉宏氏に解説してもらった。

<picture>1993年、細川連立政権樹立(C)日刊ゲンダイ</picture>

    1993年、細川連立政権樹立(C)日刊ゲンダイ

 ◇  ◇  ◇

 故安倍晋三元首相の政界デビューは1993年7月の衆院選。当時の宮沢喜一首相(故人)が、小選挙区制導入を軸とする政治改革関連法案の通常国会での成立を「宣言」したが、自民党内の反発で難航し、野党各党が提出した内閣不信任決議案が政治改革推進派の小沢一郎氏らの同調で可決、突然の衆院解散になった。

 自民党は衆院選で苦戦し、大幅な過半数割れとなり、小沢氏が8党派連立の細川政権を樹立、自民党は保守合同後、初めて野党に転落した。

 この激動の衆院選で初当選したのが安倍氏だった。政界でのスタートが野党議員だったことが、その後の安倍氏の政治行動に大きな影響を与え、政権復帰に向けた旧民主党などへの激しい敵愾心(てきがいしん)の原点となったのは間違いない。

 その一方で、衆院初当選組の多くが、その後の四半世紀を超える政争の主役や脇役となっているのも興味深い。

 同期では細川、安倍両氏に加え、野田佳彦岸田文雄の計4氏が首相となり、現在の自民党では茂木敏充野田聖子高市早苗各氏ら、野党では前原誠司(国民民主)、枝野幸男(立憲民主)、志位和夫(共産)各氏らが、第1次、第2次の安倍政権下で有力議員として活躍。さらに小池百合子東京都知事、田中真紀子氏と、一時は政局を動かした女性リーダーも同期生だ。

 初当選時から首相を目指していた安倍氏にとって、「敵も味方もほとんどが同期生」だったことが、その後の政治行動に大きな影響を及ぼしたことは否定できない。

 ◆2006年 「3A1S」が誕生

 安倍氏は2006年秋からの1年間、「栄光と挫折」を味わった。

 国民的人気を背景に長期政権を築いた小泉純一郎氏が、安倍氏を後継指名。

 多くの先輩首相候補を飛び越え、初の戦後生まれ、しかも故田中角栄首相の54歳よりさらに若い52歳での首相就任だった。祖父の故岸信介元首相の遺志を継ぐべく、憲法改正や教育改革に果敢に挑んだ。

 安倍氏が宰相の座についたのは06年9月26日。新内閣を「美しい国づくり内閣」と命名し、「戦後レジームからの脱却」を掲げて自民党内保守勢力を束ねた滑り出しは順調に見えた。

<picture>「3A1S」が第2次安倍政権の骨格となった(左から、甘利明、安倍晋三、麻生太郎、菅義偉の4氏=写真は2022年)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 「3A1S」が第2次安倍政権の骨格となった(左から、甘利明、安倍晋三、麻生太郎、菅義偉の4氏=写真は2022年)/(C)日刊ゲンダイ

 新内閣の顔ぶれをみると、外相に麻生太郎氏、経産相に甘利明氏、総務相に菅義偉氏と、第2次安倍政権での骨格となった「3A1S」がここで登場している。ただ、官房長官に塩崎恭久氏、内閣府特命相に高市早苗氏ら初入閣組の大抜擢が「お友達人事」と揶揄(やゆ)され、郵政民営化反対で自民党を除名された議員を復党させたことなどで支持率が急落。

 首相として初の国政選挙となった07年夏の参院選で記録的惨敗を喫し、内閣改造で延命を図ったものの、ストレスから持病の潰瘍性大腸炎が再発。同年9月10日召集の臨時国会冒頭の各党代表質問直前の突然の退陣表明で、失意のどん底に。

 ◆2012年 はじまった野党の弱体化

 「政治家としてのどん底を味わった」安倍氏が、不死鳥のように復活したのが2012年。

 9月26日の自民党総裁選で事前の劣勢予測を覆し、本命・対抗とされた石破茂石原伸晃両氏や、安倍氏の所属する清和会の領袖だった町村信孝氏、宏池会(当時古賀派)の林芳正参院議員を破り、総裁経験者として初の返り咲きを果たした。

 総裁選は党員も含めた第1回投票で石破氏が安倍氏を圧倒したが、議員だけの決選投票で安倍氏が大逆転するという総裁選の歴史に残る戦いだった。

 安倍氏は、政権交代から3年が経った民主党政権の打倒を目指し、11月中旬の党首討論で、野田首相の「解散発言」を引き出した。12月4日公示・同16日投開票となった衆院選では、自民・公明両党が325議席と大勝。安倍氏は同26日に第2次安倍政権を発足させた。

 自民党史上初の再登板を果たした安倍氏は、第1次政権での「反省」を踏まえ、憲法改正実現などの理想を掲げつつ、現実的な政権運営を展開。

 「安倍1強」をほしいままにし、国政選挙6連勝で史上最長政権に。

<picture>2012年の衆院選、民主党は惨敗(野田佳彦首相=当時)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 2012年の衆院選、民主党は惨敗(野田佳彦首相=当時)/(C)日刊ゲンダイ

 首相に返り咲いた安倍氏は、ことあるごとに「悪夢の民主党」と口にし、野党批判を繰り返した。野党の弱体化は、ここからはじまったと見ていいだろう。「安倍1強」と「野党弱体化」は裏表の関係だった。

 しかし、世界を襲ったコロナ禍への対応で苦闘し、持病再発を理由に20年8月に突然、退陣表明した。

 ◆2022年 銃撃が封印を解いた

 安倍氏の2度目の退陣表明を受けて後継となった菅氏が、コロナ禍への拙劣な対応で国民の不信を買い、2021年9月の自民党総裁選の出馬断念に追い込まれたことを受け、菅政権打倒の急先鋒だった岸田氏が首相の座を射止めた。

<picture>国民は、安倍元首相の「国葬」に反対論(C)日刊ゲンダイ</picture>

 国民は、安倍元首相の「国葬」に反対論(C)日刊ゲンダイ

 ただ、自らが率いる岸田派が党内第4勢力という基盤の弱さから、100人に迫る圧倒的最大派閥を引き継いで「安倍派」の領袖となった安倍氏の意向は無視できず、安倍氏との共存が政権運営の生命線となった。このため、安倍氏は事実上の自民党最高権力者として君臨、憲法改正やアベノミクスの継続などで岸田首相を振り回す豪腕ぶりを見せつけていた。

 安倍氏は、7月の参院選でも最強の応援弁士として全国を駆け巡っていたが、選挙戦最終日前日の7月8日昼前、奈良県大和西大寺駅前での街頭演説の最中に、暴漢の手製銃による銃撃で非業の死を遂げた。

 これを受け、岸田首相は7月14日に安倍氏を「国葬」儀とすることを表明した。しかし、銃撃犯が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への個人的恨みから、同教会が広告塔に利用した安倍氏を付け狙った結果であることが判明。

 しかも、同教会の関連団体による反社会的な霊感商法の実態が次々とメディアに取り上げられる一方、選挙活動などでの安倍氏と同教会の“癒着”が白日の下にさらされたため、安倍氏の「国葬」にも国民的反対論が急拡大。岸田政権を直撃している。銃撃事件によってパンドラの箱が開かれてしまった。安倍氏は死してなお政局を動かす存在となっている。

 ◇  ◇  ◇

 ▽泉宏(いずみ・ひろし) 

 早大卒。時事通信で官邸キャップ、政治部長、編集担当役員を歴任。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・検証・安倍政権の総括】  2022年09月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍時代を総括する・09.26】:第2次安倍政権以降、経済格差が広がって自己肯定感が下がり、抗議しない社会になった

2023-02-16 00:14:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍時代を総括する・09.26】:第2次安倍政権以降、経済格差が広がって自己肯定感が下がり、抗議しない社会になった

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍時代を総括する・09.26】:第2次安倍政権以降、経済格差が広がって自己肯定感が下がり、抗議しない社会になった

 ◆中村文則(作家)

 今年7月の参院選挙期間中、各候補者の演説をユーチューブで見ていた時、質疑応答で聴衆からこんな声が上がった。

 「私は将来介護を受けるつもりはない。だから介護保険料を払いたくない」

 正確な言葉ではないが、こういう意味だった。今の社会を如実に表す言葉だと感じたが、このことは後で再びふれる。

 第2次安倍政権以降、経済格差が広がってしまった。社会は共存から対立への傾向がより強くなったと感じる。格差が広がっても自分たち(政権)のせいにしようとしないため、まるで政策ではなく貧しい側が悪いという「自己責任論」を陰に陽に撒き散らすことにもなった。テレビに出る(是々非々のふりをした応援団の)論客たちもそれを後押しした。「社会ではなく私のせい」となるため国民の無意識下の自己肯定感も自然と下がっていく。社会がすさんでいくのは当然と言える(ちなみに安倍政権が失業率を改善させたとするデマがあるが、少子高齢化の影響に過ぎず、旧民主党政権時代から改善が始まっていたのはデータを見れば明らか。安倍政権以降、日本は賃金が諸外国と比べずっと低い)。自己肯定感が下がると自分を責めてしまうから、社会への抗議も減っていく。

<picture>芥川賞作家の中村文則氏(提供写真)</picture>

    芥川賞作家の中村文則氏(提供写真)

 ■自分より「下」が得するのは許せない

 格差が広がれば是正したい、弱い人たちを助けたいとなるのが通常の社会だが、そう思えない人も増えてしまった。超富裕層は自分たちを引っ張ってくれるという思考(金持ちが富めば社会に還元されるという、アベノミクスが提示した虚偽)のため、超富裕層がより富むのは別世界だし仕方ないと思ってしまう。しかしその代わり、自分たちより「下」が得をするのは許せないという心理が発達していく。

 人間の共感には「内集団バイアス」があるとされる。実験で、サッカーの同じサポーターに電流が流れると同情するが、相手チームだと快楽になる。人間の共感はこのように内集団に向けられる。 

 自己責任論が強調されると、弱い人を「頑張っていない人たち」に分類化してしまい、同情できなくなっていく。「頑張っている自分は報われないのに、なぜ弱者を救うのか」。格差が広がると人々の心の余裕もなくなり、共存から対立の流れが加速する。弱肉強食を煽る社会では人々は恐怖を内在化するため、反動で自分を強者側に置きたくなり、強い政府と精神的な一体化を試みる。自分が強いと思うには、自信がなければ「下」が必要となる。富裕層や与党からすれば、経済的な中間層と下層が支え合わず対立し、批判が自分たちではなく下層に向くので安泰で笑いが止まらない。

 不祥事の連発でも安倍政権は強硬に居座り続けたので、勧善懲悪(正義が勝つ)の物語に慣れた人々の無意識も、混乱することになる。強者が正義のような言説も、目立つようになった。

 大阪での維新の会は安倍政権の縮約版と僕は感じるので、冒頭の聴衆の言葉も踏まえ(発せられた地も大阪)わかりやすい例として挙げてみる。大阪の医療体制は維新の会の「改革」で脆弱化したと指摘されているが、結果、コロナ禍で(人口比でもあり得ないほどの)大量の死者を出した。なのになぜ、大阪で維新の会が選挙で勝つのかについて。ちなみに僕は今から、絶望的なことを書く。

 ■長かった脳の誤作動

 医療の充実を願う人が大半に違いない。でも大小あれ、無意識であれ、不吉な心理の存在を懸念する。

 コロナにかかったが自分は入院していないから、もし医療が充実していても利にならなかったという心理。コロナで重症化する基礎疾患を持つ人を「内集団バイアス」で他集団と認識し、病気は自己責任としてあまり同情できない心理。まだコロナにかかっていないが、自分は「多分強い」し入院するつもりはないから関係ないという心理。

 医療は「いざという時」に必要なものだ。弱肉強食を強いる社会、それが大人という勘違いを強いる社会では、医療に資源が集まらない傾向がある。英国のトランプと呼ばれたジョンソン氏を首相にした英国などでは、当然の結果だが医療が崩壊してもう久しい。

 自己責任の結果病気になる人のため(今病気になっていない)自分が何か払うのは嫌だ、という心理がある場合、むしろ、医療制度にお金をかけない政策が支持される。これははっきり言って地獄だが、現実社会がそうなっている。人々が必死に働いても余裕がないからこういう心理が広がってしまう。格差が続く限り解消されないが、富裕層優先の安倍政治を踏襲する政権が続く限り、格差も続きこの地獄も終わらない。まず人々が今の社会のこの状況に気づき、政治に文句を言ってもいいのだという当然を取り戻す必要がある。

 少し脇に逸れるが、自民党(あと維新の会)への支持の集まりは、心理学の「単純接触効果」も大きい。見る頻度が多いと、見る側は親近感や信頼と錯覚し、好意を持つようになる。これは脳の誤作動と言われる。恐ろしいことだ。安倍政権は長かった分、この誤作動も長くなった。

 要因はマスコミにある。報道がまともなら、めちゃくちゃだった第1次安倍内閣がすぐ退陣したのと同様、第2次安倍内閣もすぐ終わり日本もこれほど衰退することはなかった。

 日本の組織は縦要素が強い。政権批判もまともにしないマスコミは、その社長や会長が最大の原因と言わざるを得ない。彼らを一掃しない限り日本の未来はないのだろう。

 政権批判もできないなら退陣して欲しい。悪政の政治家は今後も出現する。でもそれを防ぐのは社会なのだから。

 ▽中村文則(なかむら・ふみのり) 1977年愛知県生まれ。福島大行政社会学部卒業後、フリーターを経て2002年、「」でデビュー。05年、「土の中の子供」で芥川賞。10年、「掏摸〈スリ〉」で大江健三郎賞。14年、ノワール小説に貢献したとして米国のデイビッド・グーディス賞を日本人で初めて受賞。16年、「私の消滅」でドゥマゴ文学賞。カルト集団の狂気をテーマにした「教団X」、近未来の全体主義国家を生々しく描いた「R帝国」、現代社会の歪みや息苦しさを投影した「カード師」など著書多数。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政局・安倍政権の総括】  2022年09月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍時代を総括する・09.25】:安倍時代が残した最大の負の遺産は「国力が衰微しているという事実が隠蔽されている」こと

2023-02-16 00:14:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍時代を総括する・09.25】:安倍時代が残した最大の負の遺産は「国力が衰微しているという事実が隠蔽されている」こと

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍時代を総括する・09.25】:安倍時代が残した最大の負の遺産は「国力が衰微しているという事実が隠蔽されている」こと

 ■内田樹(思想家)

 この10年間で日本の国力は劇的に衰えた。経済力や学術的発信力だけではない。報道の自由度、ジェンダーギャップ指数、教育への公的支出の対GDP比ランキングなどは「先進度」の指標だが、そのほとんどで日本は先進国最下位が久しく定位置になっている。

<picture>内田樹氏(C)日刊ゲンダイ</picture>

        内田樹氏(C)日刊ゲンダイ

 だが、「国力が衰えている」という国民にとって死活的に重要な事実そのものが(報道の自由度の低さゆえに)適切に報道されていない。安倍時代が残した最大の負の遺産は「国力が衰微しているという事実が隠蔽されている」ということだろう。

 国力はさまざまなチャートでの世界ランキングによって近似的に知られる。1995年は世界のGDPのうち日本は17.6%だったが、現在は5.6%である。89年の時価総額上位50社のうち日本企業は32社だったが、現在は1社。経済力における日本の没落は顕著である。

 ■国際社会にビジョンを示せなかった没落の10年

 だが、日本のメディアはこの経年変化についてはできるだけ触れないようにしている。だから、多くの国民はこの事実そのものを知らないか、軽視している。それどころか、政権支持者たちは安倍政権下でアベノミクスが成功し、外交はみごとな成果を上げ、日本は世界的強国であるという「妄想」のうちに安んじている。

 安倍時代における支配的なイデオロギーは新自由主義であった(今もそうである)。すべての組織は株式会社のような上意下達組織でなければならない。「選択と集中」原理に基づき、生産性の高いセクターに資源を集中し、生産性の低い国民はそれにふさわしい貧困と無権利状態を甘受すべきだ。そう信じる人々たちが法案を作り、メディアの論調を導いてきた。その結果がこの没落である。

 だが、誰も非を認めない。すべては「成功」したことになっている。それは、政権与党が選挙に勝ち続けたからである。安倍元首相は6回の選挙に勝利した。しばしば圧勝した。この結果が「国民の過半は安倍政権が適切な政策を行ってきたと判断した」ことを証し立てていると政府は強弁した。

 株式会社ではトップに全権が与えられる。トップのアジェンダに同意する社員が重用され、反対する社員ははじき出される。それが許されるのは、経営の適否についてはただちにマーケットが過たず判定を下すと信じられているからである。「マーケットは間違えない」というのはビジネスマンの揺らぐことのない信仰である。社内的にどれほど独裁的な権力をふるう経営者であっても、収益が減り、株価が下がれば、ただちに退場を命じられる。

 国の場合は「国際社会における地位」が株価に相当するだろう。経済力、地政学的プレゼンス、危機管理能力、文化的発信力などで国力は表示される。その点で言えば「日本株式会社の株価」は下落を続けている。

 しかし、安倍政権下で経営者は交代させられなかった。もし、経営が失敗し、株価が急落しているにもかかわらず、経営者が「すべては成功している」と言い続け、それを信じた従業員たちの「人気投票」で経営者がその座にとどまりつづけている株式会社があったとすれば(ないが)、それが今の日本である。

 新自由主義者たちは「マーケットは間違えない」と言い張るが、彼らが「マーケット」と言っているのは国際社会における評価のことではなく、選挙結果のことなのである。選挙で多数派を占めれば、それはすべての政策が正しかったということなのだ。

 だが、選挙での得票の多寡と政策の適否の間には相関はない。亡国的政策に国民が喝采を送り、国民の福利を配慮した政策に国民が渋面をつくるというような事例は枚挙にいとまがない。政策の適否を考量する基準は国民の「気分」ではなく、客観的な「指標」であるべきなのだが、安倍政権下でこの常識は覆された。

 決して非を認めないこと。批判に一切譲歩しないこと。すべての政策は成功していると言い張ること。その言葉を有権者の20%が(疑心を抱きつつも)信じてくれたら、棄権率が50%を超える選挙では勝ち続けることができる。

 ■人間は騙せても、ウイルスに嘘は通じない

 安倍政権が最終的に終わったのはパンデミック対策に失敗したからである。人間相手なら「感染症対策に政府は大成功している」と言って騙すことはできるが、ウイルスに嘘は通じない。科学的に適切な対策をとる以外に感染を抑制する手だてはないからだ。

 だが、安倍政権下で政権担当者たちは「成功すること」と「成功しているように見えること」は同じことだと本気で信じ始めていた。

 だから、「どうすれば感染を抑えられるか」よりも、「どうすれば感染対策が成功しているように見えるか」ばかりを気づかった。菅政権下の東京五輪の強行に際しても、「感染症が効果的に抑制されているように見せる」ことが優先された。それを有権者が信じるなら、それ以上のことをする必要はないと思っていたのだ。今の岸田政権もそう思っている。

  パンデミックについても、気候変動についても、東アジアの地政学的安定についても、人口減少についても、トランス・ナショナルな危機に対してこの10年間、日本はついに一度も国際社会に対して指南力のあるビジョンを提示することができなかった。

 司馬遼太郎は日露戦争から敗戦までの40年間を「のけて」、明治の日本と戦後の日本を繋ぐことで敗戦後の日本人を自己嫌悪から救い出そうとした。その風儀にならうなら、安倍時代という没落の時代を「のけて」、10年前まで時計の針を戻して、そこからやり直すしかない。

 ▽内田樹(うちだ・たつる) 1950年東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。凱風館館長、神戸女学院大学名誉教授、芸術文化観光専門職大学客員教授。近著に「複雑化の教育論」「撤退論」「教育鼎談」など。

保阪正康
著者のコラム一覧
 ■保阪正康 作家

 1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として9/5に発売予定。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・政局・連載「安倍時代を総括する」】  2022年09月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍時代を総括する・09.25】:近現代史の流れで日本人を「保守化」に誘導したのが安倍元首相

2023-02-16 00:14:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍時代を総括する・09.25】:近現代史の流れで日本人を「保守化」に誘導したのが安倍元首相

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍時代を総括する・09.25】:近現代史の流れで日本人を「保守化」に誘導したのが安倍元首相

 安倍晋三元首相は日本近現代史の中でいかように語られるのであろうか。私の見るところ3点は強調されていくに違いない。その3点とは、次の点である。

(1)歴代の首相の中でもっとも在任期間が長い。

(2)元首相としてテロによって命を失った。

(3)特筆すべき事績はないが、国葬で送られた。

 この3点は、安倍元首相が語られる際の不可欠な語彙になると言ってもよいであろう。私自身、近現代史を検証していて、この首相は特異な政治家だなとの感がある。特に政治上の業績はないにもかかわらず、選挙になれば自民党は勝つし、外国訪問は繰り返すけれども国際社会で相応の評価を受けているかと言えば、必ずしもそうとはいえない。なぜ大衆的な人気があったのだろうか。それを分析するには、とりもなおさず日本社会を詳細に見てみることが必要だ。

<picture>保阪正康氏(C)日刊ゲンダイ</picture>
保阪正康氏(C)日刊ゲンダイ

 この元首相の在任期間は2つの時期に分かれている。1回目は平成18(2006)年9月26日に衆参両院で首相に指名された。戦後生まれの初めての首相誕生でもあった。しかし平成19年9月25日に体調を崩し、ほぼ1年で総辞職している。いわば首相としてはさしたる事績を上げることなく、そのポストを離れたと言ってもよい。

 それから5年後の平成24(2012)年12月26日に総選挙で大敗した民主党の野田佳彦首相に代わって、自民党総裁として第96代、63人目の首相に選ばれている。この政権は公明党との連立政権だったが、令和2(2020)年9月に潰瘍性の疾患で総辞職するまで続いた。

 1回目と2回目の在任期間は合計で3188日に達し、日本の議会政治の上では最長記録となっている。これが前述の3点に挙げた(1)のことである。

 安倍元首相のこの在任期間の特徴、そして日本社会の変容とはどのようなものだったのか、そのことを歴史的視点で見れば極めてわかりやすい構図が浮かんでくる。

 言うまでもなく日本近現代史は、近代史としての明治元年から昭和20年8月までの77年間と、昭和20年9月から現在までの現代史(はからずも今年で77年になるのだが)に分かれる。現代史は近代史の反省、あるいはその否定といった時代的テーマで動いてきた。しかし反省・否定といったテーマは心理的には極めて後ろ向きという形ではある。現実に対しての取り組みがマイナスの克服だから世代が変われば、そういう心理を疎んじる人も増えるだろうし、時にはそういう進歩主義の形骸化を指摘する風潮も起こってくる。

  進歩主義が新しく、みずみずしい形で次の世代を引きつければ、相応の意味も持つのだろうが、日本の現代史は近代史を否定する構図を繰り返すうちに保守化してしまったといっていいだろう。「平和憲法を守れ」がいつのまにか保守の論理に見られ、あたかも改憲が革新であるかのような社会がつくられていった。私は安倍政権誕生の後も、ある大学で講座を持っていたのだが、安倍首相が革新的だという学生の広がりに驚いたものだ。

 安倍首相の在任期間は、近代史の受け止め方が現代史の原点から次第に離れていく時期でもあり、安倍という戦後生まれの初の首相はそれを見事に示していたのだ。ごく大まかにいうが、安倍の政策の柱は、3本に絞られていたように思う。「戦後レジームの見直し」「金融財政政策の新政策」「対外政策の再検討」。この3点を保守という衣をかぶりながら、必死に押し進めたというのが正直な姿であろう。これら3点を麗句で飾り立てたのが「美しい国・日本」という語であり、さらに「近代史のツケを次代に回さない」といった惹句だったように私には思えるのである。

 ■格差を拡大させ外交パフォーマンスは空回り

 戦後レジームの見直しとは具体的には憲法改正であり、現在の自衛隊を法的に明文化して、さらに一定の軍事力を確保し、同盟国との集団安全保障の責任を負うという、かなり明確な路線を意識していた。これは退陣してからの発言になるのだが、安倍はロシアのウクライナ侵略を見て、核兵器の共有論を発言していた。これが本音であるとするならば、その究極の国策はかなり強腰の軍事主導国家になりかねない危険性もあったように思う。

 戦後レジームの見直しが最終的に憲法改正であるにせよ、そこに行き着くまでの布石はいくつも政策として具体化している。自衛隊法などの一部改正による自衛隊の海外派遣容認、集団的自衛権の行使可能などはそうした例になるだろう。さらに憲法改正に必要とされる国民投票実施のための法的な体系もつくり上げている。

 こうした措置の立法上の立場を説明するときの安倍の説明自体に必ずしも国民は納得したとは思えないが、立法府が与党の圧倒的な勢力によってなんとなく可決されていく状態になってしまっていたのである。立法府は死んだ状態になったともいえるのではないか。

 金融財政政策の新政策は、結局はアベノミクスと評されたが、これは企業の業績向上につながったにしても、一面では格差の拡大を生み、弱者救済などには多くの問題を残した。対外政策にしても、北朝鮮の拉致問題、ロシアとの北方四島返還など、実態は前には進んでいない。安倍のパフォーマンスが空回りしたと言えるのではないだろうか。

 しかしこうした批判を超えながら、最長の在任記録を歴史に刻んだこの首相は、国民の感性の何かを掴んでいたのだろう。それを解剖するにはもうしばらくの時間が必要だと思う。(一部敬称略)

保阪正康
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 ■保阪正康 作家

 1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として9/5に発売予定。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・政局・連載「安倍時代を総括する」】  2022年09月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2023年02月15日 今日は?】:ロシアの上空で隕石(いんせき)が爆発、衝撃波で負傷者1500人以上

2023-02-16 00:00:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2023年02月15日 今日は?】:ロシアの上空で隕石(いんせき)が爆発、衝撃波で負傷者1500人以上

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2023年02月15日 今日は?】:ロシアの上空で隕石(いんせき)が爆発、衝撃波で負傷者1500人以上

 ◆2月15日=今日はどんな日

  ロシアの上空で隕石(いんせき)が爆発、衝撃波で負傷者1500人以上(2013)

 チェリャビンスク隕石の空中爆発を再現した3Dシミュレーション。この100年で最大とされる隕石衝突事故の衝撃波の強大さが見て取れる。2013.11.07

 ◆出来事

  ▼「日劇」の愛称で親しまれた東京・有楽町の日本劇場が閉館(1981)▼文科省が学習指導要領改定案を公表し、ゆとり教育路線を転換(2008)

日本劇場
Nihon Gekijo
Nichi Geki 1933 BW.jpg
開業当時の日劇(昭和8年)

「夏のおどり」上演時の日劇(1964年撮影)

 ◆誕生日

  ▼立川志の輔(54年=落語家)▼浅田美代子(56年=女優)▼堀ちえみ(67年=女優)▼月亭方正(68年=落語家)▼斎藤司(79年=トレンディエンジェル)▼西脇綾香(89年=Perfume)▼齋藤冬優花(98年=櫻坂46)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2023年02月15日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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