【社説・12.20】:政治倫理審査会 裏金の実態解明依然遠く
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.20】:政治倫理審査会 裏金の実態解明依然遠く
裏金づくりの実態解明に近づいたとは、到底言えない。全面公開での審査を拒む議員がいることは理解に苦しむ。これでは政治への信頼を回復できるはずがない。
自民党派閥裏金事件を踏まえた政治倫理審査会が衆参両院で開かれている。衆院は17~19日の3日間に、旧安倍派と旧二階派の計15人を公開で審査した。
旧安倍派の有力者「5人組」の一人だった萩生田光一氏は、「2003年の初当選時に派閥事務総長から、政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分を政治活動費として返すとの説明を受けた」と明らかにした。
04年には事務所担当者が、ノルマ超過分は収支報告書に記載しない取り決めだと派閥側から説明された、とも述べた。
旧安倍派が少なくとも約20年前から裏金づくりをしていたことを裏付ける証言といえるが、誰が始めたかは不明なままだ。03年当時の派閥会長だった森喜朗元首相への調査が必要だろう。
もう一つの焦点は、22年4月に安倍晋三元首相の指示で中止した還流が、安倍氏死去後の8月の幹部会合後に再開された経緯だ。萩生田氏は「関与する立場にも知り得る立場にもなかった」とした。
3月の政倫審で、会合に出席した塩谷立氏ら幹部4人が「結論は出なかった」とした。一方、会合に同席し、政治資金規正法違反で有罪となった派閥会計責任者は「4人の協議で決まった」と証言し、食い違いが生じている。
立憲民主党は、会計責任者の予算委員会での参考人招致を要求している。真相解明のために、偽証罪に問われる証人喚問も含めた次の段階を検討すべきだ。
稲田朋美元防衛相ら他の政倫審出席議員の多くが、還流の仕組みについて「知らなかった」と釈明し、資金管理は秘書や事務所スタッフに任せているなどと答えた。解明が進んだとは言えないことは明らかだ。
自民としては、来年の参院選に影響しないよう年内に審査を終え、幕引きを図りたいのだろう。
衆院選当選を「みそぎ」としたい旧安倍派の議員が出席を渋る中で、党執行部は人事の正常化や追加の処分をしないことなどを条件に、開催にこぎつけたという。
しかし、参院は出席意向の27人のうち全面公開に応じたのは5人にとどまる。残る22人が認めたのは議員傍聴だけだ。
与党からも「国民に説明しないと開く意味がない」「国民に説明責任を果たすことができるのか」と疑問の声が出ている。
参院で審査を終えたのは4人で、残る議員の審査日程は未定だ。
共同通信の今月の世論調査では、政倫審を「公開すべきだ」と答えた人は83・4%に上る。国民からは依然、厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。
元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月20日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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