《社説①・11.12》:第2次石破内閣 丁寧な議論で政治改革を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.12》:第2次石破内閣 丁寧な議論で政治改革を
衆院選を受けた特別国会で、自民党総裁の石破茂氏が第103代首相に選出された。
衆院選で自民党と公明党は過半数を得られなかったため、首相指名選挙は立憲民主党の野田佳彦代表との間で1994年以来、30年ぶりとなる決選投票が行われた。
石破氏は閣僚の大半を再任した上で、第2次石破内閣を発足させている。2012年末の第2次安倍晋三内閣の発足以降、「自民1強」だった政治状況は一変し、国会運営で野党と真摯(しんし)に協議していく姿勢が欠かせない。
衆院選で示された民意は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を契機とした政治不信だ。早急に取り組むべきは「政治とカネ」にかかわる改革である。
石破氏は首相指名選挙に先立ち、野田氏、日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表と、それぞれ個別に会談。使途公開が不要な政策活動費の扱いなど、政治改革に関する協議で協力を要請した。
野田氏は企業・団体献金の禁止を含む野党案を提出し、国会で審議したいとの意向を伝えた。馬場氏は月額100万円の調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開などについて臨時国会までに結論を出すよう求めた。
玉木氏は政治改革に関する与野党協議の場を設け、必要な法改正を行うよう要求している。
自民党はこれまで、企業・団体献金の禁止などには消極的な姿勢を続けてきた。野党の要望を国民の声と受け止め、国会の場で丁寧な議論を積み上げて、最優先で「政治とカネ」問題を解決していく必要がある。
国民民主党は経済対策の一環として、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の見直しなども自民、公明に要請している。今後3党で協議していく方針だ。
与党は政策ごとに野党と連携する「部分連合」を構築したい考えだ。国会運営を優先し、政策の財源や影響を曖昧にしたまま論議を進めることはあってはならない。
衆院では野党が一致できれば野党提出法案が可決できる状況だ。野党連携は極めて重要になる。
ただ、首相指名選挙の決選投票では、共産党以外の野党が無効票となることを承知の上で自党の党首に投票した。各党の思惑が異なる中、協調する難しさも浮き彫りになった。政治改革や経済対策、選択的夫婦別姓導入など、今後の国会で焦点になる法案で、野党が一致できるのかが問われる。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月12日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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