【社説①】:後半国会 課題を直視し建設的に論じよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:後半国会 課題を直視し建設的に論じよ
人口減少など日本が直面している課題や、目まぐるしく動く国際情勢について、実りある審議が行われているとは言えない。与野党は、政策本位の論戦を心掛ける必要がある。
2023年度予算が成立し、通常国会は6月21日の会期末に向けて、後半戦に入った。
前半国会では、14~15年に総務省が作成した放送法の解釈に関する行政文書に焦点が当たった。
立憲民主党は文書を踏まえ、当時の首相補佐官が総務省に圧力をかけ、放送法が定める「政治的公平性」の解釈を変更させた、と批判した。政府は、解釈の説明を追加しただけだと強調した。
当時、総務相だった高市経済安全保障相は、自らに関する記載を「 捏造 」と述べ、事実なら議員辞職する考えを示した。この発言を盾に、野党は高市氏を辞任に追い込もうと躍起になった。
放送局の政治的公平性をどう確保するか、といった本質的な議論が脇に置かれ、文書の記載が正確か、不正確かで堂々巡りの議論が行われたことに 辟易 する。
閣僚を辞任に追い込むことを得点のように考え、政策よりも疑惑の追及を優先する。そうした姿勢では国民の期待に応えられまい。野党は、旧態依然とした論戦の挑み方を改めなければならない。
少子化による人口減や安全保障環境の悪化など、日本は危機のまっただ中にある。難局をどう乗り越えるか、有効な方策を論じ合うのが国会の本来の役割だ。
政府は、児童手当の拡充や学校給食の無償化を柱とする子ども政策のたたき台を発表した。与野党は後半国会で、様々な施策の効果が妥当かどうかを吟味し、子どもを産み育てやすい社会のあり方について論戦を深めるべきだ。
後半国会では、重要法案の審議も本格化する。原子力発電所の「60年超」の運転を可能にすることを盛り込んだ関連法案は、与野党対決法案となる見通しだ。
エネルギーの供給不安への対処は急務だ。原発の運転期間を延長するのはやむを得ない。原発の安全性に対する国民の不安を 払拭 するため、政府は丁寧に説明を尽くしてもらいたい。
5月には、広島市で先進7か国首脳会議(G7サミット)が開かれる。国際秩序の回復に向け、G7議長国である日本の指導力が問われている。平和国家の理念を保ちつつ、ウクライナをどう支援していくかも重要な課題だ。
大局的な観点から、日本外交のあり方を論じることが大切だ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年04月03日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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